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- 輸出規制に直面したのはアンソロピックだけじゃない…スティーブ・ジョブズはそれを逆手に取って成功した
輸出規制に直面したのはアンソロピックだけじゃない…スティーブ・ジョブズはそれを逆手に取って成功した

- スティーブ・ジョブズはかつて、アメリカ政府による輸出規制という逆境をマーケティングのチャンスに変えた。
- 1999年、アップルの“スーパーコンピュータ”Power Mac G4は一部の国に対し、輸出が認められるコンピューティング性能の上限を超えてしまった。
- アップルはこのコンピュータが「悪意ある者の手に渡るかもしれない」という政府の懸念をあえて前面に押し出した広告キャンペーンを展開した。
強力な新技術製品が悪用されるかもしれないというアメリカ政府の懸念は、時としてマーケティングのチャンスになることもある。1999年のスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏とアップル(Apple)を見れば、それがよく分かるだろう。
その年の8月、当時アップルの暫定CEOだったジョブズ氏はステージに立ち、同社の新しいデスクトップ型“スーパーコンピュータ”である「Power Mac G4」を発表した。CBSニュースが当時報じたところによると、ジョブズ氏はこれを「これまで市場に投入された中で最もパワフルなパーソナルコンピュータ」と呼んだという。
ただし、大きな問題があった。圧倒的なコンピューティング(演算)性能を持っていたため、アメリカ政府が設定している輸出規制の発動基準を超えてしまったからだ。それは、アップルがこのコンピュータを輸出できる国が制限されることを意味していた。
ジョブズ氏は、製品発表の直後に敢えてこの点を強調した。
「Power Mac G4はあまりにも高速なため、アメリカ政府によってスーパーコンピュータに分類されており、世界50カ国以上に対する輸出が禁止されている」
翌9月にパリで開催されたApple EXPOでジョブズ氏がそう語った、とCNNが報じている。
当時アップルが直面したこの輸出規制は、アメリカ会計検査院(GAO)の報告書に端を発していた。この報告書は50カ国を「軍事利用または大量破壊兵器の拡散の観点」から懸念される国と指定しており、さらに7カ国についてはコンピュータの輸出をほぼ全面禁止する水準の制限を設けていた。
ジョブズ氏は聴衆に対し、最大1ギガフロップ(1秒間に10億回の浮動小数点演算)の処理能力を持つこの新型Macを、中国、イラク、北朝鮮をはじめ報告書に列挙された国々には輸出できないと聴衆に説明した。
それから20数年。今度はアンソロピック(Anthropic)が、同社の最新AIモデル「Fable 5」と「Mythos 5」に対する輸出規制に直面したことで、ジョブズ氏のPower Mac G4発表とその後のマーケティング戦略が、改めて注目を集めている。
当時アップルは水面下で規制緩和に向けた働きかけを続け(最終的に成功した)、その一方で、表舞台ではアメリカ政府の懸念をむしろ逆手に取った広告キャンペーンを展開した。その一件が最近、IT系ニュースメディアのTom's Hardwareが掘り起こして話題になっている。
— Justin Schroeder (@jpschroeder) June 13, 2026Fable isn't the first.
In 1999 the department of defense blocked exports of the PowerMac G4 for crossing the 1 gigaflop threshold.
Steve Jobs turned it into an ad. pic.twitter.com/yHoyJjpSke
— Justin Schroeder (@jpschroeder) 2026年6月13日
Fableが最初ではない。 1999年、国防総省は1ギガフロップの閾値を超えたとしてPower Mac G4の輸出を禁止した。 スティーブ・ジョブズはそれを広告に変えた。 pic.twitter.com/yHoyJjpSke
そのCMでは、Power Mac G4を戦車が取り囲む映像とともに、「史上初めて、パーソナルコンピュータがアメリカ政府によって兵器に分類されました」というナレーションが流れた。
CMは、当時普及していたインテル製プロセッサを搭載したPCに対する皮肉で締めくくられていた。「まあ、あちら(インテル搭載PC)は無害ですが」というナレーションで。
いずれにせよ、1999年に起きたアップルと輸出規制をめぐる一連の騒動は、アメリカ政府が最先端の民間技術を国家安全保障上の脅威として扱った初期の事例だった。
そして現在、そこに「AI」という現代特有の厄介な事情が絡み、アンソロピックを深刻な窮地に追い込んでいる。
6月12日(金)の夕方、トランプ政権はアンソロピックに対し、外国人がFable5とMythos5にアクセスできないようにすることを命じた。安全対策を回避するためのジェイルブレイク(AIの制限を不正に解除する手法)が可能であり、国家安全保障上の懸念に該当するというのがその理由だ。






















