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- アンソロピックの「自業自得」か政府の「失策」か…Fable5・Mythos5輸出規制に、専門家らが激しく反応
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グローバルインサイト

- アンソロピックは、同社が6月9日にリリースした強力なAIモデル「Fable 5」「Mythos 5」に対する外国人のアクセスを遮断するよう、トランプ政権から命じられたと発表した。
- これを受け、同社はこの2モデルに対するアクセスについて、アメリカ人・外国人問わず全面的に停止した。
- この政府の措置はテック業界に衝撃を与え、賛否両論さまざまな反応が飛び交っている。
アンソロピック(Anthropic)が、Fable 5とMythos 5に対する外国人のアクセスを遮断するようトランプ政権から命じられたため、両モデルへのアクセスを外国人だけでなくアメリカ人も含めて完全に停止したとという発表は、テック業界全体に大きな衝撃を与えた。
ホワイトハウスとアンソロピックの間に存在していた敵対関係が新たな展開を見せたことに対し、業界人や専門家はどんな反応を示しているのか。ソーシャルメディアに投稿された主な発言を紹介する。
ディーン・W・ボール氏|ファウンデーション・フォー・アメリカン・イノベーション上級研究員
トランプ政権のAI政策「America's AI Action Plan」の主要起草者

「もしこれが事実なら、まったく理解に苦しむ。この政権は、先進的AIチップを中国に輸出"すべきだ"と言いながら、その一方で、イギリス(そして地球上の非アメリカ人すべて)に対して、アメリカで最も優秀なモデルの使用を禁じようと言うのか?言葉を失う」
「これがアンソロピックを狙い撃ちにしたLawfare(法的手続きを利用する戦術)なのか、それとも極端な国家安全保障タカ派的な発想なのか、判断がつかない。いずれにせよ、あまりにも滑稽だ」
ピーター・ガーナス氏|ゼロデイ・イニシアチブ上級脅威研究員
Microsoftのセキュリティ欠陥(ゼロデイ脆弱性)を発見したことで知られるサイバーセキュリティ専門家
「2つのことが同時に真実として存在する。
第1に、アンソロピックは数カ月かけてMythosを『リリースするには危険すぎる』と宣伝してきた。オープンAI(OpenAI)のサム・アルトマン(Sam Altman)CEOは『我々は爆弾を作った、と言うのは素晴らしいマーケティングだ』と評した。
そしていまや、商務省が正式にそれを"爆弾"と認めたわけだ。アンソロピックがプレスリリースを出すたびに自社製品を"兵器"だと言い続ければ、いずれ政府はその言葉を額面通りに受け取る。彼らは自ら法的根拠を作り出し、それを『ブランド』と呼んだのだ。
第2に、我々は過去にも同じ実験を経験している。1990年代、政府は暗号技術をITAR(国際武器取引規則)上の"兵器"に分類した一件だ。
当時、“活動家”たちは暗号ソフト「PGP」のソースコードを「本」として物理的に印刷することでその規制を突破した。フロッピーディスクだと武器輸出に該当するが、本という形であれば言論の自由(憲法修正第1条)で守られるからだ。RSA暗号のPerlコード3行をTシャツに印刷すると、同じ印刷でも法的には"兵器"扱いだった。結局は、暗号技術という数学の理論(数式)を税関で止めることはできず、この暗号技術規制は崩壊した。
今回新たに加わった厄介な要素は、『みなし輸出(deemed export)』ルールの存在だ。これは、アメリカ国内であっても外国籍の人物に規制対象技術を見せれば、海外に輸出したとみなされるというものだ。だからこそ現在、アンソロピックの外国籍従業員たちは、自分たちで構築したモデルから締め出されてしまった。“兵器”はビルの中にあるのに、それを作った当事者たちがそれを見ることを許されていないのだ」
マーク・アンドリーセン氏|アンドリーセン・ホロウィッツ パートナー
シリコンバレーを代表する著名ベンチャーキャピタリストで、トランプ政権のAI政策に影響力を持つ民間人の1人
クリス・マクガイア氏|外交問題評議会 中国・新興技術担当上級研究員
バイデン政権下で、対中AI・半導体輸出規制戦略の立案・実施を主導した元政府高官
「特定モデルに的を絞ってアクセスを輸出規制すること自体は、賢明な判断だと思う。しかし、何の予告もなく、単一のモデルに対してすべての国を一律に規制することに関しては、非常に疑問だ。さらに、外国籍者のアクセスも制限するような、広範な『みなし輸出』規制を課すことはまったくバカげている。今回まさに起きたように、そのモデルは流通から引き揚げられる結果になるのは、火を見るより明らかだ。
輸出規制は重要なツールであり、極めて強力な手段だ。正しく運用すれば、AI分野におけるアメリカのリードを大幅に拡大できる可能性がある。しかし誤った使い方をすれば、AI開発を阻害することになる。
商務省の輸出規制戦略は完全に支離滅裂であり、自国の首を絞めている。中国に強力な先進AIチップを輸出することを許し、中国側の密輸を防ぐための規制を執行せず、結果としてAIチップが中国に流出する巨大な抜け穴を作り出している。その一方で、自国のAI企業が自社モデルをリリースすることは妨げているのだ。
こんなことは止めなければならない。敵対勢力が先進技術にアクセスできないように強力な輸出規制を適用しつつ、アメリカ企業を優位に立たせるような、賢明な輸出規制戦略が直ちに必要だ。商務省と産業安全保障局(BIS)は一貫して逆のことを行っている。もしBISが自らの権限の使い方や、自らの行動がもたらす影響を理解していないのなら、実効性のある輸出規制戦略を実際に遂行できる人材に交代すべきだ。現状の戦略は支離滅裂で、自滅的だ」
マシュー・パインズ氏|フィジカル・スーパーインテリジェンスCEO
国家安全保障戦略畑で、国家安全保障、地政学、新興技術のリスク分析を専門とするAI起業家
「これはすべてのAIラボ(AI企業)とネオラボ(新興AI企業)に衝撃を与えることになる……アメリカの輸出規制法は厳格責任の基準(故意・過失を問わず法的責任が生じる厳しい基準)で運用される……非常に鋭利な刃だ……」
ダン・シッパー氏|エブリーCEO
購読者13万人超のAIコラム「Chain of Thought」の著者で、AI活用を実践・発信する起業家兼オピニオンリーダー

「現時点での私の見立ては、数日以内に禁止が解除され、結果としてFableに対する需要が高まるだろうというものだ。
ただ、こうした事態は企業内部の人々にとって極めて破壊的な混乱を招き、気が散る要因になる。私が思い出せる唯一の似たような出来事は、オープンAIのサム・アルトマン氏の解任劇だ。あれは比較的早く収束した。結局アルトマンは復帰したが、しばらくの間、同社のモメンタム(勢い)は削がれたと思う。
今回も良い結末になることを願っている!」
ジョシュ・ピグフォード氏|バレメトリクス創業者
SaaS向け収益分析ツール「バレメトリクス」を立ち上げたことで知られる連続起業家
「アンソロピックはこの6〜12カ月、誇張したアピールをし続けたことで、自分たちに何の利益ももたらさなかった。ただし、今回の措置が国家安全保障とは無関係なことだけは断言できる」
ピーター・バーネット氏|機械知能研究所研究員
人工超知能(ASI)のリスク研究で知られる「機械知能研究所」で、AIの安全性・整合性の確保を専門に研究
「もしアメリカ政府がFable5を輸出規制した理由が『ほかの企業がそれをジェイルブレイク(安全制限の回避)できると言ったから』だとしたら、アメリカ政府が展開許可を出す前に、AI企業同士が互いのモデルをレッドチーム(攻撃的テスト)し合うような管理体制の世界へと、我々は知らず知らずのうちに足を踏み入れているのかもしれない」
ユスフ・マフムード氏|アメリカ・ファースト政策研究所(AFPI) AI政策ディレクター
トランプ支持派のシンクタンクAFPIでAI政策を牽引し、米国の競争力を重視する政策スペシャリスト
「アメリカ政府はたったいま、アンソロピックに対し、Fable 5とMythos 5に対する外国籍者のアクセスを、国内外を問わず全面停止するよう命じた。念のために言っておくと、アンソロピックを含むすべてのフロンティアAIラボ(最先端のAI研究企業)の技術系従業員の大部分は、おそらく外国籍者だ」
— Yusuf Mahmood (@YusufSMahmood) June 13, 2026The US government just ordered Anthropic to suspend all foreign-national access to Fable 5 and Mythos 5, inside or outside the US.
As a reminder, huge percentages of technical employees at all the frontier AI labs (including Anthropic) are likely foreign nationals. pic.twitter.com/hQqvNIMuuz
ジェレミー・ハワード氏|fast.ai共同創業者
ChatGPTやGeminiなど現代の大規模言語モデル(LLM)の基盤となる学習手法を開発したディープラーニング分野の世界的権威
「私はこの決定に同意できないし、好ましくも思わない。
だが同時に……
『アンソロピックはなぜこの展開を予測できなかったのか?』とも思う。


























