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- 「チャイナ・ショック」が示す、AIが労働市場を壊滅させない理由

- アポロ・グローバル・マネジメントのトルステン・スルークは、AIによる混乱を過去の経済的変革の再来と捉えており、最終的には全体的な成長につながると予測している。
- 彼によれば、AIはホワイトカラーの雇用に影響を与えるものの、こうした変革は歴史的に見れば経済拡大を促進してきたという。
- 2001年の中国のWTO加盟に伴う雇用混乱が、新たな雇用創出と成長により相殺されたように、AIの台頭もまた、同様の軌道を辿る可能性が高い。
投資会社アポロ・グローバル・マネジメント(Apollo Global Management)の主席エコノミストであるトルステン・スルーク(Torsten Sløk)は、AI(人工知能)が労働市場にどのような影響を及ぼすかを考えるうえで、21世紀初頭の動向に着目すべきだと提言している。彼が比較対象としているのはドットコム・バブルではなく、中国の製造業躍進がアメリカの雇用に及ぼした影響だ。
スルークは2026年5月5日のブログで、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年当時を振り返った。この加盟により、中国経済は世界経済との結びつきを強め、世界各地の工場労働者をめぐる競争が激化した。しかしスルークによれば、アメリカの製造業雇用は当初減少したものの、その影響はサービス業の成長など、ほかの経済要因によって相殺されたという。
現在のAI主導型経済も同様の軌道をたどるとスルークは予測する。
「AIショックは同じ筋書きをたどっている。今回の雇用喪失は、工場労働ではなく、認知労働やホワイトカラー業務に影響が及んでいる点が異なる。しかし、それ以外の構造的要素は驚くほど似通っている」
スルークが描くシナリオは、強力な経済的混乱から始まり、影響を受けた産業で急速に大規模な雇用喪失が生じる。しかしその後、成長の波が訪れ、失業率を低く抑え、経済全体を安定させるというものだ。
スルークは以前から、AI革命を一部で予測されているような「雇用を破壊するもの」ではなく、ポジティブな経済的推進力と捉えるべきだと主張している。その理由を説明するために、彼はジェヴォンズのパラドックスを引用している。
イギリスの経済学者ウィリアム・スタンリー・ジェヴォンズ(William Stanley Jevons)が提唱したこの経済原理は、生産性の向上によってサービスのコストが低下すると、結果として労働需要が増大するという理論だ。これに従えば、AIによる効率化がさらなる需要を生み、企業はその需要に対応するため、長期的には従業員を増やしていくことになる。
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