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- 25歳が見た「AI✕介護」の現在。実は「6300万人が家族を介護」…アメリカで進行する深刻な高齢化

- 高齢化に関するアメリカ最大級の学際会議「オン・エイジング 2026」で、参加者たちは高齢者の生活におけるAIの役割について熱い議論を交わした。
- 筆者はそこで、VR技術やAIプロンプトの実演、生活支援テクノロジーの展示を取材した。
- エイジテック(高齢者向けテクノロジー)市場は、数十億ドル(数千億円)規模に達すると予想されており、中でも「AI×高齢化」への注目が高まっている。
VR(仮想現実)ヘッドセットは、介護施設で暮らす人々の「話し相手」になれるのだろうか? AI(人工知能)搭載ロボットは、障害のある80代の高齢者を介護できるのか? そして、それらがもし可能だとして、その費用は誰が負担するのだろうか?
これらは私たちが社会として答えを出さなければならない問いの一部であり、中には早急な対応を迫られているものある——4月下旬にアメリカ・アトランタで開催された「オン・エイジング(On Aging)2026」の参加者たちは、そう口を揃えて言っていた。私もその場にいたが、25歳という年齢は会場で最も若い部類だった。
もちろん、多様な意見があった。高齢者のケアに役立つ新たなテクノロジーのフロンティアについて、前向きに語る人もいた。その一方、ロボット型コンパニオン(話し相手ロボット)やスマートホームのセンサーが、高齢者を家族や近隣コミュニティから孤立させるだけに終わるのではないか、と疑問視する声も少なからず存在した。
私が参加したほぼすべてのパネルディスカッションで、テクノロジーは議論の的となっていた。エイジテックは、地方のコミュニティにどう統合されるべきか。AIのガバナンス(AIを正しく使うための仕組みやルール)はどうあるべきか。介護者はテクノロジーの恩恵を受けられるのか——といった具合だ。
もっとも、すべてのセッションがAI一色だったわけではない。社会的なつながり、帰属意識、公平性、そして正義といったテーマが、繰り返し取り上げられていた。参加者たちは、世代を超えたつながりをどう育むかについてアイデアを出し合った。多くの人々がエイジズム(年齢差別)と闘い、メンタルヘルスを改善し、より公平な医療ソリューションの進展を望んでいた。以下、会議で得た主な知見を紹介しよう。
高齢者は「AIとテクノロジーを使いたがっている」

どの時間帯にも、エイジテック、AI、ウェアラブル端末、そしてイノベーションを直接取り上げるセッションが少なくとも一つはあった。パネルディスカッションで繰り返し話題になったのは、「高齢者はAIを使いたいと思っているが、どんな選択肢があるか知らない人が多い」という現実だ。
全米退職者協会(AARP)の調査によれば、近年、アメリカの高齢者の間でテクノロジーの利用が急増しており、90%がスマートフォンを所有し、30%がAIを利用している。新しいテクノロジーの利用に依然としてためらいを感じる人がいる一方で、関心はあるものの、それを自分の生活にどう応用すればいいのかがまだ分からないという高齢者も多い。
「ギャップを埋める:エイジテックにおけるエイジズムへの対応」をはじめとする多くのパネルでは、AIの学習データに潜む問題点が浮き彫りになった。それは、固定観念による偏りや監視に対する懸念、あるいは「高齢者はこう望んでいるはずだ」という開発側の誤った思い込みから生じる設計上のミスマッチなどによるものが多い。
カンファレンス全体を通じ、パネリストたちが主張したのは「年齢に配慮したインクルーシブ(包摂的)なデザインを行うためには、自律性、柔軟性、そして高齢者のニーズの正確な把握を組み込むべきだ」という点だ。例えば、イスラエルのエイジテック企業Intuition Roboticsが開発した「ElliQ」のように、高齢者の意見を取り入れ、人との交流を促すコンパニオン(話し相手)として開発されたロボット技術もある。
「発症後に対処」でなく「AIで早期検知」の開発進む

テクノロジーの普及促進に向けた取り組みに加え、このカンファレンスは高齢者向けの創造的なAIソリューションにも焦点を当てていた。
「パニックボタンの先へ」といったセッションでは、研究者たちがケアのあり方を再構築するうえで、AIを活用した予測分析がいかに普及しているかを強調した。
一部のスタートアップはすでに、緊急事態が発生する前にリスクを検知するため、予測テクノロジーを活用し始めている。医療用緊急通報デバイスを手がけるLogicMark(ロジックマーク)のCEO、チア-リン・シモンズ(Chia-Lin Simmons)氏が指摘したように、現在のテクノロジーの大半は「何かが間違った方向に進むのを待ってから対応する」ことを前提に作られている。
例えばあるセッションでは、エイジテックのイノベーターたちがアルツハイマー病の早期発見にAIをどのように活用しているかを紹介した。
2050年までに1300万人がアルツハイマー病になると予測されているが、その大半は有効な対策を打つには遅すぎるタイミングで診断されているのが現状だ。この病気の特徴でもある「異常な折りたたみ構造を持つタンパク質(ミスフォールドタンパク質)」は、症状が現れる20年前から見られることもある。そして、特定の発話パターンを分析することで、発症してから診断するのではなく、それより最大15年前にアルツハイマー病の罹患を予測できるという。各企業は現在、この病気の早期発見ができるよう、早期警告サインを検知するAIの開発を進めている。
このほか、ウェアラブル端末などによる支援テクノロジー、詐欺検知のようなAIソリューション、高齢者向けの自動服薬ボックス、さらにはブロードバンド環境のないアメリカの地方在住者向けのテクノロジー・ソリューションなどを取り上げたセッションもあった。
























