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- OpenAI、「万人のためのAI」より「自社の利益優先」を示唆。創設初期の運営指針から大転換
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ビッグテックの動向

- OpenAIは同社の運営指針となる「原則」を大幅に改定した。
- 2018年に定めた原則では、今回の最新版よりはるかに「汎用人工知能(AGI)」を強調していた。
- 新原則は、OpenAIが「誰もが普遍的にAIを利用できること」よりも、自社の利益を優先する可能性を示唆している。
OpenAIは4月下旬、運営原則の改定版を公開した。2018年版と比べると、特に3つの違いが浮かび上がってくる。
CEOのサム・アルトマン(Sam Altman)氏は4月26日、この最先端AIモデルを開発する同社の5つの「原則」リストを公式ブログで発表した。OpenAIはこれまで、安全ポリシーやモデルの仕様の小規模な変更を公表してきたが、今回の改定は2018年以来最大となる大規模な刷新となる。
OpenAIは2015年12月、非営利のAIラボ(AI研究開発組織)として設立された。アルトマン氏、イーロン・マスク(Elon Musk)氏、グレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)氏、イリヤ・サツケヴァー(Ilya Sutskever)氏ら創業者グループによってサンフランシスコで創設されたが、ソースコードを公開しない営利企業への転換をめぐる意見の対立から、一部のメンバーはすでに同社を去っている。
今回の2026年版の原則は2018年版とどう変わったのか。3つの主な相違点を見ていこう。
1. 汎用人工知能(AGI)を強調しなくなった
2018年の「憲章」では、汎用人工知能(AGI)——経済的価値のあるほとんどの仕事において人間を凌駕する自律性の高いシステム——に関する指針が中心となっていた。ただ、AGIはAIラボにとって「はるか彼方の北極星(究極の目標)」と見なされることが多い。
AGIという言葉が12回登場した2018年の文書には、こう記されていた。「AGIが社会に与える影響に効果的に対処するためには、OpenAI自身がAIの技術水準において最先端にいなければならない。政策や安全性の啓発活動だけでは不十分なのだ」。
一方、2026年の「私たちの原則(Our principles)」ではAGIへの言及がわずか2回。AGIという単一の目標より、AI全領域に幅広く焦点を当てている。
同社は26日のブログ投稿で、「これは、私たちが長年掲げてきた『段階的に展開する』という戦略の拡張だ。社会は、段階的に進化していくAIの各フェーズに向き合っていく必要があると私たちは考えている」と指摘した。
2. 「万人のため」より「自社の競争力」へ180度転換
最新版で発表した新たな目標は、競合するAIラボとの協調・競争の回避を掲げていた当初の指針から180度転換した。
2018年の憲章には、「AGI開発の最終段階において、十分な安全対策を講じる時間もないまま開発競争に陥ることを私たちは懸念している」と記されていた。「したがって、我々と価値観が同じで安全性を重視したプロジェクトが、私たちより先にAGIの構築に近づいた場合、私たちは彼らと競うことをやめ、そのプロジェクトの支援に回ることを誓う」。
ところが、最新版では、開発の進捗状況の共有や競争から撤退することに関する記述は一切ない。これは必要とあらば「万人のためのAI」という創設当初の理念より、自社の競争力の維持を優先させる姿勢を暗に示していると言える。
「私たちは、OpenAIが数年前とは比べ物にならないほど世界に強大な影響力を持つ存在となったことを認識している。そのため、私たちの運営原則がいつ、どのように、なぜ変更されるのかについて、透明性をもって公開していく。
具体例を挙げよう。普遍的な繁栄が重要であることに変わりはない。だが将来的には、個人の能力拡張(エンパワーメント)をある程度制限してでも、想定外の事態を乗り切る強靭さ(レジリエンス)を優先せざるを得ない局面が来ることも想定している」と記されている。
OpenAIはここ数カ月、ユーザー、投資家の関心を急速に集めている新興のライバル企業アンソロピック(Anthropic)と熾烈な競争を繰り広げている。
アンソロピックの最近の注目すべき動向は、性能の高さと厳格な制御を両立させた「Mythos」、一層進化した「Claude」のリリースだろう。2月には世間の耳目を集めた国防総省との対立が逆に同社のブランド力を高め、Claudeのダウンロード数が急増する結果となった。
4月初め、Business Insiderは、旺盛な投資家需要によってセカンダリー市場におけるアンソロピックの評価額が約1兆ドル(160兆円、1ドル=160円)に達し、8500億ドル(136兆円)前後のOpenAIを追い抜いたと報じている。
3. 組織としての誓約があいまいになった
新旧2つの文書におけるもう1つの大きな違いは、OpenAIが自社に対する厳しいコミットメント(誓約)を示す姿勢から、テック業界のエコシステム全体に提言する姿勢へとシフトさせている点だ。
2018年の憲章の文章は「私たちは〜する(we will)」「私たちは〜を誓う(we commit)」「私たちは〜を期待する(we expect)」といった主語の明確な宣言が中心で、OpenAIとその従業員に向けたAIに関する安全目標が繰り返し明記されていた。
「私たちが負う第一の受託者責任は、人類に対するものだ」と、2018年の憲章には明記されていた。「私たちの使命を果たすためには相当なリソースを動員する必要があると予測しているが、人類の広範な利益を損ないかねない、従業員や利害関係者間の利益相反を最小限に抑えるために私たちは常に誠実に行動する」。
これに対し、今回の2026年版はAIとその影響についてより広範な視点で論じている。
AIに関する意思決定は民主的なプロセスで行われるべきであって、一部のAIラボが握るべきではないと主張。さらに、各国政府に対して新たな経済構造を検討するよう求めるとともに、誰もが手頃な価格でAIを利用できるようにするためには、世界規模で「膨大な」量のAIインフラの構築が必要だと述べている。
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