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「Day1 ローカル」地域を動かす若きプレーヤー
「大嫌いだった地元」青森で学生起業。留学も東京も経験した早稲田大生は、なぜローカルを選んだのか

「無理、大っ嫌いだと思っていた」——。
青森県八戸市出身。高校時代にアメリカ留学を経て、早稲田大学へ進学した。都市でキャリアを築く道もあったはずだが、在学中に地元での起業を選んだ。
古井茉香さん(23)。2025年にSenbay(センベイ)株式会社を創業し、「おまつりインターン」というユニークな取り組みで都市部の学生を青森へと呼び込み、就職にもつなげている。海外や東京。外の世界を知った彼女が、かつては「嫌い」とまで感じていた地元で挑戦する理由はどこにあるのか。
起業1年目から「青森での就職者」を輩出

高さ10メートルにも及ぶ山車が、お囃子を響かせながらゆっくりと街を練り歩く。浦島太郎や金太郎。神話や歌舞伎、おとぎ話をモチーフにした豪華絢爛な山車は、町内ごとの山車組が1年かけて作り上げるものだ。山車を引く人、お囃子を奏でる人、山車をつくる人。子どもから大人まで、多世代の手で支えられている。
青森県八戸市で約300年続く伝統の祭り、八戸三社大祭。2025年8月、この祭りに都内の大学生が加わった。
期間は5日間。日中は県内企業で働き、夜は山車を引き、地元の人たちと酒を酌み交わす。滞在先は地域住民の自宅だ。
「おまつりインターン」。
地域に暮らしながら、この地で働くリアルを体験するプログラムだ。
この事業を手がけたのが、センベイの古井茉香さん。目的は地域企業の新卒採用エントリーを増やすことにある。
2025年に初開催すると、首都圏の大学・大学院に通う6人が参加。八戸三社大祭と青森ねぶた祭の期間に合わせて、仕事と祭り、暮らしを体験した。
参加者の1人はこの春、青森みちのく銀行に入行した。他にも県内企業の選考に進む参加者がいる。規模は小さいが、確実にローカルでのキャリアを後押しした。
「活躍の場は県外」のはずだった

古井さんは青森県八戸市の出身だ。だが、その視線は常に外に向いていた。
外交官を目指し、高校時代には英語を磨くためにアメリカへ留学。現地での経験を通じて、今度はソーシャルビジネスで起業したいと考えるようになる。
そのための進学先として志望したのもアメリカの大学だった。合格はしたものの、奨学金を得られず断念。結果的に進学したのが早稲田大学だった。
当時の心境を、古井さんはこう振り返る。
「自分が活躍する場所は、(青森の)外だと思っていました」
地元ではロールモデルとなるような女性と出会う機会が少なく、自分がそこで活躍する未来を思い描くことができなかった。
大学進学後は、起業を見据えて動き出した。ベンチャーキャピタルでのインターンに加え、授業と並行して新規事業の立ち上げにも取り組んだ。「三足のわらじ」を履くような生活。
周囲には短期間での急成長を目指すスタートアップ起業家の友人も多かった。刺激を受けながら、自身もひたすら走り続けた。
だが次第に、違和感が生まれる。
「何のために、こんなに早く会社を大きくしようとしているんだっけ」
寝る間を惜しんで事業を考え、夜遅くまで学業と仕事に向き合う日々。その負荷は、やがて身体にも表れた。突発性難聴だった。
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