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Business Insider Japan

一生に一度は見たい浮世絵。実物を目にして初めてわかる「プロの技術」(町田市立国際版画美術館) 日本発「シャンプーのきざみ」をグローバル標準へ。P&Gが実証する、13億人の不便を解くインクルーシブデザイン オールバーズの「876%」株価急騰を見て、AIクラウドへの事業転換を試みる模倣者が出現するかも キッチンに掛けた調理器具が汚れる問題。1000円で買える山崎実業のこれが解決してくれた xAIは自社の計算能力の一部を、コーディングスタートアップのカーソルに提供する計画だ AI企業はユーザー単位の課金から作業量に応じた従量課金へと移行しつつある エネルギー業界の米コンサルが語る、ガソリン価格が間もなく1ガロン5ドルに「急騰する」と懸念する理由 生成AIの次は「フィジカルAI」。アクセンチュアが挑む製造業変革の最前線 AIの使い方次第であなたの認知能力は失われる…思考力を磨くのか、思考を外部に委ねるのか 「市場の3つのネガティブ心理は買いのサインかもしれない」。バンカメの最新調査が明らかにした投資家心理 面接が終わった後何の連絡もない。採用担当者に返信を催促すべきか否か?あなたならどうする? ヘッジファンド投資は「選別の時代」へ…ブラックロックが明かす業界の勝者と敗者の見分け方 ディズニーで実施されたレイオフを受け、イーエスピーエヌのジミー・ピターロ会長がスタッフに送ったメモ 【独自】ディズニーの退職者に支払われた退職金パッケージの全容 AI分野の3人のリーダーはバブルについてどう考えているか…注意すべき脆弱性の兆候についての共有 「マーク・ザッカーバーグはデスクを移動し、再びコーディングを始めた」。メタの社長が語ったその理由 ジェンスン・フアン氏は、エヌビディアが勝者を選ぼうとするのではなく、多数の企業に投資する理由を説明する LinkedInの共同創業者が、リーダーはAI戦略を見直す必要があると熱弁した。彼のアドバイスは「毎週のチェックイン」…今すぐ実行できる 【独自】3兆円規模の解約請求が殺到…でも返還率はわずか53%。各プライベートクレジット・ファンドの投資家が、実際に受け取れた金額を示す3つのグラフ NetflixのゲームコントローラーアプリがApp Storeで首位…ChatGPTなどのAIアプリを上回る AIの先駆者は今、「信頼性」と「安全性」の構築に取り組んでいる | Business Insider Japan 9人の女性起業家が挑んだ「発信力」。3つのメディアが評価した事業の共通点とは | Business Insider Japan グーグル「Pixel 10a」カメラレビュー:「8万円未満で2眼構成スマホ」のコスパを実機で確認 | Business Insider Japan AIボット「ボビー」が、全米2万軒のガソリンスタンドに電話で価格を聞きまくるアプリが出来た。バイブコーディングで5日間で完成したという | Business Insider Japan 『ハリー・ポッター』ファンも知らない? セブルス・スネイプに関する13の事実 資金調達に成功した起業家9人とVCが明かす、プレゼン資料作りの必勝テクニック22項目 世界最安2.5万ドルのEVトラック開発進める元クライスラー女性エンジニアの現在地 コンセントまわりがゴチャゴチャになる問題。工事不要のコレで「存在感を消す」のが正解だった TikTokの対抗企業であるTriller、メディア事業の収益は0ドルという驚きの収益を開示 AIに「予算10万ドル」を渡してブティックを運営させてみた。オープン初日、誰も人間が働きに来ずパニックになった アメリカ経済に求職者不況が到来した アンソロピックの共同創業者が語る、大学で何を学ぶべきか 創業120年、DNAは「チャレンジ」。白洋舍が脱炭素で描く未来 S&P500が史上最高値…ウェルズ・ファーゴの強気シナリオでは7月までに7300に到達 元テスラ社長、売上向上のためにドミノ・ピザのオンライン注文システムを模倣したと語る…キーになるたった1つの指標 Ruby on Railsの創設者は、業界がシニア開発者の重要性を認識し始めていると述べている BoxのCEOが明かす「エンジニアはAIトークンをたくさん無駄にすべきだ」と言う理由…それは急成長への必要悪だからだ スターバックスはChatGPTをあなたのパーソナルバリスタへと変えつつある VCの仕事で「燃え尽き」て、ピラティスで起業して人生が一変しました。今は以前よりも働いていますが、「イエス」を強制しない生活はとても心地いいのです すべての会議を録音することで世界はより良くなるか? このヘッジファンドの共同創設者はそう考えている | Business Insider Japan わざわざ法的に結婚するのは勇気が必要…Z世代が理想とする「新しい結婚のかたち」 AnthropicがClaude新機能で明らかにした、マイクロソフトへの「挑戦状」。「脱・開発者向けツール」姿勢を鮮明に | Business Insider Japan アメリカのEV市場は急速に縮小…政府の税制優遇がなくなり、過酷な状況に | Business Insider Japan 経営幹部たちは、ホワイトハウスに誰がいようと関税は今後も続くと考えている【PwC調査】 「リーダーはコスパが悪い」管理職候補の65%が昇進に迷い。損保ジャパンが進める“リーダー=罰ゲーム”からの脱却 動画編集ソフト「プレミア」に開発期間3年の大型アップデート。Frame.ioや生成AIにも新機能登場 アマゾン退職後、再就職は厳しいものだった…人脈を活用することでようやく職を得ることができた 毎週コストコで買い物をしている筆者が実践する、節約の「コツ」 AIエージェント導入でソフトウェアのライセンス契約数がこれまで以上に必要になるって本当? 【自転車の青切符】Luupにドコモバイク、OpenStreet…自転車シェア事業者はどう付き合うか AIにおける次の大きなトレンドは「ダークファクトリー」 サイゼリヤは絶好調から一転、スシローにも忍び寄る…「デフレに強い日本企業」が中国で直面する落とし穴 BYDのグローバル展開を、ガソリン価格高騰が後押し。「試乗するだけで1週間待ち」など、早くも需要が供給を上回る兆し ウォール街のアナリストたちがメタの「Muse Spark」発表を絶賛 ウクライナ軍、ネコとイヌをドローンで最前線から12km輸送 TOTOがユニットバス新規受注停止、再開「見通し立たず」。ホルムズ海峡封鎖→ナフサ不足、LIXILは「状況が確定次第、公表」【イラン戦争】 米・イランの和平交渉の失敗は、市場にどんな影響を及ぼすのか? 識者たちは次のように述べている 米系メガバンクのシティ、Q1決算後に急騰が見込まれる16銘柄の「買い推奨リスト」を発表 窓のない未来的なプライベートジェット…すでに300機の受注を獲得 「セミFIRE」投資家が、お金に対する考え方を変えることにつながった3冊の本を紹介 ユナイテッド航空のCEOが明かした、採用候補者の「人柄チェック」のためのある採用戦術 アルファベットがこれほど投資家に愛されるのに、メタはそうでないいくつかの理由 シリア出身ジャーナリストが明かす、イランが「容易に倒れない」納得の理由…地政学だけではない中東の現実 ソフトバンク「ギリギリまで待った」料金値上げの影響は? 新プラン「ペイトク2」や衛星通信・海外サービスも開始 OpenAI、自動化税・公的基金の運用・週4日勤務制などを提唱…AIによる破壊的な変化に備えて ビッグ4の一角、EYが監査業務にAIエージェントを導入…若手社員向けに「これまでとまったく違う」研修も 時価総額6300億円だったベンチャーが、たった61億円で身売り…人気スニーカーブランド「オールバーズ」がIPOの熱狂後にたどった転落 Anthropicの「Claude Mythos」の能力をセキュリティの専門家はどう見ているのか 岡山に日本法人を持つ、謎の「スマートグラス米国企業」が10年赤字続きでも“問題ない”理由……調達600億円超のディープテック 一生に一度は一緒に海を眺めたい。心に「安寧」を感じるヘンリー・ムーアの彫刻(MOA美術館) インテリアデザイナーに聞いた、花粉シーズンに見直したい部屋づくりの4つのポイント 元ゴールドマン・サックスで26歳の女性は、ケーキ職人になった。「ウォール街のスキルはいまのビジネスにも役立っている」 ロレックス以外ならこれ…おすすめの高級腕時計ブランド5選 ノルウェーの人々が実践する長寿の秘訣とは…3つのシンプルなアンチエンジング習慣 税務の専門家が自分でツールを開発することで「10人分の能力」を得る…KPMGがパイロットプログラムを実施 無印良品で揃う「手芸アイテム」で人気のジュートバッグをアレンジ。初心者でも愛着のある逸品に 【佐藤優】仕事は「やりがい」か「お金」かの二者択一ではない。天職が見つかる2つの条件とは? 私の起業のために、友人が子供たちの教育資金から約2300万円を貸してくれた。今ではふたりともミリオネアだ 自動運転車の修理は眼科医のようになる…センサー修理のスタートアップはインフラ化を目指す コストコのエグゼクティブ会員で、4人の子どもを持つ筆者がいつも購入している「大好きな商品」とは AIが業界の90%を消滅させると考えるライターは、だからこそ積極的に活用する 47歳から2歳まで、8人の子を持つ億万長者が実践する「子育ての黄金ルール」とは 【佐藤優】親友は3億5000万円の価値。学生時代に「友達を作る力」をつけよ 女子サッカー界で加速する“白パン廃止”。「そういうものだから」を変えたSOMPOのアクションの舞台裏 アンカー初の文字起こしレコーダー「Soundcore Work」を試す。話者識別の精度と使い勝手の良さが光る 毎年のマスターズ・トーナメント期間中、ある家族は自宅を貸し出す。その収益は約1500万円以上になるようだ 脂肪を燃焼させ、筋肉を鍛えるための2つのシンプルなルール 805%の利益を得たトレーダーが、急上昇する株を見分けることができる明確なチャートパターンを解説 【自転車の青切符】「歩道走行は即罰金」の誤解。「指導」と「取り締まり」を分けるポイントと制度の本質 動画文化で高まる「極太フォント」需要。アドビが新書体「ネオクロ」を開発する理由 『イン・ザ・メガチャーチ』が2026年「本屋大賞」受賞。「推しや夢中になれるものが見つからない」作家・朝井リョウからのアドバイス ペットボトル買うのをやめたい。正解は、水道水を補給するだけでいつでもおいしい水が飲めるブリタのコレだった リップブー・タン率いる新生インテル、5年前の株価水準を回復。ITバブル時の最高値更新も見えてきた メディアが報じないトランプ政権の真実。「若手は日本に学ぶべき」と語るホワイトハウス精鋭たちの本音 米イラン停戦合意も市場には5つのリスク…UBSが推奨する投資戦略とは? トランプ大統領のイラン停戦合意後、市場はFRBの利下げ確率が急上昇すると見ている OpenAIの最新のフェローシップには、月額最大1万5000ドルのAIコンピューティング費用を含む TikTok、北米広告部門トップ幹部が退任する 外資コンサルBIG3、マッキンゼーの新たなAIリーダーシップ指針が判明…「組織をフラット化し、スピードを上げよ」 ステージ4のがん闘病を支えたAIツールの体験記…「私はバイブ・コーディングで母のために医療管理ワークフローを構築した」
AIに人間らしさはいらない。グーグル、OpenAIが語った2026年に議論すべき「AIの奉仕先」 | Business Insider Japan
木蔵シャフェ君子 · 2026-06-15 · via Business Insider Japan
  1. BUSINESS INSIDER
  2. ビジネス
  3. AIに人間らしさはいらない。グーグル、OpenAIが語った2026年に議論すべき「AIの奉仕先」

木蔵シャフェ君子

「AIにあなたの人間性を、どこまで明け渡しますか?」

この刺激的な問いが、2026年のテック界に一石を投じた。

現在のAI議論は生産性向上などの「どう使いこなすか」に偏っているが、本当に必要なのは「AIを人類の繁栄の伴走者とするために何ができるか」という根源的な問いである 。

私は長年、シリコンバレーにおけるマインドフルネスやウェルビーイングの潮流を現場で見つめ続けてきた。その視点からあえて言えば、私たちは時代の流れに取り残されまいと、AIを使いこなすことだけに必死になっていないだろうか。

いま求められているのは、AIを社会の「共有資源(コモディティ)」としてどう持続可能にするかという、経営者やリーダー側の倫理である。

2026年5月にサンフランシスコで開催された「Wisdom & AI Summit 2026」に参加して、その思いを強くした。そこでの議論をベースに、これからのテック社会を牽引する次世代の意思決定層が今ビジネスの舵取りとして実装すべき「新しい社会契約」と「リーダーシップのあり方」を提言したい。

木蔵シャフェ君子

マインドフル・リーダーシップ・インスティテュート理事

木蔵シャフェ君子

国際基督教大学卒、ボストン大学MBAを取得後、P&G、LVMHでブランドマネジメントを行い、担当ブランドで高いマーケットシェアを獲得。2000年より渡米・独立し、カリフォルニア在住。
2014年日本人初のGoogleで開発されたSIYの認定講師となり、世界各地でマインドフルネスとリーダーシップを伝える。
東京科学大学学外アドバイザー、瞑想アプリCALMインストラクター。著書・監訳書籍は、『シリコンバレー式頭と心を整えるレッスン』(講談社)、『コンパッション』 (ジョアン・ハリファックス著、英治出版)など多数。

第1部 ― 問いの主語を「私たち」に取り戻す

「AIは、何に奉仕する存在なのか」という問い

Soren Gordhamer(ソレン・ゴードハマー):Wisdom 2.0 および Wisdom & AI Summit の創設者・ホスト。テクノロジー業界のリーダーと東洋の智慧の伝統を結びつける場を主宰してきた。著書『Wisdom 2.0』。
Soren Gordhamer(ソレン・ゴードハマー):Wisdom 2.0 および Wisdom & AI Summit の創設者・ホスト。テクノロジー業界のリーダーと東洋の智慧の伝統を結びつける場を主宰してきた。著書『Wisdom 2.0』。
筆者提供

サミットの幕開けでソレン・ゴードハマー氏が投げかけた問いは、シンプルだが決定的に重要なものだった。

「AIは何に仕えるべきか(What is AI in service to?)」

ソレン氏は、AIが「何をできるか」という技術的議論以上に、AIが「何に仕えるべきか」を問うことが不可欠だと説いた。AIが人間の依存心や無知を助長するのか、それとも健康と幸福を支えるのか ―― その方向性を決めるのは、技術ではなく私たちの意識である。

彼が強調した「内なる目的」への回帰、つまり情報の洪水のなかでも自分にとって本質的なものを見失わないという姿勢は、ユーザー責任論の出発点である。自分が何のためにAIを使っているかを自覚していなければ、私たちは知らぬ間に「アテンション・エコノミー」の住人として、AIに使われる側に転落してしまう。

AIは「社会的存在」である

写真中央がブレーズ・アグエラ・イ・アルカス(Blaise Agüera y Arcas)氏。グーグル副社長兼フェロー、Technology & Society 部門 CTO。プライバシーを保護したまま分散学習を可能にする「フェデレーテッド・ラーニング」の発明者。著書『What Is Intelligence?』。
写真中央がブレーズ・アグエラ・イ・アルカス(Blaise Agüera y Arcas)氏。グーグル副社長兼フェロー、Technology & Society 部門 CTO。プライバシーを保護したまま分散学習を可能にする「フェデレーテッド・ラーニング」の発明者。著書『What Is Intelligence?』。
筆者提供

グーグルのブレーズ・アグエラ・イ・アルカス氏は、現代のLLMが単なる単語の統計的予測を超え、人間が他者との対話を通じて知識を構築するプロセスに似た形で「社会的な文脈から生まれる知能」になりつつあると論じた。

この視点は重要な含意を持つ。AIが社会的存在であるならば、その学習データの源泉は私たち自身の問いかけと反応である。私たち一人ひとりのプロンプトは、孤立した私的行為ではなく、社会的なコモンズへの寄与(あるいは汚染)として機能している。

ブレーズ氏自身、「AIという強力な道具を一部の企業が独占するのではなく、社会全体でどのように民主的に管理していくかが、これからの10年の最大の課題である」と指摘した。

提供者側の倫理だけでは十分ではなく、社会全体での合意形成 ―― そして、その土台となる一人ひとりの自覚 ―― が求められている。

「新しい種」としてのAI、そして新しい社会契約

Hans Peter Brondmo(ハンス・ペーター・ブロンドモ)氏は元Google副社長、Google X「Everyday Robots」プロジェクト創設者兼元CEO。MIT卒、AIに身体を与えるロボティクス分野の世界的先駆者だ。
Hans Peter Brondmo(ハンス・ペーター・ブロンドモ)氏は元Google副社長、Google X「Everyday Robots」プロジェクト創設者兼元CEO。MIT卒、AIに身体を与えるロボティクス分野の世界的先駆者だ。
筆者提供

ハンス・ペーター・ブロンドモ氏は、AIとロボットを連携させAIに手足・身体を与える先駆者である。彼はAIロボットを「新しい種(New Species)」として捉え直すべきだと提案した。一人が学べばネットワーク経由で全ロボットが瞬時にそのスキルを習得する。これまでの積み上げ型の進歩と対比される、指数関数的な自己学習モデルである。

AIがロボティクスと結びつき、物理世界に手足を伸ばし始めたいま、この「新しい種」の振る舞いを、誰がどう監督するのか。ブロンドモ氏は、技術者だけでなく経済学、哲学、芸術、人類学の視点を開発の初期段階から取り入れる「新しい社会契約(A NEW SOCIAL CONTRACT)」が必要だと訴えた。

ここで重要なのは、彼が母親のパーキンソン病の介助の経験から導き出した洞察である。彼の母親は、人間の介助には羞恥心や尊厳の損失を感じてしまうため、AIロボットによる介助を好んだ。そして人間とは対話やトランプの相手をしてもらうことを楽しみにしていた。彼女にとってAIロボットの真の価値は、「他人を家に入れずに自立して暮らす尊厳」を守り、人間どうしが「トランプをして笑い合う」時間を取り戻すことにあったのだ。

私たちがAIロボットに何を任せ、何を任せないかは、こうした人間的価値からのみ逆算されることを願ってやまない。

第2部 ―コモンズが壊れていく現実

アルゴリズムが管理する労働、追い出される住民

「Community Well-Being in the Age of AI」のパネルでは、AIが「個人の生産性」を高める一方で「コミュニティ全体」や「既存の格差」にどう波及しているかが、具体的な数字とともに示された。

Maria Noel Fernandez(マリア・ノエル・フェルナンデス)氏(写真右端)。Working Partnerships USA エグゼクティブ・ディレクター。シリコンバレーで低所得労働者・ギグワーカーの権利擁護に取り組む。写真左から2番目がCatherine Bracy(キャサリン・ブレイシー)氏。TechEquity Collaborative 創設者兼CEO。テック業界の繁栄と地域コミュニティの公正な発展の両立を訴える政策・運動家。
Maria Noel Fernandez(マリア・ノエル・フェルナンデス)氏(写真右端)。Working Partnerships USA エグゼクティブ・ディレクター。シリコンバレーで低所得労働者・ギグワーカーの権利擁護に取り組む。写真左から2番目がCatherine Bracy(キャサリン・ブレイシー)氏。TechEquity Collaborative 創設者兼CEO。テック業界の繁栄と地域コミュニティの公正な発展の両立を訴える政策・運動家。
筆者提供

フェルナンデス氏の調査では、シリコンバレーにおける低所得労働者の約64%が、AIや自動化システムによる管理強化によって職場のストレスが前年より劇的に増加したと回答している。

ブレイシー氏は、AI関連企業のオフィス投資が急増したエリアで、過去2年間に近隣の平均家賃が22%増加、地元住民の所得増加率(わずか3.5%)を大幅に上回っている現実を示した。

テクノロジー企業は、自社のAIモデルのアライメント(倫理調整)だけでなく、自らが存在する物理的コミュニティとのアライメント ―― 家賃支援や雇用創出など社会的責任 ―― を果たすべきだ、というのが彼女らの結論だった。

これらの数字は、AIの「便益」が一部に集中し、コスト(ストレス、立ち退き、格差)が見えにくい形で社会全体に転嫁されている構造を浮き彫りにする。コモンズが壊れ始めているのである。

認識の危機:何が真実か分からなくなる世界

Randima (Randy) Fernando(ランディマ・「ランディ」・フェルナンド)氏。Center for Humane Technology 共同創設者。元 NVIDIA エンジニア。彼の組織はNetflixドキュメンタリー『監視資本主義(The Social Dilemma)』で世界1億人にテクノロジーの抽出的構造を可視化し「シリコンバレーの良心」とも呼ばれる。
Randima (Randy) Fernando(ランディマ・「ランディ」・フェルナンド)氏。Center for Humane Technology 共同創設者。元 NVIDIA エンジニア。彼の組織はNetflixドキュメンタリー『監視資本主義(The Social Dilemma)』で世界1億人にテクノロジーの抽出的構造を可視化し「シリコンバレーの良心」とも呼ばれる。
筆者提供

ランディ・フェルナンド氏は、Center for Humane Technologyが追跡しているデータから、AIとデジタルプラットフォームがすでに引き起こしている「人間性の侵食」を、具体的な数字で提示した。

・オンライン上のディープフェイク動画は、前年比で数倍(一部指標では300%以上)に急増。人々は「何が真実で、何が偽りか」を判断できない「認識の危機(Epistemic Crisis)」に直面している。

・10代の若者のメンタルヘルス悪化トレンド(不安症やうつ病の2倍以上の増加)が、生成AIによるパーソナライズされた対話型ボットの普及により、目に見えない形でさらに深まるリスクがある。

フェルナンド氏のスライドに掲げられたメッセージは鋭い。

テクノロジーが人間の弱点をハッキングする速度は、人間が知恵を育む速度よりも圧倒的に速い(Technology outpaces human wisdom)」

AI開発企業間の競争は、安全性や倫理的配慮を置き去りにした「底辺への競争(Race to the bottom)」を生んでいる。提供者側のスピード至上主義は、ユーザー側の思考停止と表裏一体である。

「いいモノなら売れる」はもう終わり。インド出身のクリエイターが指摘する、日本企業のマーケティングの盲点

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