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インテリアデザイナーに聞く
インテリアデザイナーに聞いた、「自分らしい部屋」を作るために大切なこと

好きな家具を並べたり、SNSで見た部屋を真似したりしても、どこか自分の部屋としてしっくりこない。そんな感覚を抱いたことがある人は少なくないだろう。
2026年4月18日〜5月17日の期間で開催中の「TOKYOROOMS展 〜40の部屋、40通りの生き方〜」では、40組のクリエイターがそれぞれの価値観や感性を6畳の空間で表現した。展示全体の企画からデザインまで横断的に携わったのが、株式会社ソーシャルインテリアで多様な空間作りを手がけるインテリアスタイリストの佐々木愛生さんだ。今回は佐々木さんに、「自分らしい部屋」をどのように空間へ落とし込んでいくのか、その考え方について伺った。
「好き」の理由から部屋を作る

部屋に個性を出そうとすると、好きなものをそのまま並べたくなる。だが、その人らしさを空間として成立させるには、好きなものを一度分解し、色や形、質感に置き換える視点が必要になる。
「佐伯ポインティさんの部屋では、会話の中で出てきた『おもちゃ箱みたいな部屋が好き』という言葉を起点にしました。実際の部屋にレゴブロックがあったわけではないのですが、レゴを連想させる収納ケースやティッシュボックスを取り入れています。好きなものをそのまま置くのではなく、その言葉から感じられる楽しさや遊び心を、色や形、小物の選び方に置き換えていくイメージです。自分の部屋作りでも、まずは何を置きたいかより、なぜそれが好きなのかを考えてみると、空間としてまとまりやすくなります」
世界観はモチーフで取り入れる

好きな作品や物語の世界観を、部屋に取り入れるのも一つの方法だ。ただし、すべてをそのまま再現しようとすると情報量が多くなり、生活空間としてはまとまりにくくなることもある。
「好きをそのまま置くのではなく、要素に置き換えるという点では、モモコグミカンパニーさんの小説をもとにした部屋も同じ考え方でした。作品の世界観をそのまま再現するのではなく、『不思議の国のアリス』の要素を重ねながら、青いドレス、赤いハートの時計、白ウサギ、紫のラグなどを少しずつ散りばめています。好きな作品を部屋に取り入れる場合も、全部を再現しようとするより、象徴的な色や小物に絞る方が、日常の空間になじみやすくなります。作品を知らない人にも何か気になる余白が残るくらいの方が、部屋としても自然に見えます」
過ごし方を軸にテイストを混ぜる

インテリアでは、テイストを揃えることが正解のように思われがちだ。しかし、異なる要素が混ざっていても、そこでどう過ごしたいかが明確であれば、空間には自然なまとまりが生まれる。
「インテリアコーディネーター・小林華子さんの部屋では、和の要素と北欧の家具が組み合わされていました。北欧のチェアやランプ、ヨーロッパのシェルフが入っているのに、部屋全体にはその人らしい自然なまとまりがあります。起きたらソファに座って食事をして、本を読んで、好きなアートや雑貨を眺める。そうした過ごし方が先にあることで、異なるテイストの家具も無理なく馴染んでいました。テイストを揃えることよりも、自分がその部屋でどう過ごしたいのかを考えることが、空間作りの軸になります」
思い出や積み重ねも部屋の個性になる

整った部屋を目指すあまり、思い出のものや生活の痕跡を隠しすぎてしまうこともある。だが、その人らしさは整然とした見た目だけでなく、これまでに何を積み重ねてきたかにも表れる。
「元バーニーズ ジャパン クリエイティブディレクターの谷口勝彦さんの部屋は、アトリエをテーマにしていて、ご自身が関わってこられた方やこれまでの制作物、思い出のものがシェルフに置かれていました。ウィンドウディスプレイの経験を生かした見せ方もあり、そこに並ぶものから谷口さんの背景が伝わってくる空間になっています。絵の具が飛び散ったような表現も既製品ではなく、自分たちで手を加えて作ったものです。部屋作りでも、思い出のものや手を加えた痕跡をすべて隠す必要はありません。どう見せるかを考えることで、その人が何を大切にしてきたのかが見える場所になります」
部屋作りは「好き」を知ることから

自分らしい部屋を作るには、最初から完成形を目指しすぎないことも大切だ。おしゃれに見えるかどうかより、自分が何を好きで、どんなものを近くに置きたいのかを考えることが出発点になる。
「今回の展示の最後には、『あなたならなにを置く』という問いを込めた部屋を作りました。これから部屋を作る人が、おしゃれな部屋にしなきゃと思い込みすぎるのではなく、自分は何が好きなのか、どんなものを置きたいのかに気づける場所にしたかったんです。家具は高ければいいわけではありませんし、安い家具が正解ということでもありません。趣味があるからといって部屋を素敵にできるとは限らない。暮らしを考えることは、自分を見つめ直すことでもあるので、まずは自分の好きなものを言葉にしてみることが大切だと思います」
その人らしい部屋は、流行の家具や整ったインテリアをそのまま取り入れるだけでは生まれない。何に惹かれ、どんな時間を過ごしたいのか。好きなものの奥にある感覚を見つめ直すことが、自分の暮らしに合った部屋作りの第一歩になる。
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