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佐藤優のお悩み哲学相談
【佐藤優】戦争、物価高…世界の不透明さに不安。大きな濁流が迫る現状への心構えは?
佐藤優[作家・研究者](構成・本間大樹、イラスト・iziz、編集・小倉宏弥)

シマオ:皆さん、こんにちは! 「佐藤優のお悩み哲学相談」のお時間がやってまいりました。読者の方にこちらの応募フォームからお寄せいただいたお悩みについて、佐藤優さんに答えていただきます。さっそくお便りを読んでいきましょう。
アメリカとイスラエルから攻撃されたイランがホルムズ海峡を封鎖し、ガソリン価格が上がり始め、株価も下落している現在、今後の私達の⽣活はどうなるのだろうというモヤモヤした不安が頭から離れません(取材日は2026年4月7日)。
ただでさえ物価が⾼い中で、⽯油不⾜に関連して今後あらゆる製品がさらに値上がりすると予測されており、ますます⽣活が苦しくなるのかと考えると、息が詰まるような不安を覚えます。また、株価も下落しており、投資による収益が⾒込みにくいことも不安材料です。
何より⻭痒いのは、これらの出来事の先⾏きが、我々⼀般市⺠の頭越しに、⼤国の中のごく少数のパワーエリートたちの振る舞いによって決められてしまうことです。⾃分ではどうすることもできない⼤きな濁流が⽬の前に迫ってきている現状で、どのような⼼持ちや振る舞いで⽇々を過ごせば良いのでしょうか? ご助⾔いただければ幸いです。
(アップルパイ、30代前半、性別⾮回答、医師)
恐慌や戦争はなくならない
シマオ:アップルパイさん、お便りありがとうございます! 先行き不透明な世の中の現状に、僕も漠然とした不安に襲われることがあります……。
佐藤さん:資本と国家の本質を考えたとき、恐慌や国家間の戦争が起きるのはある種の必然です。私たちはいつなんどきそれらに巻き込まれるか分かりません。
しかも時代が大きな転換点に差し掛かっていて、国家の論理が前面に出ている。アメリカ・イスラエルとイラン、ウクライナとロシアのような衝突が生まれやすいのです。
シマオ:以前にも佐藤さんはアメリカが自国優先主義になって世界的にナショナリズムが強くなってきているとおっしゃっていました。その流れの中で新たな帝国主義の時代が来ていると。グローバリズムの時代はすでに終わったというお話しでした。
佐藤さん:そういうことだと思います。ただ今回のイラン戦争は、47年前にイランで革命が起きたところから始まっています。イランはその時点からイスラエルを地上から消し去ることを国是としてきました。その結果が現在の戦争に結びついているのです。
シマオ:1979年にイランのそれまでの親欧米政権が倒され、法学者で精神的指導者だったホメイニ師がトップに立つイスラム国家が誕生しました。その時から反米、反イスラエルを強く掲げて、軍備の増強を図り、核開発を進めていると疑われていました。
佐藤さん:イランが軍備の増強やテロ組織を支援していたことは事実で、核武装に向けて準備していることも間違いない。核を持つことは時間の問題で、放っておけば取り返しのつかない危機に直面する。正しいかどうかは別として、イスラエルやアメリカはその判断のもとでの軍事行動だったということでしょう。
機能不全の中でどう生き延びるか
シマオ:ただ、ロシアや中国など多くの国がアメリカとイスラエルの今回の軍事行動は国際法に違反していると批判しています。国連のグテーレス事務総長も今回の行動は国連憲章に反するものだと表明していますね?
佐藤さん:確かに国際法で先制的自衛が認められるのは、脅威が「即時的で、圧倒的であり、他に手段の選択の余地がない」場合とされます。イランが実際にそのような脅威を与えていたかどうかは解釈が分かれるでしょう。
国連憲章は武力行使を原則として禁止していますが、例外として安保理決議で認められた場合と、相手側から武力攻撃が発生した場合の自衛権行使の2つです。今回はいずれにも当てはまりません。
シマオ:しかも、アメリカとイランは外交交渉中でしたよね? 不意打ちで、しかも一国の元首と家族を殺害するというやり方に反発や批判も多かった。アメリカがイランの国家体制の転覆を図っているとしたら、それこそ内政干渉と言えるかもしれないし……。
佐藤さん:シマオくん、言いたいことは確かによく分かるのですが、私が先ほど言ったように、世界の流れが大きく変わっているということは、まさにそこなのです。
今や大国は国際法や国連などは無視して、自国利益を最優先します。残念ながらそれが現実で、私たちはその流れの中でどうやって生き延びていくかを考えなければいけない。そういう時代に入ったということです。
シマオ:うーん。そうなるとアップルパイさんの言うように、自分ではどうすることもできない濁流の前で、先の見えない不安の中で生きていくしかないということでしょうか?
























