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- あえて東京→北海道・北広島に移転。JR東、東京建物も注目のホテルAI企業が、成長のために「地方」を選んだ理由

「渋谷にいても、『数あるベンチャーの一つ』になっちゃうじゃないですか」
東京証券取引所グロース市場へ4月22日に上場したSQUEEZE(スクイーズ)の舘林真一代表はこう語る。
同社はもともと東京で創業したスタートアップだが2025年、本社を北海道・北広島市へ移転した。営業活動に投資家へのアクセス、人材獲得やメディア露出 ——。あらゆる面で「東京にいること」が前提とされてきたスタートアップシーンの中で、あえての地方移転を"勝ち筋"と位置づける。
煩雑なホテル運営を一括で支援。粗利4割→7割も

予約やチェックイン・アウト、ゲスト対応などのフロント業務から、会計、顧客・収益管理、さらには清掃業務や遺失物管理など、ホテルの運営業務は多岐にわたる。舘林代表によると、業界では特定業務ごとに個別のシステムを導入し、組み合わせることが一般的だった。
SQUEEZEはこれをAIを活用した一つのプラットフォーム「suitebook」に統合し、多様なホテル業務をワンストップで支援する。
さらにユニークなのは、単なるSaaS企業にとどまらない点だ。グループ内に客室の清掃や24時間・多言語対応のリモート接客サービスといった遠隔オペレーションに対応できるリアルアセットを持ち、実務も担う。必要に応じて、実際のホテル運営そのものも受託する。
2026年1月時点で、東京・大阪・京都を中心に複数ブランドで全国41施設を運営。同社の主要ブランドであるアパートメント型ホテル 「Minn」は、2024年11月に愛知県名古屋市にあるオープンイノベーション拠点・STATION Aiにも入居した。

舘林代表によると、一般的な中規模ホテルでは営業粗利率(GOP)は40%前後だというが、同社のサービスをフルラインナップで導入したケースではGOPが70%超まで改善した事例もあるという。
一部のシステム提供や運営を担う施設の総部屋数は2万室以上にのぼる。運営は担うが、自社でホテルを所有しない事業モデルで、売上高の9割をリカーリング収益(システムやオペレーションの継続的な契約による収益)が占める。
上場時の想定時価総額は約100億円規模ながら、2025年12月期の売上高は約54億円。4年で売り上げは12倍に成長し、すでに純利益は約6億円と黒字化も達成している。
大手も期待する「現場を知るテック企業」

SQUEEZEは2014年に東京で創業後、民泊の運営代行で業務を拡大。祖業はSaaSではなく、現場でのオペレーション支援だった。
その後、 クラウド宿泊運営システムとして「suitebook」をローンチするも、2018年の民泊新法の施行を機に、より市場の大きいホテル業界へと事業領域を転換した。コロナ禍ではホテル・観光産業が大打撃を受けたことで、SQUEEZE自身も厳しい状況に追い込まれたものの、デベロッパーのエスコン(当時、日本エスコン)と資本業務提携を結ぶことで事業を継続。その後、インバウンド需要や人手不足を背景にホテル業界が「業務の効率化」に目を向けはじめたことを追い風に、成長してきた。
「コロナの影響で、損益分岐点を下げて省力化・省人化してオペレーションしようというニーズが出てきて、いろいろなオーナーからの引き合いが増えました」(舘林代表)
同社の顧客は一定の規模を持つエンタープライズ企業が多い。大手ホテルから評価される要因を、同社の安養寺鉄彦CFOは、「テクノロジーとオペレーション両方に精通し、全体の設計・推進も行えるプレーヤーが他にはいない」と分析する。

この「現場も知るテック企業」という立ち位置と実績によって、同社はこれまでJR東日本や京王電鉄、東京建物ら大手デベロッパーからも信頼を獲得。着実に顧客を増やしてきた。
「オーナーさんからすると、企画段階から一緒に考えてもらう方が収益性が高いスマートホテルができる。特に我々には、不動産のハード部分がこうなっていた方がより収益が上げられる、というオペレーション上のアイデアがたくさんあります。こうした提案力が評価されていると思います」(安養寺CFO)
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