



























水俣病の胎児性患者と同じ世代の男女7人が熊本、鹿児島両県に水俣病と認定するよう求めた裁判の控訴審判決です。
福岡高裁は一審の熊本地裁に続き原告の訴えを退ける判決を言い渡しました。
まずは、この裁判を振り返ります。
【判決前の集会】
【佐藤 英樹 原告団長(71)】
「今年の3月、新潟の『認定義務付け訴訟』で全員が認められたことを本当にうれしく思っている。これにあやかり、我々も〈きょうの裁判は絶対に勝つ〉という気持ちで福岡に来た」
この裁判は、熊本県と鹿児島県に住む60代から70代の男女7人が熊本、鹿児島両県に水俣病と認定するよう求めたものです。
7人は胎児性患者と同じ世代で、手足の感覚障害があり、熊本・鹿児島両県に認定申請しましたが、全員棄却されています。
裁判で、7人は「胎児期に母親がメチル水銀に汚染された魚介類を多く食べたほか、幼少期には自ら多く食べたことで、水俣病特有の感覚障害などを発症した」と主張。
これに対し、被告の熊本・鹿児島両県は「7人の感覚障害は他の疾患によるもので水俣病ではない」などとして訴えを退けるよう求めていました。
2022年3月、一審の熊本地裁は「他の疾患による可能性を否定できず、水俣病に罹患(りかん)しているとは認められない」として原告の訴えを退ける判決を下しました。原告はこの判決を不服として控訴し、福岡高裁で去年12月に結審しました。
【有田 和令 記者】
「『不当判決』と書かれています。福岡高裁も、一審の熊本地裁同様、原告全員の訴えを退けました。『水俣病認定制度を抜本的に見直せ』と書かれています」
【佐藤 英樹 原告団長】
「裁判官が被害者を差別している。区別している。到底、許されない」
きょうの控訴審判決、福岡高裁の高瀬 順久裁判長は、「水俣病に見られる感覚障害などの症状はそれぞれ単独では水俣病以外の疾患でもみられるものである」と指摘。
その上で、「感覚障害が他の疾患によるものである可能性がある場合には、メチル水銀の暴露により引き起こされる水俣病の可能性は減殺される」としました。
原告の訴える感覚障害については「飲酒や糖尿病による神経障害など他の疾患の可能性がある」と指摘。
「原告はいずれも水俣病に罹患しているとは認められない」と判断し、一審の熊本地裁同様、原告全員の訴えを退けました。
この判決を受け、原告らは憤りをあらわにしました。
【佐藤 英樹 原告団長会見】
「〈裁判官の力量によって左右される〉とも聞いていたが…福岡(高裁)の裁判官が水俣病に対して真剣に取り組んでいなかったと。(判決は)我々の主張を無視した内容で被害者の声に耳を傾けない本当に残念な判決」
また、弁護団は、先月の新潟地裁での同様の訴訟では原告が勝訴した事例などを挙げ、「司法の見解が分かれている」ことを批判しました。
【康 由美 弁護士】
「同じ水俣病を扱っている裁判なのに、同じことを全然違う評価で見て、全然違う根拠づけを持ってきて、蹴ったり助けたり救済したりというのでは結局、〈当たり〉〈はずれ〉で終わってしまう。司法の一体性はどうなっているんだという点でも非常に問題がある」
原告らはこの判決を不服とし、上告する方針を示しました。
判決を受け、熊本県の木村知事は「一審判決と同様に県の主張が認められたものと承知している。今後も公健法に基づく認定審査を丁寧に進めていくとともに患者・被害者の方々の安心安全な暮らしの確保などに引き続き取り組んでいく」とコメントしています。
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