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メディアが報じないトランプ政権の真実。「若手は日本に学ぶべき」と語るホワイトハウス精鋭たちの本音
2026年2月下旬、経済同友会に所属する日本企業のトップら28名が渡米した。トランプ第2次政権スタート後、2025年に続き2度目となる「米国ミッション」である。彼らがホワイトハウスの心臓部やバンス副大統領のチームとの対話で目撃したのは、極めて理知的な実務家たちの姿だった。
トランプ氏の直感を緻密な政策へと翻訳する若きエリートたちは、日本に何を求めているのか。巨額投資を巡る米側の本音から、関税の正体、そして「ジェンダー論より実利的な教育を」と説く価値観まで。変容するアメリカの真の姿を、米国ミッションをリードした経済同友会代表顧問で東京大学特任助教の川井大介氏が語る。

川井大介
東京大学先端科学技術研究センター特任助教、経済安全保障・政策刷新プログラムディレクター。ロンドン大学キングスカレッジ、北京大学で修士課程を修了。英国王立防衛安全保障研究所、日本国際問題研究所などを経て現職。専門は経済安全保障、新興技術と安全保障、インド太平洋地域の外交・安全保障、科学技術政策論、データガバナンス。世界的に多くの著名な国際会議のヤングリーダーに選出され、2024年には三極委員会デイビッド・ロックフェラー・フェローに就任。
ホワイトハウス、上下両院…親日派以外とも多く面会

―― 今回の米国ミッションの狙いと、実際に見たアメリカの変化について教えてください。
川井大介氏(以下、川井):2025年2月の米国ミッションでは「アメリカに学びに行く」と教えを請うスタンスでしたが、2026年2月実施の今回は「日本の意見を伝えに行く」ことに重きを置きました。
参加者は日本を代表する企業の経営者ら28名。私は、事務局とともにスケジュール調整から現地での交渉、事務局的な役割まで、一通りを担当しました。訪問先はホワイトハウス、連邦議会(上下両院)、民主・共和両党の議員、商務省など多岐にわたり、結果として普段は会えないような企業トップや政策関係者に会うことができました。
今回のミッションでは、親日派に限らず、日本に詳しくない層とも多く面会するよう設計しました。企業経営者が組織の代表ではない「個人」として参加し、面会の際もあらかじめ用意された原稿を読み上げるのではなく、それぞれの視点から自由に議論する形をとりました。日本側からは「投資しやすい環境を整えてほしい」という要望とともに、「日本はアメリカにとって最大の投資国である」という事実を改めて伝えました。
直接話して分かったのは、民主党も共和党も、議員も行政も、それぞれの中で意見が分かれていること。ただ共通していたのは、日本は重要な同盟国であり、インド太平洋が重要だという認識と、日本が最大の対米投資国だという点でした。
対米投資に立ちはだかる「3つの壁」

―― 日本企業が投資を決断する上で、今どのような障壁がありますか。
川井:アメリカ側に対して伝えた最大のメッセージは、不確実性(予見可能性の低下)が日本企業の投資意欲を削いでいるという点です。
現在、日米間のコミュニケーションにはある種の温度差が生じています。政府レベルの対話では、日本側が「累計5500億ドルという巨額投資を継続する」といった融和的なトーンに終始しがちな面があります。
しかし、アメリカ側の本音はシビアです。彼らは「巨額の投資をうたいながら、なぜ第1号案件の5兆円程度しか動いていないのか。2029年1月までの投資計画を本当に完遂できるのか」という強いフラストレーションを抱いているのです。
一方日本の経営者の視点に立てば、投資を実行したくても「予見可能性」が低すぎるという切実な問題に直面しています。具体的には、以下の3つのボトルネックが合理的な投資判断を妨げています。
1つめは、実務上のデッドロックです。投資を決めても、技術指導のためのエンジニアへのビザ発給が滞り、大切な技術伝承が阻まれてしまうケースが後を絶ちません。
2つめは、不合理な関税と、政策の一貫性の欠如です。
アメリカ国内に代替品が存在しない特殊な製造設備であっても、日本から持ち込む際に高額な関税が課されるといった矛盾が起きています。さらに、環境評価を含めバイデン・トランプ両陣営で政策が激変する中、長期的な投資の前提を描くことは困難です。
3つめは、審査の不透明さや政治的介入への懸念です。
対米外国投資委員会(CFIUS)による審査や、日本製鉄によるUSスチール買収案件に見られるような、純粋な経済ロジックを超えた政治的動きがリスクとして強く意識されています。
企業にとって本質的な問題は、単なるコストの多寡ではありません。「どの前提で採算を計算すべきか」という指針が立たないこと、つまり算定根拠の消失こそが深刻なのです。
関税についても、司法判断で否定されても通商301条などで継続されるなど、実質的には「終わらないリスク」と見るべきです。
今回のミッションでは、全米最大級の法律事務所Holland & Knight(ホランド&ナイト)やUSTRの元高官らからブリーフィングを受けました。そこで見えてきたのは、関税が複数の法的枠組みを使い分けながら維持・強化されていく構造でした。
301条調査やアンチダンピング措置で時間を稼ぎつつ、その間に新たな法的根拠を整備する。特に中国を標的とした高率関税の制度設計が進んでいる点は印象的でした。
こうした流れを踏まえると、関税は「恒常的に続くもの」として戦略を組み立てる必要があります。関税の再導入、訴訟リスク、政策の変節 ―― これらが累積し、投資判断の前提そのものが揺らぎ続けているのです。
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