



















国内では極めて珍しい、哺乳類の化石が新種と認定された。鹿児島県薩摩川内市の下甑島で2019年に発掘された化石が、約8000万年前に生息していた新種の哺乳類のものであることが判明し、6月5日に薩摩川内市役所で記者会見が開かれた。
発見されたのは、新種の哺乳類の下顎の化石だ。尖った前歯と、ギザギザとした奥歯が特徴的な形状をしている。
この哺乳類は後期白亜紀、つまり恐竜が地球上に生息していた約8000万年前に生き、その後、約3500万年前に絶滅したとされる。体長は約20センチほどで、ネズミなどに似た「多丘歯類」と呼ばれるグループに属する生き物だった。
化石が見つかった場所が下甑島の鹿島町であることなどにちなみ、「コシキバータル・カシマエンシス」と命名された。

多丘歯類の化石はこれまでアジアではモンゴルで多く発見されており、それ以外の地域では出土例がほとんどなかった。今回の化石が特に注目される理由は、奥歯の特徴が北米のものに近かったという点にある。この特徴が、従来のモンゴル産のものとは異なるとして、新種と認定された。
愛媛大学大学院で古生物を専門とする楠橋直准教授は、この発見の意義をこう語った。
「(哺乳類の化石は)ほとんどモンゴルに偏っていて、それ以外のアジアの地域では、あまり見えていない状況なので、その時代の化石が日本で、色んなところで見つかるというのはすごく大事」

今回の発見により、約8000万年前の時代において、アジアと北米の間で哺乳類のつながりがあった可能性が浮上してきた。恐竜全盛の時代に、小さな哺乳類たちが大陸をまたいで広がっていたとすれば、古生物学における新たな視点を与える発見といえる。
発見された化石は小さいが、甑ミュージアムの石川弘樹学芸員は来館者に直接触れてほしいと話す。
「(見つかった化石が)小さいのでなかなか難しいが、見て触れるような形で紹介できれば。(甑島には)恐竜以外の化石もたくさんあるんだよということをぜひ見に来てもらいたい」

化石は6日以降、甑島にある甑ミュージアムで特設展示される予定だ。下甑島はこれまでも恐竜化石の産地として知られてきたが、今回の発見はそれにとどまらない豊かな化石の宝庫であることを改めて示した。地域の自然遺産として、その価値はさらに高まりそうだ。
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