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- アンソロピックのようなスピード経営を「日本企業もできる」。NEC森田社長が語るAI時代のSIerの稼ぎ方

「日本企業もできるんだと思いますし、そういう風にやろうとしている日本企業も結構いると思いますよ」
日本電気(NEC)の森田隆之社長兼CEOは、5月21日に行われた報道陣とのグループインタビューの場で、AI企業アンソロピック(Anthropic)のようなスピード感を、日本企業も持てるのか、という問いにこう答えた。
NECは4月、アンソロピックとのグローバルパートナーシップに合意した。筆者はその際、交渉を担ったNECの吉崎敏文副社長に取材している。
吉崎氏が強く印象に残ったと語っていたのが、アンソロピックの意思決定の速さだった。交渉の過程では、吉崎氏がロンドンに弾丸出張し、アンソロピックのポール・スミスCCOとの交渉に臨んだことも明かしていた。
今回のグループインタビューで筆者がその点を踏まえて尋ねると、森田氏は吉崎氏の交渉について「非常にスピーディーで、気持ちのいい交渉だった」と振り返った。
ただし、森田氏の発言が示していたのは、単にアンソロピックのスピード感をまねる、という話ではない。5月12日に発表した「2030中期経営計画」と今回の発言を重ねると、NECが見据えているのは、「AI時代に合わせた組織の動かし方」と「SIerとしての稼ぎ方の見直し」だ。
NECも例外ではない「アンソロピック・ショック」

NECが発表した2030中期経営計画は、AIによるテックサービス業界の構造変化を大きな前提に置いている。
同社は中計資料の中で、主要テックサービス企業21社の時価総額が2026年初から4月末にかけて約80兆円減少したことを「アンソロピック・ショック」と表現した。AIによってシステム構築の価値が下がり、内製化が進み、既存プレイヤーの事業機会が減ると見立てている。
NEC自身も、そうした変化と無縁ではない。森田氏は中計説明会で「我々もその例外ではありません」と認めた。そのうえで、AIによって失われる機会ではなく、新たに生まれる機会に向き合うことが重要だと説明している。
NECが中計で示したのは、AI時代には価値の重心が「システム構築」から、上流の「コンサルティング」と下流の「オペレーション」に移るという考え方だ。これまで分断されていたコンサルティング、システム構築、運用・保守を一体で担い、顧客の成果に継続的に関与する企業の価値が高まるという。

今回のグループインタビューでも、森田氏は同じ趣旨を語った。
「マクロに見るとマーケットは広がると思っています。だから、我々が正しい行動をすれば、我々にとってはフォロー(追い風)になる」
一方で、待っていれば自然に成長市場に乗れるわけではないとも述べた。
「ずっと待っていればそこ(成長市場)に行けるかといったら、全然行けない。構造が変わっていく中で、その変化を先取りしていかないと、我々自身は敗者になってしまう」
成長機会を取り込むには、NEC自身も事業モデルを変える必要がある。森田氏の発言からは、そうした意識がうかがえる。
サービスモデルを「1割から半分」へ

市場環境の変化を事業に落とし込むうえで、鍵になるのがBluStellarだ。
NECは、AX(AIトランスフォーメーション)推進事業の中核として「BluStellar(ブルーステラ)」を掲げている。2030中計では、BluStellarの売上収益を2025年度の7050億円から2030年度に1.3兆円へ、Non-GAAP営業利益率を14.5%から25%へ引き上げる計画を示した。
その成長を支える収益モデルについて、森田氏はグループインタビューで具体的な比率に触れた。焦点は、従来型の受託・人月ベースのビジネスから、継続的にサービスを提供して対価を得る「サービスモデル」へ、どこまで移行できるかだ。
森田氏は、「現場のイメージ値」と前置きして語った。
「サービスモデルは、多分10%ぐらいしかないんじゃないかなと思います」
つまり、BluStellarでも現状は、従来型の受託・人月ベースのビジネスが大きな比重を占めているということだ。
ただし、森田氏は2030年に向けて、その構成を大きく変える必要があると語った。
「非常に大雑把な話ですが、半分ぐらいが(サービスモデルに)なっているぐらいの気持ちで動かないといけない」
人月ビジネスは、エンジニアの作業量と単価を積み上げて売上を立てるモデルだ。AIで開発やテスト、ドキュメント作成の生産性が上がれば、単純に作業量を積み上げる収益モデルは説得力を失いやすくなる。
もっとも、森田氏は、人月モデルが2030年までになくなるとは考えていない。顧客側の契約慣行やマインドセットを踏まえれば、すべてがサービス課金に切り替わるわけでもない。実際には、従来型の受託・人月ベースの契約と、継続課金型のサービスモデルが併存しながら、後者の比率を高めていくイメージだ。

NECにとって難しいのは、サービスモデルの比率を上げることだけではない。継続的にサービス課金を得るためには、顧客の業務設計や運用、改善まで入り込み、長期的に価値を提供し続ける関係をつくる必要がある。単発の構築案件を納めて終わり、という関係性とは前提が違う。
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