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シリア出身ジャーナリストが明かす、イランが「容易に倒れない」納得の理由…地政学だけではない中東の現実
インサイダ by Business Insider Japan · 2026-04-13 · via Business Insider Japan
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シリア出身ジャーナリストが明かす、イランが「容易に倒れない」納得の理由…地政学だけではない中東の現実

インサイダ by Business Insider Japan

左から、トランプ大統領、モジタバ師、ネタニヤフ首相
左から、トランプ大統領、モジタバ師、ネタニヤフ首相
画像:White House HP/Morteza Nikoubazl via Reuters Connect/REUTERS

アメリカとイスラエルによる軍事作戦が始まって以降、「イラン現政権の崩壊」は一つの論点となった。しかし現実は予想を超える泥沼の展開になっており、4月8日には2週間の停戦に合意したものの、交渉は決裂。また、ホルムズ海峡の封鎖によってWTI原油価格は一時1バレル100ドルを突破し、世界経済へのダメージも現実のものとなっている。

なぜイランはここまで粘り強いのか。そして、「イスラエル・アメリカ対イラン」という単純な構図で語られがちなこの紛争の実態はどんなものなのか。シリア出身のジャーナリスト、ナジーブ・エルカシュ氏に話を聞いた。

Business Insider JapanのYouTube番組「インサイダ」に出演したナジーブ氏。
Business Insider JapanのYouTube番組「インサイダ」に出演したナジーブ氏。
画像:インサイダ

イランが“一撃で倒れない”構造的な理由

「イランはイラクともシリアとも違う」——ナジーブ氏はこの点を強調する。

アメリカは2003年のイラク戦争でサダム・フセイン政権があっという間に崩壊した経験を持つ。シリアのアサド政権も、強固に見えながら急速に瓦解した。だからイランも同様だろう、という楽観論がトランプ陣営には存在したとナジーブ氏は見る。

しかしナジーブ氏によれば、イランは政治的なイデオロギーは明瞭だが、その下では目標を果たすための戦略に関して異なる意見を持つさまざまな派閥が存在し、完全な一枚岩にはなっていないと言う。実際には民主主義国家ではなく、イスラーム原理主義のイデオロギーに基づいた国家であるとナジーブ氏は指摘する。

この構造があることで、たとえ攻撃初日にハメネイ師が殺害され攻撃が続いたとしても、体制転換まではなかなか至らないという分析は、現状の説明として頷ける。

イランの複雑な民族構成……シーア派=親イラン政府とは限らない

イスラム国家を語る時、しばしば「シーア派対スンニ派」という宗派軸で単純化されることが多い。しかし、ナジーブ氏は全てにこの図式を当てはめるのは危険だと言う。

「民族と宗派を別々に見ないと、イランの内部は絶対に理解できない」(ナジーブ氏)

イランの民族構成はペルシャ人が約60%を占めるが、残りはアラブ人、クルド人、アゼリー人など複数の民族が混在する。それぞれが独自の歴史的経緯と政治的立場を持っており、「同じシーア派だからイラン政府支持」という単純な等式は成り立たない。

以下はナジーブ氏の分析だ。

アラブ人の場合:アラブ系イラン人はシーア派でありながら、民族的な理由で政府に長年抑圧されてきた。「同じシーア派でも、アラブ人だから差別される」という複雑な現実がある。

アゼリー人の場合:シーア派であるアゼリー人(アゼルバイジャン人)は、イラン政府と親和性があるように見える。しかしイランは、アゼルバイジャンとアルメニアの紛争において、常にアルメニア側を支持してきた。理由はアゼリー人のアゼルバイジャンとの繋がりから、独立などの動きを警戒しているためだ。さらにアゼルバイジャンはイスラエルと緊密な関係を持っており、イランとの利害は構造的に対立している。

クルド人の場合:最も注目すべきは「宗教より民族」を優先する傾向が強いクルド人だ。今もクルド人はナショナリズムを軸に、イラン政府への抵抗を続ける。アメリカが仮にイランに対して内部工作をするとすれば、最も有効な接点となりうるのがクルド勢力だとナジーブ氏は見る。

イラン国民の「本音」。なぜイスラム革命政府は支持を失ったか

昨年末〜年初にかけてイランで起きたデモの様子
昨年末〜年初にかけてイランで起きたデモの様子
画像:ZUMA Press Wire via Reuters Connect

2025年12月、イラン国内では大規模な反政府デモが発生した。アメリカとイスラエルがこの機に乗じて軍事行動に踏み切った背景には、「今なら体制転換が狙える」という読みがあったとされる。では、なぜイラン国民はこれほどまでに現政権に幻滅したのか。

ナジーブ氏の答えは端的だ。「国の経済が、すべて軍のために回されてきたから」だ。

イランはレバノンのヒズボラ、イラクの親イラン民兵、イエメンのフーシ派、シリアの支援勢力など、周辺諸国への「影響力投資」に膨大な資金と人材を注ぎ込んできた。確かにイランの地域影響力は増大した。しかしナジーブ氏は「イランが手を出したところはすべて破壊と戦争につながった。経済的なリターンよりもコストが大きかった」と指摘する。

イラン人の不満を象徴するのが、ドバイとの対比だ。ペルシャ湾を挟んだ対岸のドバイは、急速な経済発展を遂げている。かつてのペルシャ文明を誇りとするイラン人は、「なぜ私たちが停滞し、ドバイが発展するのか」という疑問を抱いてきた。ビジネスをしたい人々はドバイに流出し、イラン政府の側近でさえもドバイに資産と拠点を持つという皮肉な状況が生まれている。

「イラン人は歴史的に商人の文化を持つ。オープンな経済が身体に刻まれている。今のイランはその真逆だ」とナジーブ氏は語る。経済的閉塞感と発言の自由の抑圧が積み重なり、去年の大規模デモへとつながった

ただ、外国からの攻撃が始まった今、イラン国民の感情は「反政府」から「国家防衛」へとシフトしつつあるという。

「戦争中は経済の話より、国が攻撃されているという現実が優先される。プライドに火がつく。反対派の勢いは逆に弱まっている」(ナジーブ氏)

「本人確認を繰り返す社会」はもう終わる——FPoSが実現する“人とモノ”“リアルとデジタル”がつながる社会

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