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- 「エヌビディアの全エンジニアが使うAIツール」CursorがスペースXに買収されるまでの知られざる一部始終
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ビッグテックの動向

史上最大の新規株式公開(IPO)を成功させたばかりの宇宙開発企業スペースX(SpaceX)が、AIコーディングエージェント「Cursor(カーソル)」開発元のエニスフィア(Anysphere)を600億ドルで買収すると発表しました。
4月下旬時点で買収する「権利を取得」したことを明らかにし、上場手続きの進捗や取引開始後の展開を考慮しながら権利を行使するかどうか検討を続けてきた模様です。
スペースXが上場申請時に当局に提出した登録届出書(S-1)には、諸条件の調整を経て買収を見送る場合、解約手数料15億ドルの支払いに加えて(協業の対価と位置づけられる)85億ドル相当の計算資源を提供する選択肢もあること、さらに株式公開または9月30日、いずれか早いほうの日付から30日以内に結論を出す必要があると記載されていました。
黒字化を達成できていないスペースXとしては、メガテック企業の一角を占めるアマゾン(Amazon)すら上回る2兆7000億ドル超(6月17日終値)の時価総額を正当化するため、なるべく早期に収益を積み増したいところ。そうした事情を踏まえれば、爆発的な勢いで収益を伸ばしているCursorの買収を決断したのはまったく当然のことかもしれません。
ただ、エニスフィアやその経営陣を知る人たちにとって、このようにすんなり買収が成立したことは驚きをもって受け止められたようです。
主力製品のCursorは、2024年夏時点でオープンAI(OpenAI)や画像生成AIのミッドジャーニー(Midjourney)、AI検索エンジンのパープレキシティ(Perplexity)などが利用。昨年6月には、自社製品と競合する外部AIツールの使用を控えるよう従業員に指示してきたアマゾン(Amazon)までが採用を検討していることが判明。
さらに、同年10月には時価総額世界首位のエヌビディア(Nvidia)を率いるジェンスン・フアン氏が「社内のソフトウェアエンジニアやチップ設計者たちは全員がCursorを使っている」ことを明らかにして話題になりました。
それだけの巨大企業、注目企業を虜(とりこ)にし、顧客リストに加えたスタートアップの創業者や経営者が、相手はあのイーロン・マスク氏とは言え、簡単に軍門に下るのかと関係者たちは訝(いぶか)しんだわけです。何か隠された狙いがあるのではないか、と。

今日はそんなエニスフィアの知られざる物語を紹介したいと思います。世界最高のテック企業経営者、ディスラプター(創造的破壊者)と称されるマスク氏がこのスタートアップに目をつけた理由が何となくでも見えてくるはずです。
シンガポールを取材活動の拠点とするシニアレポーターのシュバンギ・ゴエル記者と、テック分野の取材歴が長いチャールズ・ロレット記者から報告してもらいましょう。
一切の妥協を許さない激烈な企業カルチャー
マサチューセッツ工科大学(MIT)在学中から天才コーダーとして知られ、卒業直後に同期の友人3人とともにコード編集プラットフォーム開発を手がけるエニスフィア(Anysphere)を創業したマイケル・トゥルエル氏。
創業から1年足らずでマイクロソフト(Microsoft)のIDE(統合開発環境)「VS Code」の改良版を開発し、ARR(年間経常収益)は100万ドルを突破。2023年3月に一般提供を開始したAIコーディング支援ツール「Cursor」は、開発者コミュニティの強い支持を受けて爆発的に普及し、ARRは2025年1月に1億ドル、同11月に10億ドルを超えました。
驚異的な収益成長を支えるのは、一切の妥協を許さない激烈な企業カルチャー。例えば、人材採用に際しては、開発者向けのコミュニケーションフォーラムやソーシャルメディアで優秀なエンジニアを見つけ出し、一本釣りで本社に連れてきて数日間「試用」するのだとか。
























