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テスト工数65%削減の事例も。“品質を守る”仕組みがAI時代の経営を左右するのはなぜか
Business Insider Brand Studio · 2026-05-12 · via Business Insider Japan
  1. BUSINESS INSIDER
  2. ビジネス
  3. テスト工数65%削減の事例も。“品質を守る”仕組みがAI時代の経営を左右するのはなぜか

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Tricentis Japan

生成AIの普及によって、アプリケーションや業務システムの開発スピードは一気に加速した。開発の効率やコスト削減といった恩恵がある一方、開発の裾野が広がったことで、「その品質を誰が担保するのか」という新たな課題が浮上している。

大規模システムを抱える企業に向けて、品質保証やテストの自動化を手がけるトライセンティス ジャパン(Tricentis Japan)代表執行役の成塚歩氏は、「システムの品質は、もはや開発現場だけの問題ではない。経営リスクそのものになりつつある」と指摘する。不具合が一部にとどまらず、複数の業務に波及し、事業の継続や企業の信用に直結しかねないためだ。

AIが開発を加速させる時代に、企業は何を備えるべきか。成塚氏と同社執行役 技術本部本部長の東本成紀氏に聞いた。

AI時代、企業システムに何が起きているのか?

成塚氏は最近、テストに関する引き合いが一段と増えていると語る。

背景にあるのは、単なるIT人材不足だけではない。AIによってコード生成のスピードが一気に上がり、システムの更新のサイクル自体が短くなっていることが大きい。新しい仕組みをこれまで以上に速く作れるようになったからこそ、それを安全にリリースできるかどうかが、より厳しく問われるようになっている。

「ほぼすべての顧客から、『変更に伴うテストを担う人員が足りない』という声を聞きます。一方で、AIを使った開発が進むことでテストの需要はむしろ増えている。AIを活用したテストツールや、その連携への関心も高まっています」(成塚氏)

成塚 歩(なりづか・あゆむ)/Tricentis Japan代表執行役。慶應義塾大学卒業後、日本総合研究所に入社。システムエンジニア、大手法人向け営業を経て、2008年に日本マイクロソフトに転職。以後12年間にわたり、エンタープライズ向けにビジネスを展開。Smart Storeのイニシアティブを立ち上げなど、日本の小売業界向けのDX支援を推進。業務執行役員 流通サービス営業統括本部長を務めた後、2020年、Apptio株式会社に入社し、代表取締役社長に就任。ビジネスに貢献するテクノロジー投資意思決定の高度化のためのメソドロジーTechnology Business Management(TBM)を日本企業に導入。2024年、Tricentis Japan 合同会社に入社し、代表執行役に就任。著書に「TBM ITファイナンスの方法論」(翔泳社/2023年)」 。
成塚 歩(なりづか・あゆむ)/Tricentis Japan代表執行役。慶應義塾大学卒業後、日本総合研究所に入社。システムエンジニア、大手法人向け営業を経て、2008年に日本マイクロソフトに転職。以後12年間にわたり、エンタープライズ向けにビジネスを展開。Smart Storeのイニシアティブを立ち上げなど、日本の小売業界向けのDX支援を推進。業務執行役員 流通サービス営業統括本部長を務めた後、2020年、Apptio株式会社に入社し、代表取締役社長に就任。ビジネスに貢献するテクノロジー投資意思決定の高度化のためのメソドロジーTechnology Business Management(TBM)を日本企業に導入。2024年、Tricentis Japan 合同会社に入社し、代表執行役に就任。著書に「TBM ITファイナンスの方法論」(翔泳社/2023年)」 。
撮影:山口雄太郎

同社が2025年12月に実施した国内市場調査(※)では、55.4%が「生成AIコードによって障害リスクの増大を実感している」と回答し、71.5%が「品質保証の重要性が高まった」と答えている。検証すべき対象は増え続けているが、それに見合うテストが追いついていない。結果として、品質リスクはむしろ膨らんでいるのだ。

※従業員数1000人以上国内大手企業でシステム部門の責任者として従事するソフトウェア開発担当者が対象

属人的なテストではもはや追いつかない環境に

生成AIの登場によって、「大量のコードやパターンを学習したAIがコードを書くなら、開発は人間より正確になり、テストも不要になるのではないか」という見方もある。だが、現場の感覚はむしろ逆だ。

成塚氏は、ある企業のCTO(最高技術責任者)との会話を引き合いに出し、こう語る。

「CTOの方々とも『生成AIによってテスト文化が廃れることはありえない』という話をしています。AIは構文的には正しくても、現在ではまだ要件や論理の面で誤ることがある。もちろんハルシネーション(AIが事実に基づかない誤情報を生成する現象)もあります。むしろAIで開発すればするほど、品質への懸念は強くなるのです」(成塚氏)

とはいえ、効率やコストを考えれば、開発に生成AIを使わない選択肢はない。問題は、従来の手動でのテストや担当者の経験に頼った動作確認では、もう追いつかなくなっていることだ。特にエンタープライズ企業では、影響は一つのアプリにとどまらない。受発注や在庫、会計、物流、ダッシュボードなどが連携しており、一部の不具合が全体に波及することもある。

「エンタープライズのビジネスにおいて、単一の仕組みだけで業務が完結することは、もはやありません。複数の仕組みを組み合わせて業務を回している以上、更新の際には、それらを横断したエンドツーエンドのテストが不可欠です」(成塚氏)

たとえば、物流や在庫管理を担う基幹部分を更新したとする。ここでの検証が不十分であれば、出荷遅延や現場の混乱、売上機会の損失につながる。企業の規模が大きくなるほど、品質問題はIT部門だけでは抱えきれない。経営の継続そのものに関わるのだ。

品質管理の工程を後回しにしない

こうした状況のなかで、トライセンティスが重視するのが「Quality Engineering(クオリティ・エンジニアリング)」という考え方だ。品質を後工程で“確認する”のではなく、企業システムの開発プロセス全体に“組み込む”という発想だ。

従来、品質やテストは「最後に確認するもの」と捉えられがちだった。だが、いまはそれでは間に合わない。開発スピードが上がり、変更頻度も高まるなか、後追いの確認だけではリスクを抑えきれなくなっている。この課題について、東本氏はこう説明する。

「我々は単一のテスト製品を提供している会社ではありません。テストの自動化そのものが目的ではなく、品質をプロセスにどう組み込むかが重要だと考えています。その手段のひとつとしてテストの自動化がある、という考え方です」(東本氏)

東本 成紀(ひがしもと・なるき)/Tricentis Japan 執行役 技術本部本部長。早稲田大学卒業後、外資系コンサルティングファームに入社。ERP導入プロジェクトに従事し、システム導入および業務改革を経験。その後、外資系コンサルティング会社およびSaaSベンダーにて、グローバルプロジェクトを中心にERPロールイン・ロールアウトやDX推進をリードし、構想策定から実装まで一貫した支援を行う。プロジェクトマネジメントおよびPMO領域においても豊富な実績を有する。 2024年1月、Tricentisに参画し、エンタープライズ領域における品質向上およびテスト自動化の推進を担当。テクノロジーを活用したビジネス価値創出と意思決定高度化に取り組む。MBA、PMP保持。
東本 成紀(ひがしもと・なるき)/Tricentis Japan 執行役 技術本部本部長。早稲田大学卒業後、外資系コンサルティングファームに入社。ERP導入プロジェクトに従事し、システム導入および業務改革を経験。その後、外資系コンサルティング会社およびSaaSベンダーにて、グローバルプロジェクトを中心にERPロールイン・ロールアウトやDX推進をリードし、構想策定から実装まで一貫した支援を行う。プロジェクトマネジメントおよびPMO領域においても豊富な実績を有する。 2024年1月、Tricentisに参画し、エンタープライズ領域における品質向上およびテスト自動化の推進を担当。テクノロジーを活用したビジネス価値創出と意思決定高度化に取り組む。MBA、PMP保持。
撮影:山口雄太郎

実際に同社は、大手商社のプロジェクトでテスト工数を65%削減したほか、人材サービス企業ではテスト自動化のカバー率を90%以上に引き上げ、テスト実行数を6倍に拡大、運用コストを50%削減するなどの成果を上げている。

品質管理のAI化は何を変えるのか?

この考え方を、AI時代に合わせて前進させたのが、同社が2026年3月に発表した「Tricentis Agentic Quality Engineering Platform」だ。中核となるのは、AIエージェント「Tricentis AI Workspace」である。

Quality Engineeringサイクルにおいて、各所で必要となる業務を効率化・自動化する製品を保有する同社。そこへ新たにAIエージェントをはじめとする最新AI機能を搭載した
Quality Engineeringサイクルにおいて、各所で必要となる業務を効率化・自動化する製品を保有する同社。そこへ新たにAIエージェントをはじめとする最新AI機能を搭載した
資料提供:Tricentis Japan

AIを活用した開発支援ツールは、この数年で急速に広がった。しかし、その多くは「作る」側に重心が置かれている。コード生成や要件整理、ドキュメント作成などにはAIが入り込んでいる一方、品質の領域ではまだ運用の型が定まりきっていない。東本氏は、そのギャップを次のように捉える。

「AIによって開発スピードは大きく上がっています。専門知識がなくても、ある程度のものが作れてしまう。一方で、それを管理し、品質を担保する側のAI活用はまだ追いついていない。だからこそ、この領域の重要性は一段と高まっています」(東本氏)

AI Workspaceは、品質管理における“司令塔” に近い役割を担う。個人の手元でAIを動かすのではなく、プラットフォーム上でエージェントに何をさせるかを指示し、その流れをワークフローとして管理する。たとえば、開発ツールから要件やバグ情報を引き出し、内容をレビューし、必要に応じてテスト自動化に回す。そうした一連の流れを、自然言語で組み立てることができる。

「従来は、インターフェースを作り込み、プログラムでワークフローを組む必要がありました。それを、AIエージェントに自然言語で『何をしてほしいか』指示することで実行できるようにしています。もちろん、人の承認フローを組み込むこともできます」(東本氏)

すでに先行導入した企業では、改修後の確認作業を最大60%自動化し、リリースまでのスピードを高めた事例がある。テスターが単純な繰り返し作業に時間を取られにくくなり、定型作業を40%減らしたという成果も出た。

ここで問われるのは、“AIにすべてを任せる”ことではない。人の監督とAIの自動化をどう共存させるかだ。

「AIでテストケースを作ることもできますが、そこにも不正確さは入り得ます。だからこそ、人が介在する前提が我々のスタンスです」(成塚氏)

品質保証の現場では、どこまでをAIに任せ、どこで人が責任を持つのか。その線引きを設計することが重要になる。AI Workspaceは、その判断を支える共通基盤として位置づける。

テストマニアの思想が生む「全方位の品質支援」

トライセンティスが品質の領域にこだわり続ける背景には、創業時からの思想がある。同社は、2007年、オーストリア・ウィーンで創業。成塚氏によれば、創業者はいわゆる「テストマニア」で、そのDNAがいまも組織全体に根づいているのだという。

その姿勢は、製品にも色濃く表れている。テストパターンの設計においても、一般的な手法に加え、独自の方法論を取り入れている。現在、トライセンティス世界全体で3000社超の顧客を抱え、ガートナーやフォレスターによる調査からもリーダー企業として評価されている。同社がエンタープライズ領域で大きな存在感を示すことができているのは、こうしたこだわりが評価されていることの現れだ。

また、東本氏は、同社の提供価値を「全方位の品質支援」と表現する。

「当社の主力はテストの自動化ですが、それだけではありません。何をテストすべきかを見極めるための分析、負荷テスト、品質管理のプラットフォーム、さらに今回の新機能を含めたAIを活用した仕組みまで拡大し、ソフトウェアの品質に関わる領域を広くカバーしています」(東本氏)

日本法人を率いる成塚氏自身も、CIOや情報システム部門の支援に軸足を置いてキャリアを重ねてきた。IT部門の難しさを熟知しているからこそ、品質管理を経営課題として語る。

「平時には安定運用が求められ、トラブルが起きれば責任を問われる。同時に、イノベーションも期待される——。私は、そうしたIT部門の課題解決に貢献したいという視点で仕事をしてきました。当社においてもその考えは変わりません」(成塚氏)

AI時代に企業は何に備えるべきか?

では、AI導入やシステム変革を進める企業は、品質管理について、何から考えるべきなのか。成塚氏は「コスト対効果と覚悟の両方が必要だ」と語る。テストの自動化や品質基盤の導入には、初期の環境構築やテスト資産の整備といった投資が避けられない。

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「手動で行っていたテストに自動化の環境を入れるには、当然初期費用がかかります。従来の慣れたやり方を変えなければならないという覚悟も必要となります。その投資や変化も含めて効果が出るかどうかが重要ですし、トライセンティスはその支援が可能だと考えています」(成塚氏)

AIを導入し開発スピードを上げるだけでは、もはや不十分であることは間違いない。変化に耐えられる品質基盤がなければ、その加速はむしろ経営リスクを高めることになる。

トライセンティスが訴えるのは、単なるテスト工数の削減ではない。AI時代に企業が安全に変化し続けるための基盤として、品質をどう捉え直すか。その問いそのものだ。

トライセンティスについて、詳しくはこちら

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