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Business Insider Japan

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「botシッター」なんて、もううんざり…労働者は「AIの後始末」に週6時間以上費やし、企業は人材流出リスクに直面している | Business Insider Japan
Thibault Spirlet · 2026-06-19 · via Business Insider Japan
  1. BUSINESS INSIDER
  2. ビジネス
  3. 「botシッター」なんて、もううんざり…労働者は「AIの後始末」に週6時間以上費やし、企業は人材流出リスクに直面している
労働者は週にほぼ1日分の時間を費やし、AIを監視していることが、最新のレポートで明らかになった。
労働者は週にほぼ1日分の時間を費やし、AIを監視していることが、最新のレポートで明らかになった。
Maskot/Getty Images
  • 労働者はAIの「ボットシッティング」に週6.4時間を費やしていることが、最新レポートで明らかになった。
  • ボットシッティングとは、AIに文脈情報を与え、ミスの原因を突き止めてプロンプト(指示)を調整し、出力されたエラーを修正する作業を指す。
  • 研究チームは、その状況が転職を考える労働者を増やす原因となっていると指摘した。

AIは労働者の時間を節約してくれるはずだった。しかし、現実としては、毎週何時間もかけて「AIの後始末」に追われていると報告する従業員が後を絶たない。

社内情報の横断型AI検索サービスを手掛けるグリーン(Glean)のワークAIインスティテュート(Work AI Institute)は、ノートルダム大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校などの研究者と共同でまとめた最新のレポートで、ホワイトカラーの労働者は週平均6.4時間をAIの「ボットシッティング(botsitting)」に費やしていると報告した。具体的に言えば、文脈情報の入力、出力結果の確認、ミスのデバッグ(原因を突き止めプロンプトを調整する作業)、エラーの修正といった作業だ。

研究チームは2025年12月から2026年1月にかけて、主にコンピュータやデジタルツールを使って働くアメリカ・イギリス・オーストラリアの正社員6000人を対象に調査を実施した。

「ボットシッティング」という言葉は、AIを実際に役立つ状態にするために不可欠だが、しばしば見落とされがちな作業を表現するために、同レポートの著者たちが生み出した造語だ。

「労働者はいまや、1週間に平均6.4時間をボットシッティングに費やしている。毎週ほぼまる1日分の労働時間を“溶かし”ていることになる」と同レポートは指摘している。

「うんざりするほど退屈」で「消耗する」のにまったく評価されない

この調査結果は、個人レベルの生産性向上と企業全体のパフォーマンス向上との間に広がる乖離を浮き彫りにした。

Business Insiderのジュリアナ・カプラン(Juliana Kaplan)とジェイコブ・ジンクラ(Jacob Zinkula)が6月10日、連載企画「ザ・グレート・コーディング・リセット(The Great Coding Reset)」の中で報じたように、これは多くの企業が直面する「生産性のパラドックス」だ。

グリーンのレポートでは、調査対象となった労働者の87%が「職場でAIを使用している」と答え、75%が「AIのおかげで生産性が向上した」と回答。その一方で、「AIのおかげで組織のパフォーマンスが大幅に改善した」と答えたのはわずか13%にとどまった。

グリーンのワークAIインスティテュート所長で同レポートの共著者、レベッカ・ハインズ(Rebecca Hinds)氏によると、失われた生産性の多くは、従業員がまったく想定していなかった作業に奪われているという。

6月10日に配信されたポッドキャスト番組「Cognitive Revolution」に出演したハインズ氏は、ボットシッティングを「往々にして退屈」で「消耗する」作業だと指摘。「組織内で報われることも、評価されることも、追跡・計測されることもなく、ましてやインセンティブを与えられることも一切ない」と語った。

企業は人材流出リスクを高めている

そうした負担は、従業員のモチベーションにも深刻な影を落としているようだ。

レポートによると、AI関連業務の中でボットシッティングに費やす時間の割合が著しく高い労働者は、そうでない労働者と比べて、積極的に転職活動を行っている可能性が73%も高いという。

「正当な評価も報酬もないまま、その負担を抱え込まされた労働者は疲弊していく。やがて不満を募らせ、最終的には履歴書を磨き始めるのだ」と、レポートは記している。

研究チームが指摘した従業員の不満は、単なる業務量の増加にとどまらない。

多くの従業員はいま、連携していないAIシステムの間で情報を橋渡しし、ミスを修正し、本来ならツール側がすでに持っているべき文脈情報を補うことに時間を費やしている。事実上、うまく機能しないテクノロジー同士の「仲介役」に成り下がっているのが実情だ。

さらに、場合によっては、従業員が自分の仕事の中で最もやり甲斐を感じている部分を自動化するよう求められているケースもある、とハインズ氏はポッドキャストで指摘した。その例として挙げたのが、顧客と信頼関係を築くことに喜びを感じているカスタマーサービスの担当者が、代わりにAIエージェントの監視するよう求められているケースだ。

「それこそが、仕事における喜びや意味をもたらしてくれるものであるにも関わらずだ」と彼女は語る。「それは非常に危険なことだと言える」。

ボットシッティングの連鎖を断ち切る方法

研究者たちによれば、その解決策は単にAIの導入を増やすことではない。

最大の成果を上げている組織は多くの場合、AIの「周辺業務」に力を入れている。従業員が適切な文脈情報にアクセスできる環境を整え、テクノロジーの効果的な使い方を指導し、AIを活用した質の高い仕事とは何かについて、明確な基準を設けているのだ。

「一歩先を行く企業は、ほかとは違うアプローチをとっている」とレポートは指摘する。

「彼らは、AIに費やす時間のうち、AIを操作すること自体に多くの時間を割いているわけではない。むしろその周辺の作業——文脈の設定、『良い仕事』の定義、判断力の構築、そしてそもそもAIに任せるべきではなかった作業の見極め——に、より多くの時間を費やしているのだ」

そうしたアプローチを取らなければどうなるか。レポートの著者たちは次のように警告した。

ボットシッティングという代償を払い続け、「ボットの後始末に疲れ果てた人々が次々と去っていく」事態に陥ることになるだろう、と。

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