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- 不二家にカルビー…菓子メーカーが「IPビジネス」強化する納得の事情。「かわいい」の裏にある戦略

不二家の「ペコちゃん」、ギンビスの「たべっ子どうぶつ」、カルビー「じゃがりこ」のキリン——。
日本の菓子市場を支えてきたこれらのロングセラーキャラクターがいま、本来の主戦場である食品売り場の枠を超えて存在感を高めている。アパレルショップに並ぶTシャツ、雑貨店に置かれたポーチや文具、SNSで拡散されるコラボグッズ。その接点は多角化している。
国内のキャラクタービジネス市場が2兆7773億円(2024年度・矢野経済研究所調べ)と堅調に推移しているとはいえ、なぜ老舗菓子メーカーは「食品」という本業を超えた領域への進出を強めているのだろうか。そこにはビジネス環境の変化を踏まえた、合理的な理由がある。
知財戦略から見るライセンスビジネス

そもそも、キャラクターIPの核となる「著作権」や「商標権」は、ビジネス上の安定性が極めて高い。
著作権や商標権は、対象が明確であり、有効期間の間、他者が利用することを明確に否定することが出来る。また、著作権の場合は公表後70年(法人著作物の場合)に渡って保護され、さらに商品名やロゴを保護する商標権は、10年ごとの更新を繰り返すことで「半永久的」に維持することが可能だ。この「権利が消滅しない」という事実は、キャラクターを借り受けて(ライセンス・イン)ビジネスを展開する第三者にとって大きな利点となる。長期間にわたって安心して投資やプロモーションを継続できるこの安定性こそが、キャラクターIPがライセンスビジネスの対象として最適とされる所以だ。
キャラクターIPビジネスの利点

権利者である菓子メーカーにとって、キャラクターIPを外部へ開放する意義は、単なるブランド露出以上の「経営上の合理性」にある。
最大の利点は、自社の製造リソースに依存せず事業を拡大できる点だ。従来、ヒット商品が生まれれば、企業は自社工場のライン増設といった「設備投資」を最優先してきた。しかし、消費者の嗜好が目まぐるしく変わる現代において、このモデルは大きなリスクをはらむ。多額の資金を投じて増産体制を整えた頃にはブームが去り、「遊休設備」と「在庫の山」という負の遺産を抱えかねないからだ。
この「自社生産の限界」を突破する手段が、ライセンスアウトである。メリットは大きく三つある。
1.投資・在庫リスクの回避
アパレルや雑貨といった「お菓子以外」の商品化を他社に委ねることで、メーカー側は設備投資の必要がなくなる。商品の企画・製造・在庫リスクはすべてライセンシー(借り手)側が負うため、菓子メーカーは極めて身軽に市場への供給量を増やすことができる。
2.「オフバランス資産」の有効活用
経営の効率性という点でも、キャラクターIPは特筆すべき特徴を持つ。特許権などは研究開発費として資産計上(オンバランス)されるケースがあるが、長年愛されてきたキャラクターの価値は、帳簿上には現れない「オフバランス資産」であることが多い。
3.極めて高い利益率
すでに認知を確立したキャラクターを貸し出すライセンスビジネスは、追加の原価がほぼ発生しない。本業の菓子製造が原材料高騰などの影響を受けるなか、権利使用料(ロイヤリティ)は「売り上げのほぼすべてが利益」として積み上がるため、最終利益への貢献度は極めて高い。
株主から資本効率の改善を強く求められるなか、「自社でリスクを負ってお菓子を焼く」だけでなく、「キャラクターという無形資産を貸し出して稼ぐ」。この二段構えの戦略は、伝統的な菓子メーカーが目指す、現代的なアセットライト(資産を持たない)経営の形といえるだろう。
菓子メーカーに限らず、株主から資産の有効活用を強く求められる最近の上場企業にとって、キャラクターIPビジネスは願ったりかなったりのビジネスなのだ。
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