





















最愛のペットを看取った後、どのように別れを告げればいいのか。そんな悩みに応える施設が、鳥取・岩美町に誕生した。県東部では初めてとなるペット専用の火葬場「かけはし斎場」が、2025年5月1日に開業した。
煙や臭いを抑えた最新の火葬設備、ゆっくりとお別れができる専用スペース、四十九日まで預けられる納骨室、さらに近くのお寺にはペット専用のお墓まで用意されている。「ゆっくりと最後のお別れをしていただきたい」という開設者の思いが、施設の隅々に込められている。コロナ禍を経てペットを家族として迎える家庭が増えるなか、その「最後の選択肢」として、地域に新たな拠りどころが生まれた。
「かけはし斎場」を開設したのは、岩美町内で遺体搬送を専門に手がける「さくらメモリア」だ。同社は約3年前、ペット用の移動式火葬車を導入し、飼い主の自宅などを訪問する形でサービスを提供してきた。しかし、訪問型のサービスには現実的な制約がつきまとった。
住宅密集地では火葬車を停められる駐車スペースがなく、大雨や強風の日には屋外での作業が困難になる。「やりたくてもできない」という場面が繰り返されるなかで、社長の岩垣友也さんは常設施設の必要性を痛感するようになった。その積み重ねが、今回の斎場開設へとつながった。
鳥取県東部エリアにペット専用の斎場がなかったことも、開設を後押しした大きな要因だ。これまでこの地域に住む飼い主たちは、ペットを見送る際に限られた選択肢の中から選ぶしかなかった。「かけはし斎場」はそのギャップを埋める存在として、地域のペットオーナーたちの間でも注目を集めている。
施設に足を踏み入れると、まず目に入るのが「最期のお別れのお部屋」だ。岩垣社長はこう説明する。「お花だったり、好きだったおやつをお供えいただいて、皆様気の済むまでお別れをしていただく」。慌ただしさとは無縁の、静かで穏やかな空間が用意されている。
火葬設備には、煙や臭い、有害物質の発生を抑える構造の最新式のものが導入されている。住宅地に隣接するエリアでも安心して利用できるよう、周囲の環境への配慮が徹底されている点も特徴のひとつだ。
火葬後の安置についても対応が充実している。仏教の慣習に沿った「四十九日」の節目まで遺骨を預けられる納骨室が施設内に設けられており、飼い主が自分のペースで気持ちの整理をつけられるようになっている。人と同様の丁寧な供養の流れを、ペットにも提供しようという姿勢が随所に感じられる。
さらに、斎場の近くにあるお寺にはペット専用のお墓も設けられている。火葬から埋葬、そして日々の供養まで、一連の流れを地域の中でまかなえる体制が整っているのだ。
「かけはし斎場」が対応するのは、犬や猫といった一般的なペットだけではない。鳥などの小型動物も受け入れており、多様な「家族の一員」を見送る場として機能する。
小動物は体が小さいため、火葬の際に特別な設備や配慮が必要になることもある。最新式の設備を導入したことで、こうした小型ペットにも丁寧に対応できる体制が整えられている。インコやオウム、文鳥といった鳥類を長年の友として育ててきた飼い主にとっても、選択肢が広がったことになる。
岩垣社長は施設開設にあたり、こう語っている。「ペットが家族の一員として扱われており、人と同じような形で最期を締めくくっていただきたいという私の思いでもあり、そこに需要も感じた」。ペットの種類を問わず「家族」として向き合う姿勢が、この一言に凝縮されている。
「かけはし斎場」の開設は、単に一事業者の新規参入にとどまらない。全国的な社会変化を背景にした、時代の必然とも言えるものだ。
ペットフードメーカーの業界団体のまとめによると、コロナ禍の後に新たに飼育されたペットの数は、犬が約1.3倍、猫が約1.1倍に増加した。いわゆる「おうち時間」が増えた時期に、生活の潤いや癒やしを求めてペットを迎え入れる家庭が急増したのだ。
その結果として生じたのが、ペットとの「最後の別れ」をめぐるサービスへの需要拡大だ。飼い始めた動物はいつか必ず寿命を迎える。コロナ禍に飼い始めたペットたちが高齢を迎える時期が近づくにつれ、葬儀や火葬に関するニーズはさらに高まっていくと見られている。
(TSKさんいん中央テレビ)
TSKさんいん中央テレビ
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