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- 変革進める米陸軍、「兵器同士で通信」技術の構築急ぐ…ウクライナに触発され、防衛企業と協力
変革進める米陸軍、「兵器同士で通信」技術の構築急ぐ…ウクライナに触発され、防衛企業と協力

- 米陸軍とパートナーの防衛関連企業は、ドローンやセンサー、兵器が相互に通信できる仕組みの構築に取り組んでいる。
- これまでは数十年間にわたって存在した技術的な障壁がシステム間の接続を阻んでおり、兵士がその橋渡し役を担わざるを得なかった。
- ウクライナの戦場から得た教訓と、米陸軍の新たな戦闘管理ソフトウェアが、この変革を後押ししている。
米陸軍の幹部たちはいま、兵器、センサー、指揮系統が情報をスムーズに共有することを妨げてきた「数十年来の技術の壁」を打破しようとしている。陸軍が戦場における意思決定の迅速化を推し進める上で、これは極めて重要なステップと言える。
最近開催されたハッカソン「プロジェクト・ジェイルブレイク(Project Jailbreak)」で、米陸軍と大手防衛企業が一堂に会した。目的は、対ドローンシステムや防空・ミサイル防衛網、指揮システム、ドローン・無人システム、その他の兵器を接続し、これらバラバラのシステムが「共通言語」を話せるようにすることだ。
そこで開発された技術はすでに実装され、中東に展開中の兵士も含め、全部隊への配備が進められている。
陸軍の最高技術責任者(CTO)を務めるアレックス・ミラー(Alex Miller)氏は5月28日、記者団に次のように語りかけた。
「技術者でないなら、自分の日常生活に置き換えて考えてみてほしい。もし家にある電球やトースター、テレビといったあらゆる機器が、それぞれまったく異なる接続方式だったとしたらどうなるだろうか」
「トースターをコンセントに直接差し込むことができず、専用のアダプターを探さなければならない」状況を想像してみてほしい、と。
まさにこの状態こそ、米陸軍が何十年にもわたって直面してきた現実だ。そのため兵士たちは、異なるシステムの間をつなぐ、ミラー氏が言うところの「統合ポイント」の役割を押し付けられてきた。しかし、その方法だと「寒さに震え、疲れ果て、ずぶ濡れになり、空腹を抱えながら、1日20時間に及ぶ任務を遂行しているような状況では、到底うまく機能しない」と語った。
兵士たちは、戦場での意思決定に使うデータをいちいち手作業で入力しなければならず、バラバラのシステムを行き来するために膨大な時間を費やしていたのだ。
スピードが生死を分ける戦場において、これは致命的な判断の遅れを招く。

米陸軍の新たなアプローチは、民間のソフトウェアの開発手法にヒントを得た新しい指揮統制システムの開発方針と、ウクライナでの教訓が土台となっている。
ダン・ドリスコル(Dan Driscoll)陸軍長官によれば、このハッカソンのアイデアにつながった「ひらめきの瞬間」は、ドイツ出張中に起きたという。ウクライナ軍がドローン、センサー、兵器を自国の戦闘管理プログラム「デルタ(Delta)」にどのように統合しているのかを目の当たりにしたときだ。
「脳裏にパッと電球が灯った」と、彼は振り返る。「私がそれまでの16カ月間に見てきたものはどれも、前線で戦う兵士にとってデルタほど統合されておらず、シンプルでも効果的でもなかった。『いますぐ行動を起こさなければ』と悟ったのだ」。
ハッカソンには、アンドゥリル(Anduril)、ボーイング(Boeing)、ゼネラル・ダイナミクス(General Dynamics)、L3ハリス(L3Harris)、レイドス(Leidos)、ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)、パランティア(Palantir)、ペレニアル・オートノミー(Perennial Autonomy)、RTXといった、錚々たる防衛企業が参加した。
各社のエンジニアは陸軍と協力し、自社システムを支えるテクノロジーの中身を開示し合い、それらを互いに通信させるための方法を探り始めた。
ベンダーの中には、これまで同様の試みに挑んできた企業もある。だが、陸軍がこれほどの規模で問題に取り組み、システム接続のあり方を規定してきた古い技術標準にまでメスを入れたのは、今回が初めてだった。
「我々は、パートナー企業の手足を縛っていた。システムの開発当初から機密扱いにしていたことで現代的な開発手法の導入を妨げ、しかも新技術を実装する代わりに、数十年来の古い規格に直接適合するよう義務づけてきたわけだ」と、ミラー氏は率直に語った。

ハッカソンから生まれた修正プログラムの一部はすでに、中東に展開する部隊をはじめ、現場の兵士たちに届けられている。ミラー氏によると、陸軍は残りのアップデートについても、今後30日以内に配備を完了させることを目指している。
さらに、今後のハッカソンで長距離精密火力といったほかの兵器も対象にしていくほか、今後新たに調達するシステムにも同じ手法を取り入れていく方針だ。
「これはあくまで土台に過ぎない」。米陸軍の調達・兵站(へいたん)・技術担当次官補を務めるブレント・イングラハム(Brent Ingraham)氏はそう語る。
「今回の短期集中型開発で対象とした統合防空・ミサイル防衛の枠を超えて、火力支援や現行の地上車両、情報プラットフォームへと広げていく際にも、後方互換性を確保する(新システムでも旧システム時のデータなどを使えるようにする)ため、同様の取り組みを行っていく」
この1年間、米陸軍は急速な変革を遂げてきた。新しい兵器や民間のソフトウェア開発手法を積極的に取り入れ、「データサイロ」、つまり部隊全体で情報が素早く行き交うことを妨げていた孤立したシステム群の解消に取り組んできたのだ。
その取り組みを牽引してきたのが、陸軍の新たな戦闘管理ソフトウェア「次世代指揮統制システム(NGC2:Next Generation Command and Control)」だ。
NGC2は、コロラド州フォートカーソンに駐留する陸軍第4歩兵師団とハワイの第25歩兵師団と連携し、継続的に開発が進められてきた。「オープンアーキテクチャ」を採用しているため、さまざまなベンダーが提供する新しいツールを、より簡単に追加できる設計になっているのが特徴だ。
また、NGC2の導入によってデータの転送速度が向上したほか、弾薬の必要量を推定するといった作業に自動化ツールを組み込むことにも役立っている。
米陸軍の幹部たちはこう口を揃えた。将来の戦争のスピードに対応するためには、迅速にアップデートできるテクノロジー、異なる兵器・システム間の通信の効率化、そして戦況の変化に対応しつつ、膨大なデータを選別する兵士の認知的負荷(頭脳の負担)を軽減する人工知能(AI)の活用が不可欠になる、と。


























