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- 「サブスク」でAIは使い続けられるのか。アンソロピック幹部が語る、仕事の値段と人月モデルの行方

「同じ料金体系が、本当に正しいのでしょうか」
アンソロピック(Anthropic)で、研究成果のプロダクト化を統括するダイアン・ペン(Dianne Penn)氏はそう問いかけた。

「Claude」のようなAIサービスでは、サブスクリプションやユーザー単位の課金形態が広がっている。
だが、AIエージェントが単発の回答だけでなく、「調査」や「分析」「コード作成」「資料作成」といった複数の工程を担うようになれば、AIの利用量も、ユーザーが受け取る価値も変わってくる。
そのような環境で料金は固定のままでよいのか。使った分に応じて支払う「使用量課金(従量課金)」にすべきなのか。あるいは、達成した「成果」に応じて支払うのか。
この問いは、企業の仕事の値づけにもつながる。特に、日本のSIerに根づく人月モデルのように、人間がどれだけ働いたかを価格の根拠にしてきた領域では影響が大きい。
高性能なAIエージェントが企業に広がると、仕事の価格や人間の役割、SIerの価値はどう変わるのか。Business Insider Japanは、6月10日に東京で開かれた開発者向けイベント「Code with Claude」の会場で、ペン氏に直接聞いた。
なお、ペン氏へのインタビューは、アンソロピックの新AIモデル「Claude Fable 5」「Claude Mythos 5」が、6月12日(現地時間)付のアメリカ政府の指示を受けて提供停止となる前に実施された。記事執筆時点の6月17日現在、Fable 5とMythos 5の提供再開の見通しは立っていない。
AIは「1つの成果物」ではなく、継続する仕事を担う

ペン氏がAIエージェントの進化を語る際に挙げたのが、「タスクホライゾン」という考え方だ。
タスクホライゾンのベースとなる単位は時間だが、「AIが何時間連続で動けるか」という単純な稼働時間の話ではない。人間の専門家なら何時間、何日もかける仕事を、AIがどこまで一続きの仕事として扱えるようになったのかを見る考え方になる。
ペン氏は、ビジネスの現場における多くの仕事は、そもそも長い時間軸を持っていると話す。
例えば、ファイナンスアナリストであれば、業績や売上の予測を作るだけでは不十分だ。その内容を異なる相手に向けて説明し、新しいデータが入れば更新し、分析を繰り返す必要がある。
「仕事は、1つのスプレッドシートや1つの分析で終わるものではありません」(ペン氏)
ペン氏によると、Fable 5では、こうした長い仕事に対して、複数の成果物を継続的に作れるようになっている。時間とともに内容を更新させたり、適切な目標やツール、文脈を与えた上で、改善の機会を見つけさせたりすることもできるという。
AIは、チャットで答えを返すだけの存在から「1つのスプレッドシート」では終わらない仕事の流れに入り始めている。
サブスクだけでは、AIの価値を測れない

AIが長く複雑な仕事を担うようになると、課金の「単位」そのものも変わってくる。
日本のシステム開発では、見積もりはしばしば「人月」で語られてきた。投入する人員数と期間の掛け算だ。何人が何カ月働くかが、そのまま見積もりの土台になる。
だが、その工数の一部をAIエージェントが肩代わりするようになれば、「何に対して支払うのか」は単純ではなくなる。発注側は「短く済んだのだから安くなるはず」と考えやすい。一方、受注側は従来の工数を前提にした売上を維持しにくくなる。単なる「人数×時間」の計算だけでは、価格の説明が難しくなる。
ペン氏は「完璧な答えはまだない」としつつ、従来のサブスクリプションやユーザー単位の課金だけでは捉えきれない使い方が増えていると話す。
また、従来のソフトウェアサービスがサブスクリプションやユーザー単位の課金と相性がよかったのは、「使い方が比較的安定し、入力と出力もある程度予測できたから」だと説明する。
しかしAIベースのサービスでは、同じサービスに求められる仕事の中身が短期間で変わっていく。コードの入力補助に使っていたモデルを、次にはエージェント型の開発支援に使う。さらにその先では、数日間にわたって非同期に走るAIエージェントとして使うかもしれない。同じモデルでも、求められる仕事の量や価値は大きく変わる。

























