























広島市中区の花のイベントで、エリザベト音楽大学の学生たちによる屋外演奏会が開かれた。バラの香りと生演奏が重なり、訪れた人々の表情に柔らかな時間が流れた。
エリザベト音楽大学は1948年に広島音楽学校として設立され、現在は約250人の学生が学んでいる。折河宏治・学長補佐は、学内のレッスンだけでは得られない「誰かに見られる場」の重要性を強調している。実際に人前で演奏する経験は、学生が自分の足りない点に気づき成長する機会になるという。
しかし、コロナ禍以降、若手音楽家たちが人前で演奏する機会は減少した。
そのような現実に、立ち上がったのは、音楽大学のOBだった。
有留純さんと濱島亮太さんは、若い音楽家たちに演奏の場を提供する取り組みを始めた。
初めて企画したのは、花の販売やワークショップが行われる店舗で演奏会。
濱島さんは会場について「音が後ろとか横とかにどんどん飛んでいく感覚に襲われる」と話し、ホールとは異なる空間での演奏の違いを指摘する。
観客との距離の近さも、ホールでの演奏では、経験できないものだった。
学生は本番での緊張や聴衆の反応を通して学びを得た。「緊張した時に自分がどうなるのか本番で分かるようになるので、今後に活きてくる」(北尾柚笑さん)、「良い演奏をしたら良いリアクションが返ってくる」(荊尾勘太さん)など、間近で聴く人の表情が演奏に直に影響する経験が印象深かった。
来場者からは「優雅な気持ちになりました。気持ちよかったです」(男性客)、「ここで音楽が聴けると思っていなかったので、とてもうれしいサプライズです」(外国人観光客)、「街中で気軽に聞ける。もっとこういうものが増えたら、すごく幸せな気持ちになる」(女性客)といった感想が寄せられた。フラワーデザイナーの寺戸正三さんは「耳から心地いい感じ。バラを目で見て心地いい感じ。バラの香りをかいで心地いい感じ」と、音と花が合わさる心地よさを語った。
折河学長補佐は、学内で学んだことを地域に提供することで学生がさらに学び、地域と大学が互いに成長していく循環を期待している。今回の演奏会はその一歩となり、学生・OB・企業・来場者が関わることで、小さな風景が生まれた。
バラの香りが漂う中での演奏は、学生にとって実践の場となり、来場者には日常の中のささやかな贈り物になった。折河学長補佐の言葉が示すように、地域に開かれた場を重ねることが、学生の成長と街の豊かさにつながっていく。穏やかで前向きな一歩がここから始まっている。
テレビ新広島
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