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- ナスダック100ETF、オルカンETF……6月1日前後に“株式分割”する全9銘柄リスト。それぞれのファンダメンタルズも解説する

- 地政学的リスクが大きく減るなか、日経平均はついに6万5000円台をも突破した。
- そんななか、6月1日前後には3つのETF(上場等信託)を含め、9銘柄が株式分割を行う。
- それぞれの株式分割の詳細に加え、ファンダメンタルズを解説していく。
数十年の時を経て、日本株はふたたび活況を呈している。
地政学的リスクが大きく減るなか、日経平均はついに6万5000円台をも突破した。海外銘柄に比べて、いまだ割安と言える日本市場の勢いは、まだまだ衰える気配が見えない。
その一方、スペースX(SpaceX)などの巨大IPOが複数控える米国市場もいま、大きく盛り上がっている。今回の株式分割動向には、そうした事情も絡んでくる。
6月1日前後には9銘柄が株式分割を行う。それぞれのファンダメンタルズを解説していく。
「株式分割」とは何か?
- 国内では100株を1単位とする「単元株制度」により、個別株投資のハードルは高い。そんななか、東京証券取引所(東証)は株式の投資水準について、最低購入金額は「50万円未満」が望ましいとしてきた。
- そこで、昨今では「株式分割」を実施する企業は多い。株式分割とは1株を小分けにすることだ。例えば1株3000円の銘柄を10株に分割する場合、1株300円となる。すると最低購入価格が、1単元で30万円だったものが、3万円になるのだ。
なお、分割によって株価は低減するものの、株数そのものは増える。そのため、分割の前後で投資家が保有する株式の"価値"は変化しない。
「株式分割」を行う企業の狙い
- 企業が株式分割を行う主な目的は、さらなる投資を呼び込むためだ。分割後はより少ない金額で購入できることになり、新規で購入を考える投資家にとっては魅力的な銘柄となる。
- また、企業が成長を続け、株価が大幅に上昇してしまった場合に、一定の流動性を確保するために分割が行われる場合がある。特に日本市場では単元株制度を導入しているため、最低購入金額が高くなった銘柄の株式分割は効果的だ。
1. NEXT FUNDS NASDAQ-100Ⓡ(為替ヘッジなし)連動ETF|巨大IPOで注目! ナスダック100と連動
効力発行日:2026年5月26日
市場:東証
分割比率:1/200
分配金利回り:0.32%
株主優待:なし
NEXT FUNDS NASDAQ-100Ⓡ(為替ヘッジなし)連動ETFは5月26日を効力発生日として口数分割を実施した。以前の基準価額は4万7000円台であり、1口ずつ購入する形式だった。200分の1の口数分割を実施した上で、売買単位を10口にしたため、現在の最低投資金額は2000円台である。
このETF(上場投資信託)は、ナスダック100指数との連動を目指している。ナスダック市場に上場する銘柄のうち、金融を除く時価総額上位100銘柄が算出対象だ。時価総額の加重平均で算出される。エヌビディア(Nvidia)、アップル(Apple)、マイクロソフト(Microsoft)アマゾン(Amazon)、テスラ(Tesla)、メタ(Meta)、アルファベット(Alphabet)などおなじみのテック株が上位を占める。今回の口数分割により、こうした銘柄に間接投資するハードルが大幅に下がった形だ。
なお、ナスダック100指数に関しては5月から「ファスト・エントリー」規則が導入され、時価総額が大きい場合は毎年12月の組み入れタイミングを待たず、上場後15営業日で指数算出銘柄に組み入れられることになった。スペースXが6月12日にIPOを予定しているほか、オープンAI(OpenAI)やアンソロピック(Anthropic)もIPOを目指しており、こうした銘柄を組み入れる狙いがあると考えられている。
2. パワーエックス|蓄電システムの需要拡大に乗る
効力発行日:2026年6月1日
市場:東証グロース
分割比率:1/3
配当利回り:0.00%
株主優待:なし
パワーエックスは6月1日を効力発生日として株式分割を行う。投資金額を引き下げることで、投資家層の拡大と流動性の向上を図る。現在の株価は1万3000円前後を推移しており、最低投資金額は100万円を超える。分割によって50万円未満の基準を満たす見込みだ。
パワーエックスは12月末に上場したばかりだ。蓄電池ステムの製造を手がける。再生可能エネルギーの需要が高まるなか、その安定化のために蓄電システムは必要であり、順調に事業化を進めてきた。25年度の時点で赤字だが、今期の黒字化を目指している。有望な銘柄だが、既に上場時の初値から株価は10倍に膨らんでおり、様子を見ておく必要がある。
3. ドーン|自治体向け地理情報システムで着実に拡大
効力発行日:2026年6月1日
市場:東証スタンダード
分割比率:1/2
配当利回り:0.90%
株主優待:なし
ドーンも同様に投資家層の拡大と流動性の向上を目的として株式分割を実施する。現在の株価は2000円台後半で、最低投資金額は30万円を下回るが、さらに見かけ上の株価を下げる。
ドーンは地理情報システムを開発・運営し、自治体などにサービスを提供している。事業規模は決して大きくは無いが、近年は順調に業績を伸ばしてきた。売上高は20年5月期に10億円を超え、25年5月期には16億円を超えた。今期は17億円を見込む。利益も順調に伸ばしている。自治体を対象としているため、比較的安定性の高い企業と言える。
4. 岡谷鋼機|コロナ禍以降に利益が急成長
効力発行日:2026年6月1日
市場:名証プレミア
分割比率:1/2
配当利回り:1.85%
株主優待:愛知県産のお米
岡谷鋼機は24年に2分の1の株式分割を実施したが、再度実施する予定だ。目的は「より投資しやすい環境を整えるため」としている。株価は9000円台で、最低投資金額は90万円を超える。分割によって40万円台で購入できるようになる。
同社は鉄鋼・機械・建設資材の独立系商社で、売上高は23年度に1兆円を突破し、25年度は1兆1558億円となった。100億円台を推移していた営業利益は、コロナ禍以降で急激に伸び、25年度は400億円を超えた。特に自動車など製造業向けの販売が好調で、近年ではデータセンター向けの電子部品も牽引したという。株価が順調に伸びたため、分割を決めた形だ。なお、27年2月期は一巡し、営業利益350億円を同社は見込む。
5. エクスモーション|過去の株価まで回復できるか
効力発行日:2026年6月1日
市場:東証グロース
分割比率:1/2
配当利回り:2.83%
株主優待:なし
エクスモーションは6月1日を効力発生日として株式分割を行う。他社と同様、投資家層の拡大と流動性の向上が目的だ。現在の株価は800円台であり、10万円未満で購入可能だが、分割を実施して投資家を呼び込む。
同社は自動車業界を中心としたソフトウェア開発を手がけている。近年の売上高は10億円台前半を推移し、営業利益は1億円台を推移している。26年度は営業利益2億円超えを目指す。同社は2018年に上場し、株価は一時3000円を超えたことがある。しかし、その後は事業規模が小さいためか、注目されず、株価が低迷してしまった。グロース市場の銘柄は初期で著しく事業規模を拡大できなければ、投資家は離れやすい。
6. ERIホールディングス|検査需要の拡大で増収
効力発行日:2026年6月1日
市場:東証スタンダード
分割比率:1/3
配当利回り:2.60%
株主優待:なし
ERIホールディングスも投資家層の拡大と流動性の向上を目的として3分の1の株式分割を実施する。株価は4000円前後を推移しており、最低投資金額は約40万円だ。分割によって10万円台で購入できるようになる。株価は昨年まで2000円台を推移していたが、後半から上昇した。
ERIホールディングスは住宅性能評価など建築物の確認・検査を手がける。近年は省エネ基準への適合義務化などを背景に新築建築物の検査件数が増えており、同社の業績を牽引した。また、近年では設計・検査会社のM&Aを継続し、事業規模を拡大した。売上高は順調に伸び、25年5月期は約200億円となった。26年5月期は240億円を見込む。株価上昇は業績に連動した形だが、活況な不動産市場も一巡する可能性があり、楽観視はできない。
7. エレベーターコミュニケーションズ|新興のエレベーター検査会社
効力発行日:2026年6月1日
市場:福岡証券取引所・札幌証券取引所の本則市場
分割比率:1/2
配当利回り:0.00%
株主優待:デジタルギフト
エレベーターコミュニケーションズの株価は3000円台を推移し、最低投資金額は30万円台だ。投資家層の拡大と流動性の向上を目的として株式分割を実施し、10万円台で投資できるようになる。
同社は25年4月に札証に上場し、26年3月には福証に重複上場推した。社名通り、エレベーターやエスカレーターの保守点検を手がける企業だ。メーカー系の保守事業者よりも低コストであることをアピールしている。伸びは鈍化しつつあるが、日本のエレベーター数は高層化に伴い、増加し続けてきた。検査需要も拡大し、同社の売上高も順調に伸びた。ただし、株価は昨年に6000円の山を超えて以降、ピークアウトした。当面は財務改善を優先し、無配当としているため、株価も重いようだ。
8. MAXIS全世界株式(オール・カントリー)ETF|下落しても伸びても買い続けるべきオルカン
効力発行日:2026年6月9日
市場:東証
分割比率:1/10
分配金利回り:1.15%
株主優待:なし
MAXIS全世界株式(オール・カントリー)ETFは6月9日を効力発生日として口数分割を実施する。基準価額は2万9000円前後で、売買単位は1口だ。約2万9000円で購入できるが、投資家取引の利便性向上のために分割を実施するという。分割にあたって売買単位は変更せず、分割後は3000円弱で購入できるようになる。初心者を呼び込む狙いがあるとみられる。
なお、いまや国民的ファンドとなった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と名称が似ているが、こちらは別物であること注意が必要だ。「eMAXIS Slim」は投資信託であるのに対して、こちらの「MAXIS」シリーズは上場投資信託(ETF)となる。ETFは株式と同様、市場が開いている間はリアルタイムで価格が変動する。
また、eMAXIS SlimはNISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方に対応しているが、MAXISは成長投資枠のみだ。さらに信託報酬は、eMAXIS Slimのオルカンが0.058%であるのに対し、MAXISのオルカンは0.086%となる。
このETFは、複数のマザーファンドを通じて先進国・日本・新興国の株式に投資を行う。組入通貨別では米ドルが全体の6割超を占める。銘柄別ではエヌビディアやアップル、マイクロソフトなどの米テック株が上位を占め、台湾のTSMCが10位(比率1.3%)につく。改めて解説するまでもないが、近年はテック企業によるAI投資が活発化しており、半導体需要も拡大。先進国市場の株価を引き上げている。
だが、AIが技術革新をもたらすとはいえ、過剰な投資がバブルを引き起こしているという意見もある。とはいえ、オルカンに代わる低リスクファンドは無く、ドルコスト平均法などを採用しているなら、下落局面でも買い続けることが正解だ。
9. MAXIS米国株式(S&P500)ETF|AIブームで伸びる米国株
効力発行日:2026年6月9日
市場:東証
分割比率:1/10
分配金利回り:0.88 %
株主優待:なし
同ファンドの口数分割は、前述のMAXIS全世界株式(オール・カントリー)ETFと同じだ。10分の1の分割を実施しつつ、売買単位は変更しない。現在の基準価額は3万円台前半で、分割後は3000円台で購入できるようになる。
なお、こちらも似たような名前の投資信託「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」があり、それとはETF版であることに留意したい。信託報酬は前者が0.0814%であるのに対して、後者は0.066%となっている。
改めてS&P500はニューヨーク証券取引所、ナスダックなど米国に上場する500銘柄の時価総額の加重平均で算出される。銘柄の選定基準は時価総額や流動性など。MAXIS米国株式(S&P500)ETFの場合、エヌビディアとアップル、マイクロソフトがそれぞれ構成比率の6%以上を占め、アマゾン、アルファベットなどが続く。オルカンと同様、今後の基準価額はAI次第である。
まとめ
以上、6月上旬前後に分割を行う9銘柄について解説した。9銘柄中、3つがETFである。ETFは数千円で購入できるようにし、投資家を呼び込む狙いがあるようだ。
筆者は安定志向であるため、ETF3銘柄の中ではオルカンに注目したい。上昇・下落局面のいずれでも買い続けることが正解だ。万が一、AIブームがバブルとなった場合、若干ながらもオルカンの方が衝撃は小さいと考えている。前述の通りナスダックはIPO銘柄が注目されているが、筆者はスペースXのように実需に沿った銘柄を肯定的に見る一方で、AI関連銘柄は不確実性が大きく、頼りすぎるのは危険だと考えている。
株式の中では蓄電システムのパワーエックスが気になるところだが、現時点で無配であり、既に株価がテンバガーとなっている。無配銘柄は現時点で利益が出ていないため、財務改善を優先している場合が多く、安定性で選ぶ場合は避けたほうが良い。だが、配当し始めてから株価が上昇する可能性もあり、キャピタルゲイン狙いであれば買うのもありだ。
今回は銘柄数が少ないが、7月1日には住友商事や花王など多数の大物銘柄が分割する予定だ。次回も引き続き解説していきたい。




























