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- 就活のスケジュール管理をAIに任せてみた。20社の選考で分かった「任せる境界線」
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20〜30社。気づけば、それだけの数の選考を同時に受けていた。
エントリーシート(ES)の締切、Webテスト、説明会、面接、動画の提出。一社ずつ進めるのであれば大したことはない。でもエントリーする企業の数が増えると、いちいち募集要項を確認して、締切をカレンダーに通知付きで登録して……という作業が、どんどん面倒になってくる。しかも、同じ日に締切が重なっている。
スケジュール管理が複雑になり、焦ってはいた。でもそれ以上に、細かく管理することが面倒くさかった。
そして、やらかす──。一社、ESの締切を見落としていたのだ。
このままでは自己分析どころか管理に時間をとられてしまうと思った私は、就活のスケジュール管理をまるごとAIに任せてみることにした。
最初に断っておくが、これはあくまでも「私の場合」の話だ。私はClaudeの「Skills」という特定の業務を繰り返すのに便利なAI機能を使ったが、ChatGPTでもGeminiでも、自分に合うツールを選べばいいと思う。なので「みんなこうすべき」という話ではなく、「私はこうやってみた」という、ひとりの就活生の体験談として読んでもらえたらと思う。
スケジュール管理をAIに任せてみた——「自分仕様」に育てるまで
最初に任せたのは、いちばん面倒と感じていた「スケジュール管理」だ。
Claudeには外部サービスと連携できる仕組みがあり、その中にGoogleカレンダーがあったので、自分のアカウントを紐づけておいた。こうすると、「ここに予定を入れて」とチャットで頼むだけで、カレンダーに直接書き込んでくれる。
実際の指示もシンプルで、応募する企業の採用ページのURLを貼り「この選考スケジュールと締切を、Googleカレンダーに入れて」とチャット欄に打つ。それだけで、エントリーの締切、適性検査、AI面接と、バラバラの日程を読み取って、カレンダーに入れてくれた。
面白かったのは、そこからだ。「締切のラベルは紫に」「通知は3時間前にも鳴らして」と指定していくと、どんどん自分仕様になっていく。ただ予定を入れてもらうだけではなく、自分のやりやすい形に近づけていく感覚があった。一社ずつ募集要項を見て、手でカレンダーに登録していたあの作業が、少しずつ手から離れていく。

さらにやってみたのが、Claudeの「スキル」という機能を使って、自分のルールを覚えさせることだった。スキルは、一度教えた手順やルールをClaudeに記憶させて、自分専用のアシスタントのようにカスタマイズできる機能だ。毎回同じ指示を打ち直さなくて済む。
私の場合は、自分のカレンダーの「色」に意味を持たせて、それを覚えさせた。たとえば、ピンクは学業関係、黄色はプライベート。この時間には絶対に就活のタスクを入れたくない。逆に、薄い緑の予定はそこまで重要ではないから、上に就活の予定を被せてもいい。そういうルールをまとめてスキルにしておくと、Claudeは空いている時間を自分で判断して、そこにタスクを割り振ってくれるようになった。

授業のある木曜と金曜の昼は就活のタスクは避ける。ただし金曜の15時以降は、ちょうど学校にいてWi-Fiもあるから、Webテストを受けるのに都合がいい。そういう細かい事情まで覚えさせると、予定表が、だんだん自分専用のものになっていく。
一番助かったのは、当日の持ち物メモだ。面接や動画提出の予定には「白シャツ着用」、Webテストの日には「筆記用具・学生証を持参」と、自動で書いておいてもらうようにした。前の夜に翌日の服装を決めるとき、これを見ていなかったら危なかった、ということが何度かあった。

お金の話も、正直に書いておきたい。私はClaudeのPro版(月額20ドル、決済当時の日本円で3480円)を使っている。
ただしここまで書いてきたこと(カレンダーを連携して予定を入れてもらう) は、実は無料版でもできる。
ただ、無料版には5時間ごとの利用枠があり、その量はサーバーの混雑などで変動する。目安としては短いやり取りで1日40回ほど、長文やファイルを添えると20〜30回ほどとされるが、就活のように一度に何十社分もまとめて処理しようとすると、すぐに「ここまで」と止まってしまうことが多かった。私が使ったClaudeの有料版は上限が無料版よりもかなり緩い分、結局そのほうが快適だった。今回は記事執筆にあたり1カ月分の利用料を負担してもらったが、今は、自分のお財布から払ってでも続けたいと思っている。
AIは、面接対策にも使えた。でもいいことばかりではない

スケジュール管理以外にも、任せられることがあった。
しばらく使っているうちに気づいたのは、Claudeが、私がこれまで書いてきたESの中身を覚えている、ということだった。20〜30社も受けていると、企業ごとに社風も求められる人物像も違うから、ESの中身もそれぞれ全然違う。それを全部前提として覚えていてくれるのは、正直ありがたかった。
試しに、ある企業の面接の前に「私のESを踏まえて、深掘りされそうな質問を出して」と頼んでみた。返ってきた回答は、思っていたより鋭かった。私自身の就活の軸と重なる部分を突いてきたし、実際にその後の面接で聞かれた質問もあった。
逆質問も、一緒に考えてもらった。私はあらかじめ自分の就活の軸をClaudeに伝えていたので、「その軸が、この企業でも本当に通用するのか」を確かめるような逆質問を提案してくれた。ただ会社について質問するのではなく、自分の判断軸とつなげた聞き方を提案してくれたのは良かった。
ただ、いいことばかりではない。
出てくる答えは、ときどきどの企業にも言えそうな一般論だった。その会社ならではのポイントを押さえていなかったり、私の性格とは重ならない内容が混じっていたりもする。「悪くはないけど、この会社向けではないな」と感じることは、何度もあった。
それに、いかにも「AIが書きました」という文章になることもある。読む分には整っているのだが、いざ自分が面接でそれを口に出すと、どうにもしっくりこない。自分の言葉として、体に馴染まないのだ。
だから、AIが出したものをそのまま使うことはなかった。一般論になっている部分は削って、自分の性格や、その企業に合わせて書き直す。たたき台としては本当に役立つが、最後に手を入れるのは、いつも自分だった。
先輩やOBOGの"生の声"だけは、AIから出てこなかった
もうひとつ、はっきり分かったことがある。AIのフィードバックと、先輩やOBOG訪問でもらう言葉は、まったくの別物だということだ。
私が話を聞いていたのは、自分が受けている企業のインターンに通っていたり、本選考を勝ち抜いたりした先輩たちが中心だった。彼らは、その企業のことを情報として知っているだけではない。社員の雰囲気、好まれるESの書き方、面接時の態度まで、肌感覚で分かっている。
AIも、私のESや企業の情報をたくさん知っている。でも、それはあくまで“読み込んだ知識” だ。実際にその場に立って、その空気を吸った人の言葉とは、重みが違う。「この会社の面接って、こういう雰囲気だよ」と先輩がくれる一言は、どれだけAIが賢くても出てこなかった。
そして、自分らしさをどう出すか。就活で一番難しいのは、たぶんそこだ。
これは、AIの中からは出てこなかった。考えてみれば当然で、AIは私のことを、まだ少ししか知らない。一方で、友人や家族、先輩や後輩は、これまで対人として付き合ってきた相手だ。私がどういう人間か、私自身よりも正確に見ていることもある。「あなたって、こういうところあるよね」という彼らの言葉のほうが、自分を表す軸としては、ずっと信頼できると思った。
結局、必要だったのは「AIと人の役割分担」
ここまで使ってみて、結論はシンプルだった。AIには、得意なことと、そうではないことがある。だから、何を任せて何を任せないかを、自分で分ける必要がある。
私の場合は、こう振り分けた。締切やタスクの管理のような単純作業は、AIに任せる。面接の想定質問や逆質問のたたき台も、AIに出してもらう。文章を整えたり、文脈を通したりするのも、AIのほうが得意だ。
でも、その企業の肌感覚は、自分がどういう人間かは、私をよく知る友人や家族の声を信じる。そして、最終的にどう言葉にするか、どの会社を受けるかは、自分で決める。
AIは、面倒な作業をどんどん引き受けてくれる。でも、自分が何を大事にしたいか、どの会社で働きたいかは、AIには決められない。それは、人に会って、自分で考えて、自分で選ぶしかない。便利になったぶん、その時間にちゃんと向き合えるようになった。それが、使ってみて一番良かったことかもしれない。
最初に書いたとおり、これはあくまで、私がやってみた話である。
同じツールを使っても、合う人もいれば、合わない人もいると思う。お金をかける価値を感じるかも、人それぞれだろう。だから「やったほうがいい」とは言わない。
ただ、AIに就活を「やらせる」のではなく、面倒なところだけ任せて「使ってみる」。そうやって浮いた時間を、人に会ったり、自分のことを考えたりする時間に回す。そういう向き合い方もある、ということは、伝えておきたい。
何をAIに任せて、何を自分でやるか。その線の引き方は、一人ひとり違う。あなたなら、どこに引くだろうか。





























