
























現代社会において「ハラスメント」という言葉は、耳にしない日はないといっても過言ではないほど日常に定着した。そんなハラスメントの中でも、いま教育現場で切実な課題となっているのが、「カスタマーハラスメント」、カスハラだ。
カスハラとは、顧客や取引先からの理不尽な要求やクレームなどによって、従業員などが働きづらくなること。
宮城県内でも、自治体職員がSNS上での特定を防ぐために名札の表記を名字のみに変更するなど対策が進む中、白石市教育委員会が県内で初めて「学校におけるカスハラ対策マニュアル」を策定した。

白石市教育委員会が2026年度から運用を開始したマニュアルでは、保護者対応の基準が示された。教職員が一人で抱え込み、疲弊していく状況を組織として打破する狙いがある。
マニュアルでは、「理不尽で過剰な要求」への対応が示されている。
「理不尽で過剰な要求」は「要求を実現するための手段や態様等が園や学校の運営や社会通念上、不相当なもの」と定義された。
市内の学校では、教職員向けの勉強会が実施されている。今回のマニュアル策定について、教職員からは「若い時は悩みながら対応していた時もあったので、基準ができたのはとても良い」「基準があることで、良好な関係づくりを意識できる」といった期待の声が上がっている。
白石市教育委員会の半沢芳典教育長は、学校現場では、保護者による言葉の暴力などが確認されている現状を明かし、マニュアルの必要性を強調した。

マニュアルでは、学校現場で想定されるカスハラを、時間拘束型・リピート型・暴言型・暴力型・過度な要求型・揚げ足取り型・謝罪要求型・脅迫型・権威型・つきまとい型・その他(酒に酔っての電話や無断での撮影など)の11種に分類し、それぞれに対して具体的な対応例を提示している。以下に一部を紹介する。

いずれの場合においても、市教委は、悪質な場合には「警察や弁護士と連携して毅然と対応する」としている。
また、過去にカスハラを行った人物であるという理由で、要求や申し出を門前払いしてはならないなど、対応における注意点なども明記されている。
こうした動きに対し、保護者側にも説明の機会があった。市内の中学校で開催されたPTA総会では、校長から直接マニュアルの策定理由が説明された。
参加した保護者からは「そこまで厳しいことを言う保護者は少ないと思うが、発言や態度には気をつけたい」「先生たちの苦労を考えれば必要な措置だ」という理解の声のほか、「恐縮しすぎないように、子供のために必要なことはちゃんと伝えたい」という意見も聞かれた。
市教委はこれに対し、建設的な意見や要望には今後も真摯に耳を傾ける姿勢を強調している。
あくまで排除したいのは「理不尽な攻撃」であり、教育現場の改善につながる貴重な意見としっかりと判別することが必要だ。
半沢教育長は「教職員の働く環境を今よりも一歩でも二歩でも前に進めたい。そして子供たちの教育に専念できるようにしたい」と語る。
カスハラによって教職員が疲弊すれば、その影響は、子供たちの学習や生活指導の質の低下に直結する。
学校と家庭、地域が良好な関係を築くことは、子供たちの健やかな成長につながる。一方が他方を一方的に攻撃できる環境下では、そのような関係は成立しないだろう。
今回、白石市が策定したマニュアルが、子供たちの明るい未来につながっていくことが期待される。
仙台放送
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