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- OpenAIも注目、非エンジニア農家がCodexで進める「農業のDX」。ハウス自動化から翻訳LINE Botまで
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北海道の沙流郡平取町(さるぐんびらとりちょう)。新千歳空港から車で2時間弱の距離にある、のどかな農村風景が広がるこの地で、「AI」を積極的に活用している農地がある。
その農地を管理する農業法人「WFPダチョウファーム」で農場長を務める冨安寛樹さんは、神奈川県出身の文系学部卒。プログラミングの専門教育を受けた経験は一切ないそうだが、OpenAIのAIコーディングツール「Codex(コーデックス)」を駆使し、さまざまな「農業のDX」に挑戦している。
Codexを含むAIツールを用意すれば理屈上は「誰でもアイデアを形にできる」環境は整っている。一方で、プログラミング未経験者がこうしたツールを使って何かを作ろうとする時、何から始めていいか、何をすべきかはわからず、意外に始められないものだ。
どのようにAIと向き合い、農業のDXを進めているのか冨安さんの話からそのヒントを探ってみよう。
LINEボットから自動巻き上げ機まで。自作で実現

まず、農業のDXがWFPダチョウファームでどのように進んでいるのか、4つの事例から紹介しよう。
1つ目の制作例は、ビニールハウスの温度をLINEで確認できる仕組みだ。
北海道の農業では、苗を育てるビニールハウスの温度管理が死活問題になる。閉め切ったハウス内は30〜40度まで上昇し、苗はダメになってしまう。
従来までは現地に足を運び、温度計を見ながら手動で窓を開け閉めするしかなかった。だが、ハウスが複数棟あると、スタッフが歩き回って手動で対応する負担は大きい。

冨安さんはスマート温度計「SwitchBot」を導入し、API経由で温度データを取得。チームが日々の連絡に使っているLINEから「温度」と入力するだけで、ハウス内の温度が即座に返ってくるボットをCodexで開発した。
SwitchBotのアプリ単体でも温度は確認できるが、スタッフ全員に新しいアプリを入れてもらうより、普段使っているLINEに統合した方が現場に合っていたと冨安さんは言う。

2つ目の事例が、ビニールハウスの巻き上げ機の遠隔操作と自動化だ。小型コンピューター「ESP32」と電動モーターを組み合わせ、LINEから「開ける」と送信するだけでハウスの窓を操作できるシステムを制作した。
制作期間は約2カ月、実現したいことをChatGPTに伝えながら、ChatGPTから提示されたアイテムをアマゾンで購入。電子工作の知識もなかったが、購入した部品を写真で撮りChatGPTに聞きながら、実装を進めた。

なお、費用は部品代は6〜7万円程度。ChatGPT Proの月額課金を含めても十数万円で済んだという。
「外注すれば100万円程度はかかるかもしれません」(冨安さん)
専用の高価なスマート農業機器もあるそうだが、自身で実施したような市販の安価なデバイスとAIコーディングを組み合わせ、自前で仕組みを作る方が非常に安価に済む。
3つ目の事例は、多言語翻訳のLINEボット開発だ。WFPダチョウファームではバングラデシュやカンボジア、インドネシアなど多様な国籍のスタッフが働いており、言語の壁が日常的な課題だった。
日本語のメッセージを英語、インドネシア語、クメール語に同時変換する仕組み。ビニールハウスの温度確認ボットを先に作った後、チームでよく使うLINEボットの可能性を感じ、開発したという。

4つ目の事例は農作業のロギングシステムだ。スマートフォンのGPS位置情報と農場のデータを結びつけ、チームメンバーがどの畑でどれだけ作業したかを自動記録する仕組みになる。
「GPS開始」「現在地送信」「GPS終了」の操作で、作業場所と時間が自動的にデータベースに蓄積される。冨安さんがこのシステムで目指したのは、軽油使用量や作業コストの把握、そして誰がどこで何をしているかの可視化だ。
「入力を作業としてわざわざやるよりも、勝手に情報が集まる仕組みにしていきたい」(冨安さん)
このロギングシステムの開発期間は、わずか「ほぼ1日」。しかも開発場所は机の上ではない。トラクターでの農作業の合間、スマートフォンからCodexに指示を出して作り上げたという。
「基本外にいるので、PCの前に座っていることがあまりなく、スマホからCodexを使えるようになったのは大きいです」(冨安さん)
OpenAIによると、ChatGPTのモバイルアプリからPCにインストールされたCodexを遠隔操作できるようになったのは5月14日。取材日は5月22日だったが、筆者は数々の制作物の詳細より、このわずかな期間で情報をキャッチアップし、実行した冨安さんの行動力の源泉がどこにあるのか気になった。


























