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佐藤優のお悩み哲学相談
【佐藤優】「名ばかり管理職」にご用心。管理職にならない判断が正しいケースとは?
佐藤優[作家・研究者](構成・本間大樹、イラスト・iziz、編集・野田翔)

シマオ:皆さん、こんにちは! 「佐藤優のお悩み哲学相談」のお時間がやってまいりました。読者の方にこちらの応募フォームからお寄せいただいたお悩みについて、佐藤優さんに答えていただきます。さっそくお便りを読んでいきましょう。
私は専門商社に勤める49歳の女性です。内勤業務(一般的には営業補佐や営業アシスタントと言われる業務)に加えて、数年前から新卒・中途社員の教育、バックオフィスメンバーのリーダー的な仕事も担当しております。
勤続20年、今のままの職制では昇給は見込めず、数年前から上司に「管理職にチャレンジしてみてはどうか?」と打診を受けておりますが、お断りしてきました。
給料が増えるのは嬉しいのですが、経営陣からのプレッシャーが強く、問題が発生すると管理職が全責任を負わされるからです。
ところが先日、満55歳になった年から基本給の10%がマイナスされ、それが60歳まで継続するということを知りました。60歳になるころには新入社員並みの給料になります。
業務が年々増加しているにもかかわらず、毎年10%給料が減っていくというシステムは理解できません。ただし、管理職の人は本システムの対象外です。
以前より、内勤業務への理解度が低く、冷遇されていると感じていましたが、今後もこの会社で働き続けていいか、悩んでおります。
とはいえ、この年齢では転職も簡単ではないことも理解しております。今の会社で働きつつ、自分のキャリアを棚卸しながらまずは転職市場の実情を把握するのが第一歩かと考えているのですが、今の状況をどのように捉えて、今後キャリアを築いていけばいいでしょうか。
(こしあん、40代後半、女性、会社員)
管理職は現場とは「別の職種」
シマオ:こしあんさん、お便りありがとうございます。ここまで給与が下がっていくシステムはあまり聞いたことがないですね……。
佐藤さん:この点については特殊なケースだと思うので最後にお話しするとして、こしあんさんの場合、管理職にならないという判断は正しいと思います。
シマオ:なぜでしょうか?
佐藤さん:第一に、管理職になると超過勤務手当が付かなくなるからです。基本給がどれくらい上がるかにもよりますが、仮に数万円上がるとしても、超過勤務手当がなくなればトントンか、あるいはそれ以下になることもあります。
シマオ:その話、僕もかつての上司から聞いたことあります! 管理職の打診を喜んで受けたら、残業代カットで年収が100万円下がったと……。
佐藤さん:よくある話です。もう一段階昇進できれば大きく伸びるのですが、一度下がるのは珍しくありません。ただ、こしあんさんが管理職として成果を上げ、もう一段階昇進できるのかが問題です。
そこで第二に、こしあんさんはもう50歳になられるわけですが、この年齢でいきなり管理職をやるのは難しいと思うからです。
シマオ:でも、現場リーダー的な仕事もしてきているとのことですし、管理職なら55歳以降も給与が下がらないという会社のシステムを考えれば、引き受けた方がいい気もするのですが……。
佐藤さん:恐らくこしあんさんは理解されていると思いますが、管理職は現場とは全く別の、違う「職種」です。
日本企業の場合は一般的に、30代前半で優秀な人に係長といった役職がつき、その後、課長、部長と上がっていきます。
その過程で、管理職としての研修を受けたり、予算や売り上げを任されたりして、時には失敗し、責任を負う立場としての判断力が訓練されていくのです。
シマオ:つまり、現場リーダーとしての経験と、管理職として数字の責任を持って部署をまとめる経験は別物である……ということでしょうか?
佐藤さん:その通りです。普通は30代くらいから経験を積んでいくことを、50代でいきなりやるとなると大変な思いをするんじゃないでしょうか。
「名ばかり管理職」の落とし穴とは?

シマオ:なるほど……。じゃあ何で上司は管理職になることを勧めてくるんでしょうか?
佐藤さん:そこが重要なポイントです。
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