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- レザーブランドがなぜ研修へ? andu ametが示す「価値の拡張」という戦略

エシカルブランドとして知られるandu amet(アンドゥアメット)が、事業の次のフェーズに踏み出した。2026年4月に開催されたメディア発表会で、ブランド刷新と新コレクションの発表とあわせ、異業種となる「研修事業」への参入を明らかにした。
今回の発表の背景にあるのは、創業から15年を迎えた同社の転換点だ。発表会では、リブランディングの狙いについて「何を見て、何に違和感を覚え、何を美しいと感じるのか。その価値観そのものを社会に問い直していく」と代表取締役の鮫島弘子さんが説明した。
リブランディングで問い直す「美しさと違和感」

このリブランディングは、単なるビジュアルの刷新ではない。ロゴには、アフリカで知恵の象徴とされる羊の角と、叡智を受け継ぐ杖がモチーフとして取り入れられている。これまで培ってきた価値や思想を次世代へとつなぎ、社会に広げていく意思の表現だ。
背景には、創業者の鮫島さん自身のキャリアに根ざした問題意識がある。発表会では、日本で化粧品メーカーのデザイナーとして働いていた時代、大量生産・大量消費の構造の中で「短期間でつくり続けること」が前提となるものづくりに違和感を抱いていたことが語られた。
その違和感が、現在のandu ametの思想の出発点となっている。効率や量を優先するのではなく、時間をかけてつくられるもの、背景にある文化やコミュニティとの関係性を含めて価値と捉える。今回のリブランディングは、その価値観をより明確に打ち出し、「プロダクトの外側」にまで拡張していく意思表明でもある。
実際、新コレクションも単なる新作ではなく、アフリカで長く使われてきた生活道具や工芸品の造形を再解釈したものだ。ミニマルでありながら力強いフォルムの背景には、長い時間をかけて磨かれてきた機能美がある。素材には引き続きエチオピア産シープスキンを使用し、軽さ・柔らかさ・強度を兼ね備えた品質を追求している。
エチオピアの現場を起点にした研修事業

こうした「背景ごと届ける」思想の延長線上にあるのが、新規事業として発表された研修プログラムである。
同社が新たに提供するのは、アフリカ・エチオピアでのものづくりの現場をベースにした「越境型バーチャルフィールドワーク」。企業の次世代リーダー層を対象に、サステナビリティや社会との関係性を体感的に学ぶプログラムとして設計されている。
単なる知識のインプットではなく、「現場に触れることで価値観が揺さぶられる体験」を重視している点が特徴だ。ブランドの原点にある問い、つまり、何を美しいと感じるのか、どこに違和感を覚えるのかを、参加者自身が自分ごととして考える設計になっている。
今回の研修事業は、いわば「プロダクトの背景を、体験として提供する試み」。これまでバッグというかたちで表現してきた価値を、人材育成という領域にまで拡張する動きだ。
企業におけるDEIやサステナビリティの推進が求められる中、現場感覚を伴った学びのニーズは高まっている。特に、グローバルな視点や価値観の多様性をどう組織に取り込むかは、多くの企業にとって課題となっている。その意味で、異文化・異なる経済環境の中に身を置く疑似体験は、従来の研修とは異なる示唆をもたらす可能性がある。
ブランド刷新と同時に打ち出された今回の新規事業は、単なる多角化ではない。andu ametがこれまで培ってきた「価値の捉え方」を、プロダクトから人材育成へと拡張する試みとなるだろう。
(文:Mashing Up佐藤)
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