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佐藤優のお悩み哲学相談
【佐藤優】競争や優秀な人を避けてしまう。「回避性パーソナリティ」に潜む危険な未来
佐藤優[作家・研究者](構成・本間大樹、イラスト・iziz、編集・野田翔)

シマオ:皆さん、こんにちは! 「佐藤優のお悩み哲学相談」のお時間がやってまいりました。読者の方にこちらの応募フォームからお寄せいただいたお悩みについて、佐藤優さんに答えていただきます。さっそくお便りを読んでいきましょう。
仕事で自分より優秀な人がいると(というか、皆自分よりも優秀です)、素直にすごいと思えずに嫉妬してしまい、相手の悪いところや自分より劣っているところを無意識に探してしまいます。
振り返ると、学生の頃から負けん気が強く、その割には最善を尽くして努力する代わりに自分に言い訳をして競争から逃げたり、自分よりも優秀な人との関わりを避けてきたりしていたように思います。
いい歳をして恥ずかしいと心の底では思っております。自分の器の小ささに嫌気がさしつつ、未だにやめられず、仕事に集中できないこともあります。もっと穏やかで謙虚な気持ちで他者から学べるように自分を変えたいです。アドバイスがあったらお願いします。
(ティースプーン、40代前半、女性、専門職)
危ない領域に入りかけている
シマオ:ティースプーンさん、お便りありがとうございます。僕は営業なので数字で分かりやすく比較されちゃうし、この気持ち分かるな〜……。
佐藤さん:たしかに嫉妬心は誰でもあるでしょう。ただ、ティースプーンさんの場合は少し危ない領域に入っているように思います。
シマオ:そうなんですか? 僕はそこまで思わなかったのですが……。
佐藤さん:まず引っ掛かるのが「みな自分よりも優秀」と書いているところです。ここに彼女の心の大きな問題が潜んでいるように思います。
シマオ:どうしてでしょうか?
佐藤さん:ティースプーンさんは、もう40歳前半です。専門職としてある程度のキャリアを経て現在まで来ている。逆に考えれば、本当に彼女が周りの誰よりも劣っていたら、おそらくこの年まで専門職なんて続けられなかったはずです。
シマオ:た、たしかに……。相応の実力があるはずですよね。ティースプーンさんは自身を過小評価しているということでしょうか?
佐藤さん:そう思います。明らかに自己評価が低すぎる。客観的に自分を見ることができていないと思います。
知っておくべき「回避性パーソナリティ障害」

シマオ:でも、どうしてそういう状態になっているのでしょうか?
佐藤さん:私は医師ではないので細かい判断はできませんが、可能性の一つとして「回避性パーソナリティ」が挙げられるかもしれません。
シマオ:なんですか、それ?
佐藤さん:近年注目されている精神障害です。2016年に精神科医の岡田尊史さんが『生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害』(朝日新書)を出版し、4万部売れるなど、話題になりました。
シマオ:「生きるのが面倒くさい」ってインパクトある言葉ですね……。具体的には、どんな障害なのでしょうか?
佐藤さん:回避性パーソナリティ障害の特徴として、自分に自信が持てないために、不得手な事や苦手な相手を過剰に避けてしまう傾向があります。
社会人であれば、意見を求められる会議に出なかったり、少しでもリスクがある仕事は徹底的に断ったり、そういう仕事を振ってくる人を避けたりなどです。
もっともティースプーンさんは回避性パーソナリティの傾向はあっても現状トラブルは起こしていないようなので、障害とは言えません。
シマオ:でもそれって、社内での立場がどんどん悪くなりませんか……?
佐藤さん:その通りです。このまま事態が進行すると、会社に居場所がなくなっていき、行動範囲もどんどん狭まって、最後には引きこもりやうつ病になる人もいるのがこの病気です。
ティースプーンさんも「仕事に集中できないこともある」と書いている通り、実際に仕事に支障が出始めているから、ここに相談してきているのだと思います。
このまま悪い方向にいくと組織としても対応が難しくなって、最終的にはアンタッチャブルな存在になってしまう可能性もある。
シマオ:と、言いますと……?
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