- TECH INSIDER
- テックニュース
- 12.2兆円の経済損失を生む「AI偽情報」への対抗策。富士通らが語った「嘘を見分ける」技術と信頼性問題

「一企業や一国だけでは解決できない規模の課題になっている」
AIの普及で増加する偽・誤情報の被害に関して、富士通のセキュリティサイエンス研究所所長の今井悟史氏はこう述べた。
今井氏は、ボルチモア大学の教授とサイバーセキュリティ企業・CHEQ(チェック)が2019年11月に共同で発表した調査結果を引用し、その経済損失は「2019年時点で12.2兆円規模」だと指摘した。
増え続けるリスクに対し、具体的な解決策はあるのか。東京都が中心となって開催したグローバルイノベーションカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2026」2日目では、富士通が主導する国際コンソーシアム「Frontria(フロントリア)」をテーマとしたパネルディスカッションが行われ意見が交わされた。
「12.2兆円の損失」に挑むための新技術

富士通は「Frontria(フロントリア)」を2025年12月に設立した。現在、富士通を含む76の組織や有識者が参画。金融業界、メディアを含むコンテンツ事業者、法律関連、IT企業、大学など参画メンバーが属する業界は多岐にわたる。
富士通はフロントリアでの取り組みの実例を、SusHi Tech Tokyo内で2つ紹介した。

1つは「記事制作ファクトチェック」で、AIコンテンツ制作支援ツール・StoryHubと富士通の協業で開発された。StoryHubの制作支援ツールはすでに朝日新聞など実際の報道媒体やコンテンツ制作会社に導入されている。
フロントリアのファクトチェック機能はまだ実証実験の段階で提供時期も未定だが、SusHi Tech Tokyo 2026内ではデモが展示されていた。StoryHubのツール上で制作したウェブの原稿に対し、富士通の開発したチェックシステムを通すことで記事の信頼性を高めるという内容だ。

具体的なチェック項目としては「記事のテキストが事実に即しているか」はもちろん「記事内の画像が生成AIで作られていないか」「過去の画像を誤った文脈で使っていないか」などが用意されている。
情報ソースとしてはウェブ情報などがベースになっているため、「全く世に出ていない情報」の事実確認は困難だが、人間が気付けない・見落としてしまうミスを減らすことができる。

もう1つは「本物の画像」を判定するための技術だ。画像に対し不可視の透かしを埋め込むことで、「正規品」かそうでないかを判定する。
デモでは透かしが埋め込まれた画像とそうでない画像が印刷されたカードを用意し、カメラで読み込み真偽を判定する様子が披露された。カメラを通してカードを見ると透かしの入った「本物」は緑色のハイライトが表示される。

この不可視の透かしは印刷時ではなくあくまで画像データ作成時に埋め込まれるという。印刷時の微細なブレや多少の加工には耐えられる仕様だが、例えば単に印刷物をコピー機に通して印刷するだけでは「本物を複製」できないという。
ユースケースとしては、報道媒体などで画像の信頼性が必須となるシーンや、トレーディングカードなど希少性の高い商品での利用が想定されているようだ。
あわせて読みたい
Special Feature




























