

















政府は、従来の紙の教科書に加え「デジタル教科書」を本格的に導入する方針で動き始めました。
学校で模索が始まっている教科書のデジタル化。児童・生徒は、タブレットによる動画などでのわかりやすさを歓迎。
教員たちも収録した動画による授業で、時間に余裕が持てるようになったと語ります。
一方、元AERA編集長でジャーナリストの浜田敬子氏は、スウェーデンなどデジタル教科書先進国で学力低下がみられ、“紙への回帰”が始まっていると指摘。
「手を動かして紙に書く」ことの大切さもまた、注目されています。
■児童たちに好評「デジタル教科書」
箕面市立彩都の丘小学校でこの日、行われていた6年生の算数の授業で児童たちが使っているのは、タブレットの中の「デジタル教科書」。図の説明から演習の丸つけまで、すべてタブレットのなかで完結します。
使い心地を聞いてみると、「けっこういい。使いやすい。分からんかったら“教えて(ボタン)”を押したら教えてくれる」と教えてくれました。
「先生に聞くのと、(デジタル)教科書に聞くのとでは、どちらが分かりやすい?」という質問に対しては、「(デジタル)教科書!」と、その場にいた児童は口をそろえました。
【箕面市立彩都の丘小学校 宮崎拓哉さん】「(デジタル教科書に)負けないように、がんばっていけたらなと。つまづいた子が“教えてボタン”で、自分で学んでいけるのもメリットかと思うので。今まで苦手な子に、(教員が)ついてしまう時間が長かったが、その時間でたくさんの子と話すことができる」
■一人一人にカスタマイズできる 「デジタル教科書」のメリット
「デジタル教科書」は、紙の教科書をタブレットやパソコンで見られるように電子化したもので、音声での読み上げや、動画の再生などの機能も備わっています。
現在は紙の教科書と共に、教材のひとつとして使われるようになってきましたが、学校教育法などの改正案が4月の衆議院で可決され、2030年度にも正式な教科書として導入される見込みです。
デジタル教科書の導入で、どのような効果が期待されるのか?教育の専門家に聞きました。
【京都教育大学 中橋雄教授】「デジタル教科書の良さは、一人一人にカスタマイズできるところ。これまで画一的に紙の教科書で学んで、ついていけなかった子どもたちが、学びが楽しくなるというところに可能性を見い出して、活用方法を考えてもらいたい」
■AIの進化で採点も自動化
教育現場で進む「デジタル化」。そこには人工知能=「AI」の進化も大きく影響しています。学校教材などを作成する会社で行われていたのは、「AI」による採点です。
【マイプラン 片田夕美さん】「(生徒の)答案をシステムに取り込んで解答読み取って、(AIが)正解か不正解か採点をしている」
これは生徒の解答を「AI」が採点するシステム。「AI」が生成した解説に間違いがないかなどを一つ一つ確認し、「デジタル教材」が完成します。
【マイプラン 今井康二副社長】「5~6年ぐらい前から、コロナ禍もあって一気にデジタルに動いた印象。生成AIがどんどん発達してきて、学習に取り入れられてくるであろうから、対応できるように前向きに取り組んでいきたい」
■1回の撮影で4クラス分の説明で教員の負担は4分の1
加速する「デジタル教育」は、教員たちにどう映っているのでしょうか。
常翔学園中学校の数学の授業を取材すると、生徒たちが静かにタブレットを見ていて、授業中なのに黒板を一切使っていません。
実はこれ、1人の先生の授業の動画をタブレットで生徒たちが個別で見るという授業で、準備の様子を見せてもらうと、誰もいない教室で「授業の動画」を撮影している姿がありました。
そこに生徒がいるかのように『一発撮り』で撮影します。撮影した動画にタイトルをつけるなどして、10分ほどの動画にまとめ、生徒のタブレットで見られるようにします
これまでは受け持つ4つのクラスで毎回同じ板書をし、同じ説明をしていましたが、一つの動画を共有することでその負担は4分の1になりました。
■教員は“生徒を見守る時間” 生徒は「自分のペースでできる」
生徒はタブレットで動画を見ながら紙に書いていく「ハイブリッドスタイル」です。
【常翔学園中学校数学担当 川田雅人さん】「子供たちの中で動画をみれば、分かった感覚にはなれると思うけど、文章を書く能力は必要やと思うんです。なのでテキスト自体は紙媒体で、情報提供は動画で」
教員は板書する時間を、生徒たちを見守る時間として有効活用できるようになったそうです。
【常翔学園中学校数学担当 川田雅人さん】「一人一人回ることで、クラスで詰まっていそうな所を解説したり、クラスに合った伝え方ができるのは、僕自身の業務量が減ったことによって、新たにできたこと」
【中学2年】「(動画は)見返せるから、テスト前に復習で使える」
【中学2年】「分からない所を巻き戻すことできるし、自分のペースでできるところがいいです」
本格化する日本の教育のデジタル化。新たな教育スタイルの確立となっていくのでしょうか。
■デジタル教科書いち早く導入した国で「学力低下」“紙に戻る”動きも
進む教科書のデジタル化について、元AERA編集長でジャーナリストの浜田敬子氏は「英語の発音を聞いたり、動画を見たりして理解が進むほか、巻き戻してそれぞれが自分のペースで学習したり、教員の負担が減るのはメリット」と話しました。
その上で、「いち早くデジタル教科書を導入したスウェーデンやデンマークで“神への回帰”が始まっている」と指摘し、懸念点を述べました。
【ジャーナリスト・浜田氏】「スウェーデンなんかでは、学力の低下、集中力の低下、特に基礎学力・読解力・数学の力が落ちているということで、少し紙に戻す動きがあります。
書くことによって思考力が深まったり、理解が深まったり、定着したりするので、全部デジタル化にするのではなく、ハイブリッドも必要と思います。
それに家庭環境によって、デジタルに対応できるか違いがあります。経済格差のようなこともあるので、そういう配慮も必要だなと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2026年5月26日放送)
関西テレビ
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