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イラン戦争の核心
アメリカの極超音速ミサイル「ダークイーグル」はどこがすごいのか。イラン戦争で初の実戦配備の可能性も

- アメリカ陸軍の極超音速ミサイル「ダークイーグル」は音速を超えるスピードで飛行し、約1725マイル(約2776km)の射程を誇る。
- ダークイーグルの長射程攻撃能力は、イラン国土の奥深くにある標的への攻撃に有効となり得る。
- この最新鋭ミサイルは、開発試験段階で数年に及ぶ遅延と挫折に見舞われてきた。
イランとの不安定な停戦状態が崩壊した場合、アメリカ陸軍の新型極超音速ミサイル「ダークイーグル(Dark Eagle)」が実戦に投入される可能性が浮上している。
長らく配備が遅れていたアメリカ陸軍の長距離極超音速ミサイル(Long Range Hypersonic Missile)、通称「ダークイーグル」は、既存のあらゆる防空システムを突破する切り札として最優先で開発が進められてきたシステムだ。このミサイルが中東に配備される可能性が取り沙汰されているのは、アメリカとイランの交渉が暗礁に乗り上げ、またホルムズ海峡の封鎖・閉鎖が続くなか、戦闘が継続した場合に備えてアメリカ軍が同地域で軍事プレゼンスを維持することが現実的な課題となっているからだ。
このダークイーグルの動向はブルームバーグ(Bloomberg)が報じた。その記事によると、この件に直接関与する関係者の情報としてアメリカ中央軍(CENTCOM)がミサイルの配備を要請したという。Business Insider はこの報道を独自に検証できていない。中央軍はBusiness Insiderの取材に対し「これ以上のコメントはない」と回答した。
ダークイーグルは、陸軍の精密打撃ミサイル(Precision Strike Missile=PrSM)などの既存兵器では届かない、イラン奥深くの標的を攻撃できる能力をアメリカ軍にもたらす。ただし、アメリカとイスラエルがすでにイランの防空システムを壊滅させている——ダークイーグルはまさにそうした防空システムを突破するために設計された——ことを踏まえると、現在進行中の戦闘に新たな能力を加えるものではないとも言える。
実戦未経験にもかかわらずなぜ評価が高いのか

ダークイーグルは、マッハ5を超える速度で飛行可能な極超音速滑空兵器(飛翔体をロケットで加速させたあと、フィン〈動翼〉などを使って大気圏内を滑空・軌道変更する方式の兵器)で、射程は約1725マイル(約2776km)に達すると報告されている。これは、ニューヨーク市からコロラド州デンバーまでの距離にほぼ匹敵する。発射装置の不具合によって開発・試験が数年にわたって遅延していたが、その後、発射から着弾までのエンドツーエンド(全行程)の飛行試験に複数回成功。うち、直近の試験は2024年12月に実施されている。
ダークイーグルは、トラックに積載された輸送・起立式発射機を使って発射される。
実戦での能力がまだ証明されていないにもかかわらず、このミサイルが従来の弾道ミサイルより一世代先を行く可能性があると言われるのはなぜなのか。それは、標的に向かって飛翔している途中で軌道を変えられる機動性にある。
既存の防空システムは飛翔体の軌道を予測することで迎撃を行う。しかし、ダークイーグルが想定通りに動けば、フィンなどの制御翼面を使って飛行中に進路を変えることができる。ジェット機が迫り来るミサイルを回避するのと同様の動作をはるかに高い速度で行うため、防空システム側の追尾・迎撃が極めて困難になるのだ。
アメリカ国防総省は、ダークイーグルを敵の高価値かつ迅速な対処が必要な標的を攻撃するための重要な戦力と位置づけており、機動性が高いことから飛翔中に迎撃されることは難しいとしている。アメリカ、中国、ロシアはそれぞれ、独自の極超音速ミサイル開発で熾烈な競争を繰り広げている。アメリカとロシアの開発については、現在は失効した中距離核戦力(INF)全廃条約(射程500〜5500kmの地上発射型弾道ミサイルと巡航ミサイルの開発・保有・配備を禁じた条約。アメリカと旧ソ連の間で締結されていた)のために遅れた経緯がある。
この最新鋭ミサイルは、テスト段階で数年にわたる遅延と挫折に見舞われたあと、ようやく部隊への配備にこぎ着けた。ただし、正確にいつ運用が可能な状態になったのかは明らかにされていない。
2月28日の開戦以来、アメリカによる対イラン戦争は、PrSMをはじめ、これまで実戦でほとんど使用されていなかった新型兵器の実験場と化している。アメリカ中央軍司令官のブラッド・クーパー(Brad Cooper)海軍大将は、PrSMの実戦投入を「歴史的な初の試み」かつ「比類なき深部打撃能力」と称賛した。この長射程精密打撃ミサイル(分類上は短距離弾道ミサイルだが、開発により大幅な射程延長を実現)は、アメリカ軍で運用されるようになってからまだ2年余りしか経っていない。
中央軍が新設した攻撃ドローン部隊「スコーピオン・ストライク(Scorpion Strike)」も、攻撃型ドローンを海外で初めて使用したアメリカ軍部隊の一つだ。この部隊はイラン製ドローン「シャヘド(Shahed)」への対抗手段として開発された、1機約3万5000ドル(約549万5000円、1ドル=156.5円)の低コスト無人戦闘攻撃システム、通称「LUCAS」を運用している。
ダークイーグルが戦場にもたらすもの

対イラン戦争において、アメリカは中東周辺に大規模な部隊を集結させてきた。停戦合意に先立ち、アメリカは対地攻撃巡航ミサイル「トマホーク」、PrSM、M142高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)のGPS誘導ロケット弾といった兵器を大量に発射し、1万3000カ所を超えるイランの軍事拠点を攻撃した。
攻撃の標的になったのは、防空システム、指揮統制ネットワーク、弾道ミサイル施設、海軍資産、防衛産業インフラ、ミサイルやドローンの貯蔵施設などだ。アメリカはまた、イランの弾道ミサイルやドローンから自国部隊と同盟国を守るため、パトリオット迎撃ミサイルや終末高高度防衛(THAAD)ミサイルシステムも運用している。
アメリカ軍は標的の直上からの爆撃など、近距離からも何の問題もなく攻撃していることは明らかだが、ダークイーグルによって、その打撃力はトマホーク巡航ミサイルの射程を超える範囲まで広がることになる。ダークイーグルの速度と射程は、イラン深部奥地の標的を攻撃する際に真価を発揮するだろう。
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