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- 京都市バスが“全国初”目指す、観光客は料金約2倍の「二重価格」…オーバーツーリズム対策も、簡単には進まぬ事情

訪日観光客(インバウンド客)で賑わう人気観光地、京都。市内観光に不可欠な公共交通機関を巡り、京都市で「全国初」のある画期的な制度の導入に向けた議論が本格化している。それは市営バス運賃への「二重価格」導入だ。市は2027年度中の導入を目指している。
市バスを運営する京都市交通局が導入を目指す「市民優先価格」は、市民向けには現行の230円から200円に値下げし、一方で市民以外には350〜400円への値上げするというもの。実現すれば、公共交通機関への二重価格適用は全国初の試みとなる。
市バスが訪日客の増加によって混雑し、市民生活に大きな影響を与えているという、広い意味でのオーバーツーリズム(観光公害)対策が導入検討の背景にある。ただ、二重価格を開始する道のりには、市民の識別方法や民間バス事業者との連携など、複雑なハードルが立ちはだかっている。京都が抱える独特の事情を取材した。
交通系IC・マイナカード紐づけで「市民優先価格」に
京都市交通局は市外からの通勤・通学者を考慮し、定期券価格は据え置く一方、市民優先価格では市民と市民以外の運賃差は最大2倍になる。つまり、観光客のようないわゆる“一見客”を二重価格の対象としている点が大きなポイントだ。
まず「市民と市民以外」はどのように識別するのか。京都市交通局は現在、マイナンバーカードと交通系ICカードの紐付けを軸に検討している。専用サイトなどでマイナ情報を紐付けた交通系ICカードで運賃を支払えば、自動的に市民割引が適用されるという仕組みだ。
マイナカードを紐づけた割引バス料金の仕組みでは群馬県前橋市が先行する。前橋市が手がける「GunMaaS」(旧MaeMaaS)では、国内初の事例としてマイナカードを活用した市内在住の高齢者・若者向け割引を実施中。京都市も前橋市の識別システムの枠組みを参考にする方針だ。ただ、前橋市の場合、運賃は1種類で市が割引分を補填する方式を採用している。

取材に応じた京都市交通局の松尾佳樹さん(企画総務部企画調査課)によると、京都市のように市民とそれ以外という2種類の運賃を設定する仕組みは「われわれが知る限り全国で前例がない」という。
導入背景に市バス混雑、増収分は運転手採用などに活用
日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、2025年の訪日客数は年間4268万人となり過去最多を更新した。
京都は大阪などと並び「ゴールデンルート」と呼ばれ、訪日客にとって人気観光地となっている。それに伴い、市内観光に使われる公共交通機関の利用者も増加している。

それは京都市交通局の決算にも表れている。
京都市交通局が2025年8月に発表した最新の通期決算(2024年度)によれば、コロナ前の2019年度と比較して市バスの通勤・通学者を除いた定期外収入は188億円(19年度比0.6%増)と、コロナ以降で最高を記録。市外からの観光客増で、市内観光にバス利用が広がったことがうかがえる。

利用者の属性によってバス運賃を変動させる仕組みの導入は交通局の財政にも恩恵があるという。松尾さんは「(一部区間の増便など)オーバーツーリズム対策に、人件費や燃料費、物価上昇を踏まえると、(二重価格を導入しなければ)2027年度の市バスの収支見込みが赤字になる見通し」と明かし「もともとバス運賃の値上げは経営課題だった。事業収支均衡のための不足分を今回は観光客に負担いただくことになった」とした。
京都市は二重価格による増収分で賃上げを行い、人材難が続くバス運転手などの採用強化にも努めるという。
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