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Business Insider Japan

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【独自】3兆円規模の解約請求が殺到…でも返還率はわずか53%。各プライベートクレジット・ファンドの投資家が、実際に受け取れた金額を示す3つのグラフ
Alex Nicoll · 2026-04-17 · via Business Insider Japan
  1. MONEY INSIDER
  2. 投資
  3. 【独自】3兆円規模の解約請求が殺到…でも返還率はわずか53%。各プライベートクレジット・ファンドの投資家が、実際に受け取れた金額を示す3つのグラフ
Walking on Wall Street
Spencer Platt/Getty Images
  • プライベートクレジット(非銀行系金融機関による融資)のダイレクトレンディング(直接融資)ファンドに対する解約請求額が、2026年第1四半期、過去最高の195億ドル(約3兆908億円)を記録した。
  • しかし、実際に投資家に返還されたのは請求額のわずか53%、104億ドル(1兆6484億円)にとどまった。
  • この第1四半期に起きた歴史的な解約ラッシュの全容について、3つのグラフで説明する。

アメリカ証券取引委員会(SEC)の開示資料をBusiness Insiderが分析したところ、投資家が今年第1四半期に、プライベートクレジット(非銀行系金融機関による融資)の一つ「ダイレクトレンディング(企業への直接融資)ファンド」に請求した解約額の合計が、195億ドル(約3兆908億円、1ドル=158.5円)に上ることが分かった。

しかし、Business Insiderが分析した17の投資ファンド全体で、運用各社が実際に償還したのは請求額の53%、金額にして104億ドル(1兆6484億円)にとどまった。

解約ラッシュの理由

17のうち9つのファンドは、投資家の引き出し額を、四半期ごとに義務づけられている最大払い戻し率(ファンド純資産または発行済株式総数の5%ないし7%)に基づく上限額に制限する措置をとった。

この解約ラッシュは、非上場のプライベートクレジット・ファンドに対する一部投資家の信頼が揺らいでいることを示すサインだ。生成AI時代におけるソフトウェア企業向け融資のエクスポージャー(投資残高)や、非公開市場と公開市場の企業評価額の乖離に対する懸念が高まっているためだ。

ただ、資金を引き揚げる投資家がいる一方で、新たに資金を投じ続ける投資家も存在する。そのため、プライベートクレジット・ファンドにおける同四半期の純流出額ははるかに小規模に収まるか、場合によっては純流入となる可能性さえある。

なぜ返還率が低いのか

資産運用会社など銀行以外のノンバンクが融資を行う「プライベートクレジット」は、2020年代前半に最も急成長した資産クラスの一つだ。そして、プライベートクレジットの中で最も多いのが、企業の事業運営資金を支援する「ダイレクトレンディング」であり、その多くはプライベートエクイティ・ファンドが行う「レバレッジド・バイアウト(LBO、借入金を活用した企業買収)」の資金調達に充てられている。

また、プライベート市場業界は資産運用アドバイザーを通じ、個人投資家に対して「半流動性」型の投資商品(一定の流動性を持つが解約に制限のある商品)を積極的に販売してきた。こうしたプライベートクレジットの投資商品——BDC(事業開発会社)やインターバル・ファンド(一定間隔でのみ解約可能なファンド)——は、公開市場の信用商品より高いリターンを謳っている。ただし、その代わりに投資家が資金を引き出せるのは四半期に一度に限られる。

解約ラッシュの影にトランプ関税も?

米証券取引委員会(SEC)開示資料をBusiness Insiderが分析
米証券取引委員会(SEC)開示資料をBusiness Insiderが分析
Andy Kiersz/BI

上記のデータは、アメリカ証券取引委員会(SEC)の開示資料から取得した。なお、一部の運用会社については、2026年第1四半期の数値は直近の開示済み純資産総額(NAV)をもとにした推計値となっている。投資家に対する最終的な支払額の算定基準となる3月時点のNAVがまだ発表されていないためだ。

今回のBusiness Insiderの調査では、ダイレクトレンディング比率の高い大規模ファンドを対象としており、資産担保融資(ABL)といったほかの戦略に特化したファンドは対象から除外した。各種数値は小数点第1位で四捨五入している。

これらのファンドの多くは、今年第1四半期に初めて解約制限の措置に踏み切った。その決定は一部の投資家の反発を招く可能性があるものの、そのおかげで90億ドル(1兆4265億円)超の資金がファンド内に留保されることになった。

解約請求額は2025年第4四半期から142.2%増加したが、実際の払い戻し額は昨年末の80億ドル(1兆2680億円)からわずか28.9%の増にとどまった。

確かに、2026年第1四半期に解約された104億ドル(1兆6484億円)は過去最高の金額だった。しかし、解約額はそれ以前から着実に増加していたのだ。実際、2025年第3四半期から第4四半期にかけては154%も急増し、投資家は80億ドル(1兆2680億円)解約していた。

今回、2025年第2四半期以降の動向に焦点を当てることにしたのは、BDCに対する関税の影響が出始めたせいか、まさにその時期から解約数が増え始めたからだ。

資産を売却して払い戻す企業も

米証券取引委員会(SEC)開示資料をBusiness Insiderが分析
米証券取引委員会(SEC)開示資料をBusiness Insiderが分析
Andy Kiersz/BI

実際の払い戻し額が群を抜いて大きかったのは、ブラックストーン(Blackstone)のプライベートクレジット・ファンドだった。同ファンドは資産規模827億ドル(約13兆1080億円)を運用する最大の非上場BDCだ。ブラックストーンは払い戻し額を純資産の5%に制限する措置を見送り、投資家に合計37億ドル(5864億5000万円)を償還した。

ただ、ブラックストーンが37億ドル(5864億5000万円)を投資家に返したからといって、同じ額の手元資金を失ったわけではない。ブラックストーンや同社の経営幹部の一部に加え、新規の投資家から、25億ドル(3962億5000万円)近い金額が新たにファンドに流入しているからだ。

一方、払い戻し請求額が群を抜いていたのは、クリフウォーター(Cliffwater)のコーポレート・レンディング・ファンドと、ブルーオウル・クレジット・インカム・コーポレーション(Blue Owl Credit Income Corp)だった。

ブルーオウルが運用するテクノロジー特化型の小規模ファンド「ブルーオウル・テクノロジー・インカム・コーポレーション」では、過去2四半期で解約請求率が最も高く、昨年第4四半期には15.40%、金額にして5億2700万ドル(835億2950万円)を払い戻した。また、同ファンドは今年第1四半期に保有資産の一部を売却し、払い戻しに対応するための流動性(手元資金)を確保。次の第2四半期は払い戻し額に制限を設けることを決定した。

グラフはアンディ・キアーズ(Andy Kiersz)氏が作成した。

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