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- 日立のAIはクルマを動かせるか。NVIDIA技術も使い、Astemoと挑む“現実とのギャップ”

クルマの価値は、車体や部品の性能だけでなく、ソフトウェアによっても左右されるようになっている。出荷後も機能を更新し続ける「SDV(Software-Defined Vehicle)」時代において、その中核技術の1つとなるのが、周囲の状況を判断して車両を制御する「運転支援AI」だ。
日立製作所(以下、日立)と大手自動車部品メーカーのAstemo(アステモ)は5月20日、運転支援AIの学習・検証・展開を支える新たな開発基盤を共同で構築すると発表した。

そこで問われるのが、AIを実車にどう接続するかだ。
AIモデルを高性能化するだけでは、自動車を安全に動かせるわけではない。クラウドや仮想空間で学習したAIを実車の制御に落とし込むには、センサーやブレーキ、ステアリングが実際にどう動くのかを踏まえた知見が必要になる。
同日に開催された日立のイベント「Hitachi Physical AI Day」でのセッションから、AI開発における「Sim2Real(シミュレーションから現実へ適用する際のプロセスや手法)」の課題と、日立とAstemoの強みがどう組み合わされるのかを解説する。
仮想空間で鍛えたAIが、そのまま実車で動かない理由

運転支援AIの開発では、実走行データだけでなく、仮想空間で生成したデータも重要になる。今回の基盤で重視されているのは、人間がルールを細かく記述するだけでなく、仮想空間上で多様なシーンを生成し、AIの学習や検証に使うアプローチだ。
日立のデータサイエンティストである諸橋政幸氏は、デジタル空間での開発の利点を次のように語る。
「リアルな世界では、交通事故や嵐など、データとして集めるのが困難なシーンがあります。仮想環境上であれば、事故になりそうなシーンを意図的に作り出し、天候や他車の位置も自由に変更して大量のデータを創出できます」
一方で課題になるのが「Sim2Real」の問題だ。仮想空間で高い性能を示したAIモデルでも、実世界に持ち込むと想定通りに動かない場合がある。CGでつくった画像と実際のカメラ映像には見え方の差があり、それが認識精度に影響する可能性があるためだ。
日立はこのギャップを埋めるため、2つの技術を試している。1つはエヌビディア(NVIDIA)の世界基盤モデル「Cosmos」を用い、CG画像をより実写に近い画像へ変換するアプローチだ。
もう1つは「3D Gaussian Splatting(ガウシアンスプラッティング、3DGS)」と呼ばれる技術だ。実際の街並みを撮影した画像から3D空間を再構成し、視点を変えながら仮想空間での検証に活用しようとしている。実写データを起点に仮想空間を作ることで、Sim2Realで発生するギャップを縮めようという発想だ。
Astemoが握る「実車に落とす」ための知見

データとシミュレーションの領域を日立が担うとすれば、Astemoの役割は、AIを物理的な車両に接続することにある。
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