- BUSINESS INSIDER
- 最高のチームで、変革に挑む。
- AI時代に問われるのは「課題解決力と設計力」。アクセンチュアのクラウドアーキテクトが語る、新たな役割
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クラウドが普及して10年以上が経ち、企業のIT基盤は転換期を迎えている。古い基幹システムなど従来型システムが残る業界では移行プロジェクトがいまも続く一方、個人でもシステムを構築できるほど参入障壁は低下した。
しかし、「動く」だけでなく「価値を生む」システムを実現するには課題発見力と高度な設計力が不可欠だ。実際、内製化は進むものの、実現できる企業とそうでない企業の二極化が進み、生成AIの普及によりツール先行の乱立も課題となっている。
こうした中、クラウドにはインフラの最適化に加え、データ基盤、AI活用、セキュリティ、モダナイゼーション、開発プロセス改革までを統合し、変革をリードする役割が求められている。アクセンチュアはこれらを一貫して支援し、企業の競争力強化を担っている。
現在、アクセンチュアでクラウド領域のシニア・マネジャーとして活躍しているのが、大手SIer(システムインテグレーター)でクラウドエンジニアの経験を積み、2020年に同社へ転職した小島亮氏だ。これまでのキャリアで得た知見を、アクセンチュアでどのように活かしているのか、話を聞いた。
外の世界で自分の力を試したい
小島氏は新卒で大手SIerに入社し、当初はガラケー、その後スマートフォンのアプリ開発に携わりプログラマーとしてキャリアをスタート。その後、画像認識サービスの開発プロジェクトへ異動した。サーバーサイドのアプリケーションやスマートフォンアプリの開発に加え、インフラとしてAWS(Amazon Web Services)を利用したことが、クラウド領域へ足を踏み入れるきっかけになったという。
「当時はまだ、AWSが今ほど一般的ではなかった時期ですが、実際に使ってみるとサービスの進化が目まぐるしく、コミュニティも充実していたため、『これから広がっていくだろう』という感覚がありました」(小島氏)

当時、社内でもAWSに詳しい人材は限られていた。小島氏のもとには社内のさまざまな部門からAWS導入に関する相談が持ち込まれるようになり、「どうせならば専門の組織を作ろう」と、上司の後押しも受けながら自らAWS導入支援の専門センターを立ち上げた。構成の検討から設計、構築、テストまでを一貫して支援し、協力会社を含めて最大30人ほどのチームをマネジメントしながら、さまざまな業界のクラウド活用を支えてきた。
さらに、社内では勉強会やセミナーで講師を務め、AWS関連のイベントにも登壇するようになり、社外との接点も増えていったという。こうした実績が積み重なり、2019年にはAWS Japanがパートナー企業のエンジニアを表彰するプログラム「Japan AWS Top Engineers」にも選出された。そこで見えたのは、自分よりもさらに高いレベルで技術を磨き、積極的に外へ発信しているエンジニアたちの存在だった。
「外の勉強会やコミュニティに参加すると、自分よりも知識があり、行動力がある人がたくさんいる。現状に満足していてはいけないと感じたんです」(小島氏)
30代になり、これからのキャリアを考えるなかで小島氏は、より自分を成長させられる環境を意識するようになった。その選択肢の一つとして浮かんだのが、コンサルティングファームだったという。
「技術の追求も好きですが、自分はエンジニア一本で突き抜けた専門性を持つタイプではないと思っていました。だからこそ、技術のスキルを軸にしつつコンサルティングやマネジメントスキルを磨くキャリアの方が、自分の価値を出せるのではないかと考えました」(小島氏)
変わるクラウドアーキテクトの役割
複数の選択肢を検討するなかで、自身のクラウド経験を活かせる環境だと感じたことに加え、提供サービスのカバー範囲と企業規模から垣間見えるキャリアの幅広さ、そして選考のスピード感や条件面も後押しとなり、2020年にアクセンチュアへ。現在までに小島氏が携わってきた案件は幅広い。AWSやAzureを活用したクラウド基盤やデータ基盤の構築、生成AI、セキュリティ、モビリティ領域など、クラウドアーキテクトとしての知見を起点に、多様な顧客課題に向き合ってきた。
なかでも印象に残っているのが、2023年ごろに担当した、AWSを活用しシステム基盤を構築した大手保険会社のプロジェクトだという。
「お客様の既存のクラウド環境は、セキュリティや管理面ではしっかり整備されていましたが、一方で各部署がより自由に使うには、手続きやルールが複雑という側面がありました。各部署が個別に整備すると、ガバナンスの問題が出てきてしまう。そこで、自由度と統制のバランスを取りながら、AWSの共通基盤を整えていくことになったんです」(小島氏)

このプロジェクトでは、クラウド基盤の整備にとどまらず、RAG(社内文書などを検索し、その内容をもとにAIが回答する仕組み)を活用したシステムにも発展した。
当時はRAGという言葉が広がり始めた時期で、AWSのグローバルイベントにクライアント企業の意思決定層と共に参加。AWS側の担当者とも連携しながら、新しいサービスの活用可能性を検討していった。本来であれば承認まで時間がかかることも想定されたが、新しい技術の取り込みに前向きなクライアントの意思決定層が自ら積極的に推進したことで、想定よりも早期に着手できた。その姿勢も、小島氏にとって大きな刺激になったという。
「スピード感を持ってお客様と一緒に新しい技術に挑戦できたのは、非常にやりがいがありました」(小島氏)
クラウド活用が広がった現在、単に環境を構築するだけでは顧客の期待に応えきれない。クラウドをどう使えば業務が変わるのか。どこまで自由度を持たせ、どこで統制を効かせるのか。そして、生成AIやデータ基盤、セキュリティといった周辺領域とどう接続するのか。クラウドアーキテクトに求められる視点は広がっている。
「アクセンチュアでは、エンジニアでありながらコンサルタントでもある。技術を理解したうえで、課題発見とその解決に向けた最適な道筋を描くことが求められます」(小島氏)
自ら関心を示し、周囲に相談しながら動く

アクセンチュアで働く魅力のひとつに、小島氏はプロジェクトの選択肢の広さを挙げる。組織の方針や顧客ニーズとの兼ね合いはあるが、自分の関心や今後伸ばしたい領域に自ら手を挙げ、積極的に関わることができるのだ。
その際に重要な役割を担うのが、ピープルリードだ。プロジェクト上の上司とは別に、組織上の上司としてキャリア形成やプロジェクトアサインを支援する存在で、小島氏も非管理職として入社した当初は自身の希望や組織の方針を踏まえながら、ピープルリードと相談して次のプロジェクトを決めていた。
「自分だけで次のキャリアを考えていると、どうしても視野が狭くなることもあります。ピープルリードと話すことで、組織として求められていることや、自分の経験を活かせる領域を整理しながら、次の案件やキャリアについて考えられるのはありがたかったです。」(小島氏)
プロジェクトが一段落するタイミングで、次の案件への声がかかることも多い。クラウド領域での実績や社内での認知が広がることで、次の機会につながっていく。そこには、会社員でありながら、自分の専門性や信頼をもとに仕事の幅を広げていく感覚がある。
「もちろん、待っていれば機会が自動的にやってくるわけではありません。自分がやりたいことや、自分の意見をきちんと伝えることが大事。主体的に動ける人にとっては、アクセンチュアはいろいろなチャンスがある環境です」(小島氏)
プロジェクトごとにメンバーが変わることも、アクセンチュアならではの特徴だ。毎回異なるバックグラウンドを持つメンバーとチームを組み、顧客課題に向き合う。その積み重ねが、人脈や視野を広げていく。
その後、マネジャーになり自らがプロジェクトを運営する立場になってからは、チームで価値を最大化すべく、プロジェクトにマッチする人を探したり、チームのエンゲージメントを高める活動を行ったりしている。
「メンバーからの『また一緒に仕事をしたい』の一言が励みになります。」(小島氏)
自分の軸から半歩外へ。クラウド人材に開かれるキャリア
外資系コンサルティングファームと聞くと、ハードワークな環境を想像する人も少なくないだろう。特に、SIerやITベンダーで経験を積んできた人たちにとって、転職後に自分や家族との時間を大切にできるかは、重要な関心事の一つだ。
小島氏自身も3人の子どもを持つ父親であり、家族との時間を大切にしながら働いているひとり。プロジェクトや時期によって忙しさに波はあるものの、裁量を持って仕事を進められることが、働きやすさにつながっているという。
「コンサルというと、常に長時間働いているイメージを持たれるかもしれませんが、少なくとも私の場合はそうではありません。もちろん忙しい時期はありますが、自分の業務を上手くコントロールすることで働きやすさは作り出せます」(小島氏)
そんな現在の仕事や働き方を、小島氏は「今が理想に近い状態」と笑顔で話す。
「シニア・マネジャーとして働いていますが、管理業務だけを行うマネジャーではありません。スタッフとも距離が近く、チームを作りながら現場にも入ってプロジェクトを進められる。さらに経験を積み、価値を出し続けていくことが目標です」(小島氏)

では、SIerやITベンダーでクラウド経験を積んできた人が、アクセンチュアで活躍するには何が必要なのか。小島氏は「入社時点のスキルだけで勝負しようとしない」ことを強調する。
「自分の強みを軸に、そこから半歩外へ出られる人が強いと思います。できることの範囲だけに収まらず、自分の枠から少しはみ出て『それもやってみたい』と言える人。その経験を積むことで、また次の領域が広がっていきます」(小島氏)
クラウドの世界は、技術の変化が速い。生成AIの登場によって、システム開発やクラウド活用のあり方も変わりつつある。だからこそ、過去の経験に閉じず、学び続ける姿勢が求められている。
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