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- 賛否両論のフェラーリ新型EV「ルーチェ」…狙いは未開拓の巨大市場

- フェラーリ初のEV「ルーチェ」は、厳しい船出となった。
- 64万ドル(約1億円)のこのEVはインターネット上で酷評され、フェラーリの株価下落を招いた。
- フェラーリの経営陣は、ルーチェの狙いがEVオーナーを取り込むことにあると述べている。そのような消費者が最も多いのが中国だ。
イタリアの自動車メーカー、フェラーリ(Ferrari)の新型電気自動車(EV)は、世論という法廷では厳しい船出となった。だが同社がそれよりも強く意識しているのは、EVが圧倒的な存在感を示している中国市場かもしれない。
5月下旬、フェラーリの元会長をはじめ多くの人々が、「ルーチェ」を容赦なく酷評した。これは、伝説的な元アップルデザイナーのジョニー・アイブ(Jony Ive)が手がけた64万ドル(約1億円)の5人乗りEVだ。
「伝説を破壊しかねない。本当に残念だ。せめてあの車から跳ね馬のエンブレムを外してほしい」
約25年にわたってフェラーリを率いた、現在も尊敬を集める元会長のルカ・コルデロ・ディ・モンテゼモーロ(Luca Cordero di Montezemolo)は5月26日、イタリアのメディアにそう語った。
ソーシャルメディアのユーザーたちは、フェラーリ初のEVを日産リーフになぞらえて揶揄した。ミームの投稿が次々と生まれ、フェラーリの株価は6%下落した。
世界のEV販売が伸び悩むなか、フェラーリはEV化を進めている。高級車市場でのライバルであるランボルギーニ(Lamborghini)やポルシェ(Porsche)など他の自動車メーカーも、需要の鈍化を受けてEV化戦略の見直しを進めている。
しかし中国では事情が異なる。現在、新車販売の半数以上をEVが占めており、多くの人から不評を買っているこの車にとっても、市場環境はむしろ追い風となる可能性がある。
2025年10月に行われた投資家向け質疑応答で、フェラーリのベネデット・ヴィーニャ(Benedetto Vigna)CEOは、当時「エレットリカ」と呼ばれていた同社初のEVにとって、中国が重要な市場になるとの見方を示した。
「エレットリカにとって中国は大きな機会になり得る。顧客がすでにEVに慣れており、フェラーリに対する強い需要もあるからだ」と彼は語った。
フェラーリ、東へ
中国では、BYDやシャオミ(Xiaomi)といった現地ブランドが、手頃な価格でハイテクなEVを投入し、欧米の自動車メーカーを圧倒してきた。
そして現在、これらの企業は高級車市場でも同じことを成し遂げようとしている。
BYDは、水上に浮くことができる15万ドル(約2400万円)のハイブリッドSUV「仰望U8」や、23万3000ドル(約3700万円)のスーパーカー「U9」といった高級モデルを投入している。U9の改造版は昨年、市販車としての世界最高速記録を樹立した。
一方、スマートフォン大手のシャオミは、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェからトップデザイナーを引き抜いて「SU7 EV」を開発した。昨年3月には7万6000ドル(約1200万円)の「SU7 Ultra」の販売を開始した。同モデルは2秒以内に時速100キロに達し、ルーチェを上回る加速性能を備えている。
フェラーリが参入するのは、競争が極めて激しい中国のEV市場だ。そこでは手頃な価格のモデルでさえ音声コントロールやAIアシスタントといったハイテク機能を満載しており、高級志向の消費者は欧米の自動車メーカーを敬遠し、テクノロジーに精通した地場ブランドを選ぶ傾向を強めている。
BMW、メルセデス、ポルシェといった高級車メーカーは、近年いずれも中国での販売が急落している。一方、中国のスマートフォンメーカー、ファーウェイ(Huawei)が製造する高級セダン「尊界(MAEXTRO)S800」は、12月に10万ドル(約1600万円)超の価格帯で中国最多販売車となった。


























