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入山章栄の 経営理論でイシューを語ろう
「一人一職種」の時代は終わる…入山章栄「今企業が採用したいのは、暴走族のリーダー」

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。
AI活用が前提となるこれから、企業や組織はどう変わり、どんな人材が必要になるのでしょうか。入山先生は「もし僕が企業の採用担当者だったら、暴走族のリーダーを採用したい」と解説します。
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生成AI活用を前提にしたマインドセットへ

今年に入ってから、シリコンバレーのIT企業を中心に「トークンマキシング」という言葉が頻繁に使われるようになったと感じます。ここでいう「トークン」とは、生成AIが文章を処理する際の最小単位のことで、AIは人間の言葉を細かく分解して読み書きしています。トークンマキシングとは、AIのトークン使用量を増やすこと自体を指標化・競争化する動きです。
<>例えばMetaでは、社内で「トークン使用量ランキング」が可視化され、議論になったという報道がありました。NVIDIAやShopifyではトークン使用を生産性・評価の重要指標にするという話が出たりしているそうです。こうした動きにより、成果ではなく、仕事時間をどれだけ費やしたかが評価対象になることに違和感を持ちました。
トークンマキシングは、主にはエンジニア向けの話だと、僕は理解しています。
今、Claude(クロード)やChatGPTなど様々なAIが出てきた中で、エンジニアにとっては「AIでプログラムを書いたほうが早い」という状況になっています。AIを使えば生産性が格段に上がるはずなのに、思ったほど活用できていない、と一部の企業経営者は考えているのでしょう。
だからNVIDIAのジェンスン・フアンをはじめ、世界の大手IT企業のトップたちが「エンジニアよ、AIを使い倒せ」と言っているわけです。AIを使えば使うだけ、トークンの費用はかかりますが、その分は会社が出すから、積極的にAIを活用せよというのがトークンマキシングの背景です。
当面は、少なくともテック業界は、この方向に進んでいくのでしょう。国内のIT企業やスタートアップでも、エンジニアのAI活用は課題です。昔ながらの働き方に慣れているから、つい人間が作業してしまいがちですが、AI活用を前提にしたマインドセットに完全に変えたい、と考える経営者は多いですね。
生産性向上の裏で進む人員削減と組織の再設計
今、テック系などの企業は、仕事の多くをAIに代替させて、代わりに人を減らそうとしています。マイクロソフトも1万人レイオフすると発表していましたね。日本企業がそこまで過激なリストラをするかは分かりませんが、そう考える経営者が出てきてもおかしくありません。
トークンマキシングの1つのポイントは、エンジニアに求められる能力が変わるということです。コードを書くのはAIが代替しますが、どんなプロダクトを作るのかという基本の着想力や顧客対応の領域は、人間に残されます。
それがいわゆる「スマイルカーブ現象」です。システム開発工程の上流(企画・開発)、中流(製造)、下流(販売・保守)でいうと、中流にあたるコーディング作業は AIが得意ですが、上流や下流は人間の能力が必要な部分になってくる。
ですから、今後エンジニアが生き残るには、開発だけでなく幅広く業務に関わっていく必要があるはずです。一人一職種では、生き残れない。
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