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- ローマ教皇レオ14世、初の回勅でAIに言及…巨大テック支配と雇用喪失に警鐘

- ローマ教皇レオ14世は、AIと、それが雇用、環境、民主主義に与える影響について回勅を発表した。
- レオ14世は、AIによる雇用喪失が「社会的災厄」になりかねないと警告した。
- 彼はAI開発者に向けた特別なメッセージも発信した。
ローマ教皇レオ14世は2026年5月25日に公表されたAIに関する長文の中で、大規模な雇用喪失から巨大テック企業によるAI支配に至るまで、さまざまな問題に警鐘を鳴らした。
教皇として初めて発表した回勅(教皇が道徳的・社会的課題について考えを示す重要な公式文書)は、「Magnifica humanitas: on safeguarding the human person in the time of artificial intelligence(マニフィカ・フマニタス:人工知能の時代における人間の尊厳の擁護について)」と題された245項目からなる文書だった。
この文書の公開を前に、AI(人工知能)業界の関係者らはローマ教皇や教皇庁に働きかけを行っていた。また、教皇による発表後には、アンソロピック(Anthropic)の共同創業者クリス・オラー(Chris Olah)がバチカン市国で講演を行った。
教皇はクリス・オラーに謝意を示し、今後協力して取り組んでいく考えを表明した。
「私は、ともに取り組み、耳を傾け、対話し、そして人工知能の時代における人類の進むべき道をともに見いだそうという、あなた方の提案を受け入れる」と教皇は述べた。
この長大な回勅の中で、教皇レオ14世は、自律型兵器、AIが環境に与える影響、そしてAIが人と人とのつながりにもたらすリスクについて警鐘を鳴らした。その一方で、人工知能そのものを「本質的に悪いもの」とは考えていないことも明確に示した。
5月25日に公表されたこの文書で教皇が示した懸念の多くは、これまでにも教皇自身が繰り返し述べてきた内容や、AIに懐疑的な立場の人々が指摘してきた論点と重なるものだ。
対立や議論が続くAIをめぐる議論に対して、教皇が本格的に関与した重要な意思表明と位置づけられている。
AIに関するこの回勅で教皇レオ14世が強調した主なポイントは、以下の通り。
1.AIは巨大テック企業に独占されるべきではない
教皇レオ14世は文書全体を通じて、AIの力が「ひと握りの人々の手に集中する」ことへの懸念を繰り返し示している。
現在AI業界は、エヌビディア(Nvidia)、マイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon)、グーグル(Google)、メタ(Meta)、OpenAI、アンソロピック(Anthropic)などの巨大テック企業が主導している。
教皇は特定の企業名を明示したわけではないが、「主要な経済・技術分野の担い手」が、プラットフォームやインフラ、データ、コンピューティング・リソースをますます支配するようになっている現状に強い懸念を示した。
教皇は「こうした力がひと握りの人々の手に集中すると、その支配構造は不透明になり、公的な監督を逃れやすくなる。その結果、ゆがんだ形で発展が進み、新たな依存や排除、操作、不平等を生み出すリスクが高まる」と記した。
教皇は、カトリック教会の「財の普遍的帰属」という考え方を踏まえ、これをアルゴリズムやデジタルプラットフォーム、データにも広げるべきだとの考えを示した。この考え方は、神々が創造した空気や水のような自然資源はすべての人が生まれながらに利用する権利を持つという教えだ。
教皇はまた、「規模は小さくても大きな影響力を持つ集団」が、AIを利用して民主的な意思決定の過程に影響を及ぼしたり、経済システムを自らに有利な方向へ誘導したりする可能性についても問題視した。
回勅の中で教皇レオ14世は、より高性能なアルゴリズムや、より大規模な学習用データ、商業的な優位性を競い合うAI開発競争を抑制すべきだと訴えた。
教皇は、「AIを『武装解除する』とは、テクノロジーを独占的な支配から解放し、議論や対話に開かれたものにすることを意味する。その結果、人間に寄り添う技術へと変え、多様な文化や生き方の中へ取り戻していくことにつながる」と述べている。
2.AI開発者へのメッセージ
レオ14世は、AIを開発する人々に向けて「特別な呼びかけ」を行った。
教皇は、開発者には「特別な倫理的・精神的責任」があると述べた。その理由として、あらゆる設計上の判断には、「人間とは何か、人間をどう考えるかという価値観」が反映されるからだと説明した。
レオ14世は、透明性と責任を重視し、さらに「開発や育成が進められているものが、本当に人々のためになるものなのかを慎重に見極める姿勢」を組み込んだシステムを開発するようAI開発者らに求めた。
また、「AIシステムは開発者の価値観や考え方の影響を受け、それによる偏りを広げてしまうこともあるため、完全に中立で客観的なものとして見なすべきではない」とも指摘した。
3.AIによる雇用喪失は社会全体の課題
回勅に書かれていた大きなテーマのひとつが、AIによる雇用喪失についてだった。教皇レオ14世は、大規模な失業が「真の社会的災厄」になりかねないと警告している。
生成AIが急速に普及し始めて以来、AIによって仕事が失われ、雇用市場に深刻な影響が及ぶのではないかという懸念は、議論の中心のひとつとなってきた。実際、最近の人員削減についてAIを理由に挙げる企業もある。一方で、誰もがAIによって雇用市場全体が深刻な危機に陥ると考えているわけではない。
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