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- 「早く仕上げるほど売上は減る」。富士通・時田社長が語るSIerが「人月の通用しない時代」で稼ぐ方法

「人月モデルの脱却と言って、もう何年でございますかね。随分と時が経ってしまいました」
5月28日、富士通が開いた「中長期経営ビジョン2035」の説明会。質疑応答で筆者がシステムインテグレーション(SI)事業の収益モデルについて尋ねると、時田隆仁社長は人月モデルへの課題感をこう語った。
「人月をベースにした(対価の)いただき方では、これ以上の成長は見込めない」
人月(にんげつ)とは、エンジニアの人数と作業期間(月数)をもとに対価を決める、日本のSIerが長く採用してきた稼ぎ方だ。富士通はこの「人月モデルからの脱却」を、これまでも繰り返し掲げてきた。だが、この日の時田氏の言葉からは、従来とは違う環境変化への意識がにじんだ。
背景にあるのは、AIエージェントの活用が進むことで、ソフトウェア開発の進め方そのものが大きく変わりつつあることだ。
「1人が100人分」になる時代の開発と人材

富士通がこの日示したのは、2035年度までの10年間を見据え、技術を起点に事業を広げていく経営戦略である。
そのなかで、SIerの収益モデルに直結する取り組みとして示されたのが、要件定義から設計、実装、結合テストまでの開発工程をAIによって自動化する開発基盤だ。
これまで主流だった「人がAIを使って効率化する」スタイルから、今後は複数のAIエージェントが連携しながら「自律的に開発を進める」スタイルへと進化させる。同社はすでに自社の実証で、一部作業の生産性が大幅に向上したケースも公表している。

工数を積み上げる前提が変われば、その工数に値付けする人月モデルも揺らぐ。そして、人材のあり方にも影響する。
その後、別の記者から人材ポートフォリオについて問われた時田氏は、先端的なソフトウェア開発における人材の価値についてこうも語っている。
「カッティングエッジなソフトウェア開発においては、1人のスーパーな人材がAIを使いこなせば100人分の仕事ができるようになるかもしれない」
人の数だけで価値を測ることは、今後ますます難しくなる。
富士通はここ数年、事業と連動した人材ポートフォリオの刷新を進めている。かつてグローバルで12万4000人いた従業員数は、現在は9万9000人にまで減っているという。時田氏は、事業ポートフォリオの見直しや自然減の影響にも触れたうえで、今年から従来型の一括採用を見直し、必要なスキルを持つ人材を採用・配置する方針に変えた。
AIを前提に人材の役割が変わるなかで、富士通自身も人員規模や採用、人材配置の考え方を見直しつつある。
開発が速くなるほど、人月モデルは揺らぐ

人材の役割が変わるなら、工数を前提にしたSIerの稼ぎ方も見直しを迫られる。




























