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- 中国ディープシークが初めて外部資金調達、評価額7兆円超か。孤高の研究者集団想の変心が示す「国策プロジェクト化」
連載
浦上早苗の インサイド・チャイナ
中国AIスタートアップのDeepSeek(ディープシーク)が、創業以来初めての資金調達を計画している。
4月後半に100億ドル超(約1兆5700億円、1ドル=157円換算)と報じられた評価額は、わずか2週間後に450億〜500億ドル(約7兆1000億~7兆8000億円)へと上方修正された。2025年1月に圧倒的低コストの大規模言語モデル(LLM)「R1」を発表し世界中を驚かせたディープシークは、これまで孤高の研究者集団としてビジネスの拡大に背を向けてきた。
今回の資金調達はいち企業の経済活動を超え、「AI戦争のパワーバランス」を再定義する重要な転換点になる可能性がある。
ビジネスには否定的だったが……

ディープシークの資金調達が最初に報じられたのは2026年4月中旬。テック業界に特化した米経済メディア「The Information」は、同社が国内投資家を中心に3億ドル(約470億円)の調達を計画しており、評価額は100億ドルを超えると伝えた。
それから半月後、ロイターや英フィナンシャル・タイムズは、評価額が最大で450億〜500億ドルに達する可能性があると報じた。政府系半導体ファンド「国家集成電路産業投資基金(大基金)」が主要投資家となる方向で協議しているという。ディープシーク側は具体的な評価額や出資者については言及を避けているが、資金調達の協議を行っている事実は認めた。
英米の有力メディアが競うように報じていることは、ディープシークの動向が中国国内に留まらず、世界的な関心事であることを物語っている。
同社が2025年1月にリリースした「R1」は、OpenAIやGoogleに匹敵する能力を従来の10分の1のコストで実現し、世界に衝撃を与えた。米国が高性能チップの対中輸出を規制する中、ディープシークはその制限下で成果を挙げ、さらに自社モデルをオープンソースで提供した。これにより中国国内のみならず、米企業にもオープンソース採用の機運を促すこととなった。
当初、OpenAIの技術を「盗用」した疑いなどのネガティブな反応もあったが、2025年9月にはR1の論文が主要なLLMとして初めて科学誌『Nature』に掲載。学術的な検証にも耐えうることが示された。同誌は2025年の「Nature’s 10(今年の10人)」に、ディープシークの創業者である梁文鋒(リャン・ウェンフォン)CEOを選出している。
ディープシークは中国の著名ヘッジファンド「幻方量化(High-Flyer Quant)」が2023年に設立した企業で、梁CEOが直接・間接的に株式の84.29%を保有し、ほぼ100%の議決権を握る。外部資本を一切受け入れず、自社資金のみで運営してきた点で、AIスタートアップとしては極めて異質な存在でもあった。梁CEOが公の場に姿を現すことは稀で、過去のインタビューでは、開発の目的は「興味、探索、基礎研究」とし、ビジネス展開については否定的な姿勢を見せていた。
政府系半導体ファンドが出資へ

今回浮上した資金調達計画は、この「理想主義者が率いる研究者集団」の重大な方針転換を意味する。
出資をリードするとされる「大基金」は政府系の半導体ファンドだ。AIソフトのスタートアップに半導体基金が動くのは異例であり、ディープシークが「国家的な戦略資産」と見なされている証左だろう。また、自社のLLMを持つメガテックのテンセントやアリババグループも出資を打診していると報じられている。
ディープシークはR1によってモデルの価値を示したが、ビジネスとしての持続性を確保するにはエコシステムの入り口が必要だ。アリババクラウドは強固なインフラ基盤を提供でき、自社モデル「通義千問(Qwen)」とDeepSeekを併用することで、中国最強のオープンソース・エコシステムを構築できる。一方、テンセントはメッセージアプリからゲームまで幅広い接点を持ち、将来的なAIエージェント展開において魅力的なパートナーとなる。テンセントは投資先の独立性を重んじる傾向があり、研究文化を大切にするディープシークにとっても受け入れやすい相手といえる。
なぜ、孤高の研究者集団は方針を変えたのか。ディープシークは沈黙を守っているが、現地の報道は以下の2点を指摘している。





























