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ウクライナの「3種類のドローン」がモスクワの防空網を突破…存在を知られていなかった新型機も投入
Matthew Loh · 2026-05-24 · via Business Insider Japan
  1. BUSINESS INSIDER
  2. 国際
  3. ウクライナの「3種類のドローン」がモスクワの防空網を突破…存在を知られていなかった新型機も投入
Two angles of smoke billowing from an oil facility in Moscow that came under attack.
ウクライナは長距離ドローンを使って、モスクワ市内にある石油パイプラインのポンプ施設など複数の標的を攻撃したと発表した。
Telegram/Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy
  • ウクライナはロシアの首都モスクワに対して過去最大規模のドローン攻撃を行い、国産ドローンを使用したと明らかにした。
  • モスクワの半導体製造施設や石油圧送施設を含む複数の標的を攻撃したという。
  • ウクライナは3機種の長距離ドローンに言及しており、うち1機種はこれまで存在が知られていなかった新型だった。

ウクライナは5月17日、3種類の国産ドローンを使ってモスクワ州を集中攻撃したと発表した。厳重な防空体制を敷く首都に対する攻撃としては、これまでで最大規模となった。

ウクライナ軍参謀本部は同日の声明で、有翼ドローン「FP-1ファイアポイント(FP-1 Firepoint)」と「RS-1バールス(RS-1 Bars)」を使い、モスクワ州内の複数の標的を攻撃したと明らかにした。

声明によれば、今回の攻撃には第3のドローン「バールスSMグラディエーター(Bars-SM Gladiator)」と呼ばれる、これまで存在が知られていなかった第3の新型ドローンも使用されたという。

「2026年5月16日から17日未明にかけて、ウクライナ国防軍部隊はロシアの主要な軍事関連施設を攻撃した」と声明は伝えている。

ウクライナは、長距離兵器のなかでも比較的安価な新型ドローンの有効性を示すため、ロシア領内深くやモスクワへの攻撃を強化してきた。首都モスクワは、ロシア国内で群を抜いて密度の高い防空網を備える地域だ。

今回の攻撃は、ウクライナがこの週末にロシア全土に仕掛けた一連の一斉攻撃の一環であり、ロシア当局によればモスクワ州の3人を含む少なくとも4人が死亡したという。

セルゲイ・ソビャーニン(Sergei Sobyanin)市長が17日夜に発表したところによると、この「大規模攻撃」では、モスクワ市内だけで120機を超えるドローンが投入されたという。これは、都市部における1日あたりのドローン襲来数として過去最多となる。

攻撃を受けたモスクワ州クラスノゴルスクの集合住宅。
攻撃を受けたモスクワ州クラスノゴルスクの集合住宅。
REUTERS

ウクライナ軍参謀本部によれば、攻撃した標的にはモスクワ中心部から約18マイル(約29km)の地点にある半導体製造施設と、約30マイル(約48km)離れた主要な石油パイプライン圧送施設が含まれるという。

ウクライナが誇る国産兵器

ウクライナ軍参謀本部が言及した3種のウクライナ製兵器のうち、最も情報が乏しいのがバールスSMグラディエーターだ。

今回の攻撃や3種のドローンについて、Business Insiderはウクライナ軍参謀本部と国防省に対し営業時間外にコメントを求めたが回答は得られなかった。

ただ、名称からして、これがRS-1バールスと関連する機種である可能性をうかがわせる。

RS-1バールスは2025年春、巡航ミサイルとジェット推進式無人航空システム(UAS)の中間に位置する兵器として公開された機体だ。

この機体は大量生産を前提に設計されており、約100〜200ポンド(約45〜91kg)の爆薬を積み、最大約500マイル(約800km)先の標的を攻撃できるとされる。

ウクライナはRS-1バールスの製造元を明らかにしていないが、この有翼ドローンは民間メーカーが開発したものだとしている。

これに対し、FP-1ファイアポイントについてはより多くの情報が公にされている。これは、2024年後半に生産が開始された固定翼型ドローンで、900マイル(約1450km)超の深部打撃任務を目的に開発された。

ウクライナの軍事企業ファイア・ポイントの長距離ドローン「FP-1」。
ウクライナの軍事企業ファイア・ポイントの長距離ドローン「FP-1」。
REUTERS

小型機のような形状のFP-1は、その名を冠するウクライナのファイア・ポイント社(Fire Point)が設計したもので、最大約260ポンド(約118kg)の爆薬を搭載可能だ。ターボジェット駆動のこのドローンは滑走路なしで容易に発射できるよう作られており、レール式の発射台からロケットブースターを使って離陸する。

ファイア・ポイントについては、BBCが2025年12月、1機あたり約5万ドル(約795万円、1ドル=159円)のコストで製造し、少なくとも1日200機を生産していると報じている。

FP-1もRS-1バールスと同じく、巡航ミサイルとドローンの境界に位置する兵器だが、こうした片道飛行型の兵器は、従来型の巡航ミサイルに比べて飛行速度がはるかに襲い。

両ドローンについて公表されている航続距離は、いずれもウクライナからモスクワまでの約300マイル(約480km)を優に超えている。

モスクワの防空網を突破

モスクワに対する攻撃を成功させるには、ドローンが多層的な防空システムを突破する必要がある。そのシステムには、長距離地対空ミサイル「S-300」と「S-400」から成る2重の防空リングが含まれている。

ロシアの首都にはこのほか、各種の電子戦システムと、「パーンツィリ(Pantsir)」や「トール(Tor)」といった近距離防空システムも数十基配備されている。

5月初め、ロシア政府が国家の威信をかけた戦勝記念日パレードの準備を進めるなか、オープンソースインテリジェンス(OSINT、公開情報による情報分析)の分析者たちは、モスクワ中心部から半径70マイル(約113km)の範囲に100基を超える防空システムが配備されていることを、衛星画像から確認したと指摘している。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領は17日にこう語った。

「ロシアの防空システムが最も集中しているのはモスクワ州だ。だが、我々はそれを乗り越えている」

ロシアで人気の高い複数のテレグラム・ニュースチャンネルは、ウクライナ参謀本部の主張を裏づけるとみられる映像を投稿している。

なかでも広く拡散されたのが、テレグラムチャンネル「ASTRA」が公開した映像で、モスクワ市ゼレノグラード区にある「エルマ・テクノパーク(Elma Technopark)」で大規模な火災が発生している様子が確認できる。同区には、精密誘導兵器に欠かせない重要な電子部品を製造する半導体工場「アングストレム(Angstrom)」がある。

別の映像には、ソルネチノゴルスカヤのポンプ施設で大規模な火災が発生し、その後緊急対応部隊によって消し止められる様子が映っていた。

また、複数のチャンネルが、モスクワの航空ネットワークのハブであるシェレメーチエヴォ国際空港付近で火災があったと報じたほか、首都上空を飛行する有翼ドローンの映像も投稿している。

A firefighter covered in foam walks past a burned fence underneath an overpass.
5月17日、モスクワの高架道路下にある建設現場で発生した火災に対応する緊急対応部隊。
Yulia Morozova/Anadolu via Getty Images

一方、ゼレンスキー大統領は、ウクライナがロシア全土に加え、クリミア半島を含むロシア占領下のウクライナ領内に対しても攻撃を実施したと述べている。

今回のウクライナによる攻撃は、この戦争でロシアがこれまでに行った最も激しく長時間に及ぶドローン攻撃を仕掛けてから数日後の出来事だった。ロシアは2日間という短期間に1500機を超えるドローンをウクライナの各都市に向けて発射した。これを受け、ゼレンスキー大統領はウクライナも同様の方法で報復すると表明していた。

ロシア国防省は17日、ウクライナの固定翼ドローン1054機をロシア全土で撃墜したと発表している。

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