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Business Insider Japan

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「いいモノなら売れる」はもう終わり。インド出身のクリエイターが指摘する、日本企業のマーケティングの盲点 | Business Insider Japan
Business Insider Brand Studio · 2026-06-15 · via Business Insider Japan
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「いいモノなら売れる」はもう終わり。インド出身のクリエイターが指摘する、日本企業のマーケティングの盲点

Sponsored Content by just on time inc.

「日本のブランドは、海外に向けて本当の価値を伝えきれていない」

インドに生まれ、人生の大半を日本の広告業界で過ごしてきたマンジョット・ベディ氏は、長年そう感じてきたという。同氏は2017年に、日本企業のグローバル展開をクリエイティブの力で支援するjust on timeを設立。国内市場の縮小や円安などを背景に日本企業のグローバル進出が加速するいま、その想いはよりいっそう強くなっている。

高い品質と信頼性から世界的評価を受けてきた、メイド・イン・ジャパン。しかし、その刻印があるだけで売れる時代は、もはや過ぎてしまった。グローバル市場での競争が激化するなか、現地の人の心を動かし、世界から求められるブランドになるには、どのようなアプローチが必要なのか。

日本への深い理解と海外進出支援の豊富な経験を持つベディ氏に、グローバル市場で求められるコミュニケーションとクリエイティブのあり方を聞いた。

少年時代に身につけた「一歩踏み出す力」

自分から一歩踏み出さなければ、何も始まらない――。ベディ氏は、その感覚を少年時代に身につけたという。外交官だった父親の赴任に伴い、2歳でインドを離れ、中東やヨーロッパを転々としながら育った。

来日したのは17歳、バブル景気の入り口となる1986年だ。その後、家族がインドに帰国するとき、「いま通っている高校を卒業したい」と、日本にひとり残ることを決断。その選択が、日本との深いつながりの始まりとなった。

ほどなくベディ氏は街中でスカウトされ、思いがけず芸能界へ。俳優として映画やドラマに出演したが、「自分は表に出るより、作る側のほうが向いている」と感じるようになったという。しかし、何をすればいいのかは分からない。所属していた事務所でキャスティングやタレント養成を手伝いながら、進むべき道を模索していた。

マンジョット・ベディ(Manjot S.Bedi)/just on time CEO、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター。インド・ニューデリー生まれ。父が外交官であったことから2歳から世界各地を巡り、17歳で来日。1997年、広告制作会社ティー・ワイ・オーに入社し、クリエイティブ・ディレクターとして数々のCMを制作。2006年からは、同社クリエイティブ・チーム “1st Avenue” 代表として、トヨタ自動車をはじめとした日本企業の新興国戦略などに携わる。2012年、同社クリエイティブ部門の統合により、03(ゼロスリー)へ所属したのち、2017年にjust on time設立。プランニングから演出、ムービー・スチールのカメラマン、照明までの一貫したクリエイティブを手がけ、日本企業を世界につなぐグローバルブランドビルディングに挑んでいる。
マンジョット・ベディ(Manjot S.Bedi)/just on time CEO、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター。インド・ニューデリー生まれ。父が外交官であったことから2歳から世界各地を巡り、17歳で来日。1997年、広告制作会社ティー・ワイ・オーに入社し、クリエイティブ・ディレクターとして数々のCMを制作。2006年からは、同社クリエイティブ・チーム “1st Avenue” 代表として、トヨタ自動車をはじめとした日本企業の新興国戦略などに携わる。2012年、同社クリエイティブ部門の統合により、03(ゼロスリー)へ所属したのち、2017年にjust on time設立。プランニングから演出、ムービー・スチールのカメラマン、照明までの一貫したクリエイティブを手がけ、日本企業を世界につなぐグローバルブランドビルディングに挑んでいる。
撮影:飯山福子

転機が訪れたのは27歳のとき。広告制作会社ティー・ワイ・オー(TYO)の撮影現場に所属タレントを連れていった際に、「うちで働かないか?」と声をかけられた。そこで飛び込んだ広告という表現の世界が、生涯をかけて取り組む仕事となった。

プランナーを経てディレクターになると、自分が描いたコンテと最終映像のズレに違和感を覚えるようになった。「イメージどおりに仕上げるには、自分でやるしかない

フィルム撮影が主流だった当時、監督をしながら撮影や照明まで手がける人は珍しかった。しかしベディ氏は、自らカメラ撮影やライティングにも踏み込み、理想とするクリエイティブを追求しはじめる。

のちにクリエイティブ・ディレクターとなり、子会社設立にも携わったが、大好きなクリエイティブに専念するため、47歳でTYOからの独立を決意。2017年、日本企業のグローバル展開をクリエイティブの力で支援するjust on timeを立ち上げた。

「ゼロから始めて20年で、実績品集、そして仲間ができた。この先20年かけて、また新しい挑戦をしてみたい。そう思って、いったんリセットすることを決めました。できるからやるんじゃなくて、できなくてもやってみる。子どもの頃から身についた “一歩踏み出す勇気” が、独立するときにも役立ちました」(ベディ氏、以下同)

重視するのは、Why?から始まるコミュニケーション

just on timeでは、「人の心を動かすこと」をクリエイティブと捉えている。それはCMやポスターといった広告制作だけではない。代表者の見せ方やスピーチ、ウェブサイト、SNS発信、さらにはプレゼン資料の細部に至るまで、すべてがクリエイティブだと考えている。

人の心が動けば、行動が変わる。そして行動が変われば、社会も変わっていく。「よいクリエイティブには、国を変えられるくらいの力がある」と、ベディ氏は信じている。

その鍵になるのが、“自分ごと” にできるかどうか。実際に、自身の心が動いた経験をこう振り返る。

「よく覚えているのは、JR東海の『エクスプレス』シリーズのCMです。『会うのが、いちばん。』(1988年)というコピーが、心にグッと刺さりました。当時は家族と離れ、ひとり日本に残っていたこともあり、余計に響いたのかもしれません。まだ日本語も今ほど得意ではなかったのに、その言葉には強く共感しました」

そうした “人の心を動かすクリエイティブ” をつくるうえで、ベディ氏が重視してきたのが「Why?(なぜ?)」を突き詰めることだ。なぜその企業は存在するのか。なぜそのブランドは立ち上がったのか。なぜその商品は生まれたのか。そうしたWhy?を突き詰めることだ。こそが、人の心を動かす原動力になるという。

一方で、「それが十分に言語化できていない日本企業は多い」とベディ氏は話す。近年は、ビジョンやパーパスを掲げる企業も増えた。しかし、「果たしてそれは本当にパーパスなのか」と首を傾げるケースも少なくないという。

撮影:飯山福子
撮影:飯山福子

「Why?が明確になると、パーパスが見えてくる。そしてパーパスが定まると、伝えるべきストーリーも浮かび上がってくる。Why?を突き詰めて考えなければ、人の心を動かすクリエイティブは生まれません。僕は、クリエイティブによって “感動” よりも “共感” を生み出したい。感動は時間とともに薄れていくけれど、共感は増幅しながら広がっていくものだと思っているからです」

特に海外進出においては、Why?から始まるコミュニケーションが欠かせない。そして、それをクリエイティブに落とし込むには、日本の強みだけでなく、その国や地域の文化、価値観などを深く理解しておく必要がある。単に現地のクリエイターを起用したり、その土地の好みに合わせたりするだけでは、人の心を動かすことはできない。

クリエイティブに欠かせないオリジナリティは、オリジンから生まれる」──そう語るベディ氏は、2013年には伊勢神宮の式年遷宮*のクリエイティブも手がけた。そこで、日本の美しさや日本人の感覚、守るべき価値観を改めて学んだという。一方で、幼い頃から中東やヨーロッパ、アジア各国で暮らし、現地の空気や匂い、色彩を肌で感じてきた経験も、ベディ氏の中に蓄積されている。だからこそ、日本らしさを大切にしながら、それを海外へどう届けるかを考え抜いたクリエイティブが生まれるのだ。

* 20年に一度、伊勢神宮の社殿や神宝などを新しくする神事。1300年以上続く日本最大級の祭りとされる。

賞よりも、クライアントの売上が大事

現在、中国や韓国の製品が世界で存在感を高めているのは、価格や品質面以外に、現地でのマーケティングやコミュニケーションが優れているからだとベディ氏は言う。一方で、日本ブランドはその部分で遅れをとってきたのではないか――。ベディ氏は、日本企業が価値を十分に伝えきれていないことも、「失われた30年」の一因だと指摘する。

「謙虚で控えめであることは、日本の美徳ではあるけれど、海外でのマーケティングやコミュニケーションでは、それだけでは伝わらないこともある。堂々と自分たちの価値を言葉にしなければ、相手に価値が伝わらない。それどころか、存在に気づいてもらうことすらできないのです」

撮影:飯山福子
撮影:飯山福子

コミュニケーション戦略の実行は、ある意味 “バトル” でもあるとベディ氏は言う。相手が強く出たとしても、譲れないところは簡単には妥協しない。時にはクライアントである日本企業に代わり、海外の卸先やパートナー企業と徹底的に議論することもある。そうしたjust on timeのサポートによって、海外市場で活路を見出した企業も少なくない。

例えば、日本の大企業が事業撤退したことで窮地に陥ったある工房では、日本のものづくり精神を映像とストーリーに落とし込んだクリエイティブを通して、世界的企業との契約を獲得した。また、ある有力企業の経営者は、just on timeによる一連のクリエイティブワークを「企業の価値を、世界に翻訳してくれた」と評価した。その言葉を聞いたベディ氏は、クリエイターとして賞をもらう以上の大きな喜びを感じたという。

クリエイティブの役割は、企業のブランド価値を上げて、売上に貢献すること」。日本と海外の両方を “内側” から理解できるベディ氏のもとには、グローバル展開に悩む経営者が次々と相談に訪れる。対話を重ねながらWhy?を掘り起こし、考えを整理していく。そうしたコンサルティングの割合が増え、今では業務全体の6割を占めるまでになった。

日本ブランドは、どうすれば世界に届くのか

gettyimages
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工業製品の部品ひとつをとっても、見えない部分まで丁寧に磨き上げる。それが、日本の素晴らしさだとベディ氏は言う。「メイド・イン・ジャパンでなければ」というニーズは、いまも世界に数多く存在する。その一方で、海外から見た日本企業の課題は、意思決定のスピードだった。慎重さは強みでもあるが、変化の速いグローバル市場では、それが弱みにもなり得る。

ただ近年は、AIの急速な普及による危機感もあり、日本企業にも少しずつ変化の兆しが見え始めているという。

なかでも近年、存在感を増しているのがインド市場だ。国全体の平均年齢は30歳以下と若く、富裕層・中間層の拡大が続く。ベディ氏は、そうした可能性に注目する日本企業の海外進出を、7〜8年前から支援してきた。

自らの価値を堂々と世界に発信する“攻め”への転換は、当然リスクも伴うものだが、日本と海外の両方を深く理解するパートナーがいれば、そのリスクをチャンスに変えられる可能性もある。Why?からコミュニケーションを組み立て、自社の価値を世界に届けることが、「世界から必要とされる会社」につながっていくのかもしれない。

日本に来て40年。「(伊勢神宮の)式年遷宮2回分ですね」と表現したべディ氏。just on timeに加え、地方の可能性を広げる「next is east」、介護の価値をクリエイティブの力で発信する「KAiGO PRiDE」も手がける。3つの事業に共通するのは、「日本の社会課題をクリエイティブの力で解決する」こと。それこそが、べディ氏にとってWhy?の答えであり、モチベーションとなっている。

“いいモノを作れば売れる”だけでは、世界で選ばれなくなった時代。いま求められているのは、企業のWhy?を掘り起こし、その価値を世界に伝わる言葉へ翻訳する力なのかもしれない。

かつて俳優として映画「ゴジラ vs ビオランテ」(1989年)にも出演したベディ氏。「目が優しすぎる」という理由で、急遽サングラスをかけることになったというエピソードも。日本の価値を世界へ伝えていくことが、「日本への恩返し」だと語る。
かつて俳優として映画「ゴジラ vs ビオランテ」(1989年)にも出演したベディ氏。「目が優しすぎる」という理由で、急遽サングラスをかけることになったというエピソードも。日本の価値を世界へ伝えていくことが、「日本への恩返し」だと語る。
撮影:飯山福子

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