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- Z世代も支持の「結婚前に夫婦の契約書」という価値観。アプリ作った起業家「全員やるべき」

「婚前契約」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろうか。富裕層の離婚対策、あるいは海外ドラマの中の話 —— どこか遠い世界のものとして受け取る人は少なくないはずだ。
起業家の黒平紗弓さんは、アメリカ人の夫との結婚を機に婚前契約を結んだ。「本当に大変だった」と振り返りながらも、「本来はすべてのカップルが検討すべきものだ」と言い切る。
「お金持ちの離婚対策」ではない?

そもそも、婚前契約とは何か。ざっくり言えば、夫婦となる二人が、結婚前に財産管理や家事などの生活ルール、さらには離婚時の条件などをあらかじめ定めておく契約のことだ。
メジャーリーガーの大谷翔平選手の結婚時に婚前契約が結ばれたと一部で報じられたことがきっかけで、婚前契約の存在を知った人も多いだろう。私もその一人だが、大谷選手の報道を聞いた当時は「随分とビジネスライクな結婚をしたんだな」と思った。
婚前契約は日本ではまだ一般的とは言い難いが、黒平さんによると、起業家が結婚する際に締結するケースもあり、特にスタートアップ界隈では徐々に認知が広がりつつあるという。
ただ、「お金持ちの離婚対策」というイメージは、もはや古い常識だと黒平さんは言う。
「現代の婚前契約は、これから始まる新しい生活に向けた『ふたりの基本のルール作り』だと捉えています。結婚生活で揉めやすいお金や家事の分担、キャリア、家族計画などについて深く話し合い、すり合わせた内容を明文化するものです」
黒平さん自身も、アメリカ人の夫と2023年に婚前契約を結んでいる。
国際結婚であることに加え、自身が起業家であり、株式や経営に関してパートナーやステークホルダーに影響を及ぼさないようにしたいという思いがあった。交際7カ月でのスピード婚だったことも相まって、婚前契約の必要性を感じていたところ、夫側から提案があったという。なお、アメリカでは日本と比べて婚前契約はより一般的なものとして受け入れられている。
具体的にはどのような内容を定めるのか。
「一般的に中心となるのは、お金に関する取り決めです。結婚前からそれぞれが持っている財産や負債の有無を明らかにした上で、結婚後に増える共有財産や日々の生活費をどう管理・分配するかを話し合います。万が一の際の養育費や、不貞行為があった場合の慰謝料について盛り込むケースも多いです。
もちろん、お金だけではありません。家事の分担や家族計画、子どもの教育、お互いのキャリア、どんな暮らしをしたいかといったライフスタイル全般についてもすり合わせます。私の場合は起業家ということもあり、事業に関する取り決めも細かく盛り込みました」
200万円と50枚の誓約

婚前契約の締結は、決して簡単なプロセスではなかった。黒平さんは、精神面と手続き・費用面の両方でハードルがあったと振り返る。
「まず精神的な面ですが、私たちはスピード婚だったこともあり、それまで喧嘩をしたり、センシティブなテーマについて深く話し合ったりする機会がほとんどありませんでした。そのため、話し合いの最中はどうしても気まずい空気になることもありました」
さらに、手続き面でも独特の難しさがあったという。
「アメリカの(州ごとの)ルールに則り、お互いに別々の弁護士を立てました。そうすると、どうしても対立構造のような雰囲気になってしまうんです。弁護士からは『ここはもっと主張した方がいい』といったアドバイスも受けるのですが、最終的に決めるのはふたりなので、『私たちはこれで大丈夫です』と、自分の弁護士を説得する場面もありました」
こうしたプロセスを経て完成した契約書は、最終的に50ページに及んだ。法律の専門知識がない中で、一つひとつの内容を理解し、判断していく作業は想像以上にエネルギーを要したという。
費用面の負担も小さくはない。双方が弁護士を雇ったこともあり、総額は日本円でおよそ200万円にのぼった。
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