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- 日立へ「DaaS」提供からFIFAワールドカップまで。困窮するPC市場に対するレノボの打ち手

PCメーカー大手のレノボは5月28日、東京都内で2026年度の事業戦略説明会を開催した。
グローバルの2025会計年度の連結売上は前年比20%増の831億ドル(約13.2兆円)で過去最高を更新。中でもAI関連事業の売上は前年比105%増と倍以上に拡大した。日本事業については具体的な数値は開示されなかったが、売上で20%超、利益で30%超の伸びを示しているという。
業界全体を見ても、2025年度の国内パソコン出荷台数は1805.9万台と過去最大規模になった。Windows 10のサポート終了と第2期GIGAスクール需要がけん引した形という調査結果も出ている。
ただこの調査を実施したMM総研によると、こうした需要は2026年度は落ち着き、メモリーなどのパーツ価格高騰に伴うパソコン価格上昇への懸念で「需要の先食い」も2025年度末に発生。そうした影響もあり、MM総研は2026年度のパソコン出荷台数を前年度比37.8%減の1123万台としている。
こうした課題に対し、レノボはどのような打ち手を持っているのか。日立製作所やFIFAとの事例も紹介された28日の事業説明会の内容から解説しよう。
AI時代の3つの課題。日立が解決事例の1つに

レノボが整理した目下の課題は3つ。1つ目は部材のコスト上昇と不足、2つ目は企業IT部門のリソース不足、3つ目はデータセンターの電力消費の増大だ。
1つ目の部材については、「想定より早く到来した」(レノボ・ジャパン檜山太郎社長)というAIの推論需要により、前述のメモリーや「SSD」だけでなく「CPU」「NPU」「GPU」などPCを構成するほとんどの主要部品が不足している。
レノボも足元では「お客さんに負担がかかっている」(檜山氏)状況だが、グローバルに展開したサプライチェーンの規模を活かす形で努力を続けているという。

特に規模の大きい法人やデータセンター向け事業で同社が取り組むのは、売れ筋構成を絞り込んで在庫化する「Top Choice Express(TCE)」だ。
TCEは簡単に表現すれば、商品ラインナップを売れ筋に絞り、1種の部材あたりの発注数を増やして、コストを下げる手法だ。さらに、ラインナップが絞れるため、受注から出荷までの時間も短縮できる。
2025年には、TCEによって「受注から10営業日以内の工場出荷」を全体の約7割の案件で達成しているという。

また、値上がりでクライアント企業が用意できる予算を超過する場合は、サブスクリプション型の「Lenovo TruScale DaaS」で初期投資を削減する提案をしていく。
TruScale DaaSはPCの「買う」「配る」「運用する」「回収する」を一気通貫で行うサービスだ。単にPCをリースのような形で提供するだけではなく、企業ごとに応じた設定をする「キッティング」など運用面でもレノボがカバーするため、2つ目の課題である企業のIT部門のリソース不足にも対応できる。

その1つの事例として、5月28日には日立製作所(以下、日立)との大規模契約が発表された。
日立はグローバルでのPC調達・運用の最適化を目的に、TruScale DaaSを採用。2028年度までに日立グループ企業向けに最大約17万3000台のPCを調達する。一部はサードパーティー製品も含まれるが、レノボが一括して調達・提供する。
また、レノボは日立向けに専用の運用管理体制「セントラルオペレーション」を構築する。営業、サービスデリバリー、サポート部門に加え、グローバルの製造・物流拠点が横断連携。専用ポータルでの事務手続き代行から、日立社内システムの操作、エンドユーザーからの故障問い合わせ対応までをレノボ側のスコープに含める。

最後にデータセンターの電力消費については、独自の直接液冷技術「Neptune」を活用する。消費電力の対策に冷却技術を用いるというのはあまり直感的ではないが、同社調べではデータセンターの電力コストの約4割が「コンピューターの(処理装置の)冷却」に費やされている現状だという。
つまり、冷却が効率化すれば自ずとデータセンター全体の消費電力が下がる、という考え方だ。Neptuneはレノボのデータセンター事業を支える看板技術として、世代を重ねるごとに改良を加えてきた。
Neptuneは最大45度の温水をコンピューターに流して、55度で排出する「チラーレス運用」を実現している。社内検証ではシステムからの熱除去効率95%、消費電力を最大40%削減できたとしている。また、化学的な薬品を含まない純水を循環させる構造のため、そのまま再利用や排水が可能で環境負荷も低い。
Neptuneに関しては、今回の会見前の5月26日に、レノボとして国内初となる検証拠点「Neptuneラボ」の開設を発表している。同ラボは三菱商事とDigital Realty社の合弁会社であるMCデジタル・リアルティが所有する千葉県印西市のデータセンター「NRT12」内に設置され、本番に近い環境でNeptuneの技術検証や、レノボの顧客やパートナー企業にAIインフラ導入前の実証実験を支援していく方針だ。























