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- 人型ロボットである必要はない…AIロボットスタートアップが描く未来とは?

- ジェネシスAIは、使用しないときは折りたためる3枚のパネル構造を採用した車輪付きロボット「イーノ」を発表した。
- コースラ・ベンチャーズやエリック・シュミットが出資するこのスタートアップは、2026年末までにロボットの実用化を始める計画だ。
- ジェネシスAIはセンサーを搭載したグローブを使い、専門技術を持つ作業者の作業データを収集してロボットを訓練している。
人間のようにさまざまな作業をこなせるロボットの開発競争に、新たなプレーヤーが参入した。ただし、そのロボットの姿は人型ではない。
ロボット開発スタートアップのジェネシスAI(Genesis AI)は2026年6月16日、車輪で移動する双腕ロボット「イーノ(Eno)」を発表した。脚の代わりに3枚のパネルで構成された伸縮式の本体を採用しており、高さを調整できるほか、使用しないときは折りたたむこともできる。
ジェネシスAIのジョウ・シアン(Zhou Xian)CEOは、2026年末までに数十台のロボットを生産し、小規模な顧客向けに導入を開始する計画だと発表した。イーノはまず、製造業者や物流企業、研究所向けに展開されるという。その後はサービス業の顧客向けにも拡大し、最終的には家庭向けにも提供される予定だ。
ジェネシスAIが参入するロボット市場は、AI分野の中でも特に注目を集めている領域のひとつだ。投資家や起業家たちは、次のAIブームはチャットボットから、現実世界で作業できるロボットや機械へと移ると見込んでおり、その可能性に賭けている。
「今後10年以内に、人間のようにさまざまな作業をこなせるロボットが世界中で10億台規模で導入されるようになると考えている。その市場で我々は主要プレーヤーの一社になりたい」と2025年初めにカーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)で博士号を取得後、ジェネシスAIを共同創業したシアンは話している。
ジェネシスAIは、ベンチャーキャピタルのイクリプス(Eclipse)、コースラ・ベンチャーズ(Khosla Ventures)、そして元グーグル(Google)CEOのエリック・シュミット(Eric Schmidt)から1億500万ドル(約168億円)の資金を調達している。ジェネシスAIは、フィジカル・インテリジェンス(Physical Intelligence)やスキルド(Skild)のようにAIモデル開発に特化している企業とは違い、AIモデル、動作学習用グローブ、ロボット訓練用シミュレーター、ロボット本体までを一貫して開発している。

Business Insiderは、イーノ(Eno)をいち早く取材する機会を得た。シアンCEOは、ジェネシスAIのサンフランシスコ・ベイエリアにある研究開発施設で、筆者をオフィス内の一見すると普通の壁に見える場所へ案内した。実はその壁には隠し扉が設けられており、その先には秘密の部屋があった。薄暗い室内には、ロボットの訓練に使われる上半身モデルが置かれ、その隣には黒い布で覆われた物体が置かれていた。反対側の壁には、アジリティ(Agility)の「ディジット(Digit)」、フィギュア(Figure)のヒューマノイド(人型)ロボットやワンエックス(1X)の「ネオ(Neo)」、アンチャンテッド・ツールズ(Enchanted Tools)の「ミロカイ(Mirokaï)」など人間のように作業をこなせるロボットの写真をまとめたスライドが映し出されていた。
「これを見ると、複雑な気持ちになる」とシアンは語った。
「もし5年後に、このようなロボットが何百万台も私たちの身の回りで使われるようになるとしたら、人間はそのような未来を好ましく思わないだろう」
ジェネシスAIの競合企業の多くがヒューマノイドロボットを開発しているが、「データセンターから家庭のキッチンまで、さまざまな環境に馴染むような流行に左右されないデザインのロボットを目指した」とシアンCEOは説明している。イーノは設置される環境に合わせて本体の色をカスタマイズできる。
イーノには、人間に似た特徴も一部備わっている。ジェネシスAIは人間のデータを使ってAIモデルを学習させているため、ロボットの基本的な構造も人間の体に似たものにする必要があるからだ。ただし、ジェネシスAIは意図的に脚を採用しなかった。車輪のほうがエネルギー効率に優れ、より安定していて安全だからだ。また、人々に不気味な未来を連想させるようなロボットになることを避けるため、頭部も設けなかったという。イーノに人間らしい特徴を持たせすぎると、人々がロボットを人間のように扱うようになる可能性があるためだ。
「ロボットをあまりかわいらしくしたくなかった」とシアンは言う。
「私たちは『穏やかな知性(Calm Intelligence)』という設計思想を掲げている。ロボットは与えられた仕事をこなし、役目を終えたら人々の意識から自然に消える存在であるべきだ」
イーノは、ロボットの頭脳として機能するジェネシスAIのロボット向けAIモデル「ジーン(GENE)」を搭載している。ジェネシスAIによると、ジーンは、あらかじめ決められた作業を繰り返すだけではなく、与えられた目標を理解して作業を複数の工程に分解し、状況の変化に応じて柔軟に対応できるよう設計されているという。ジェネシスAIは、ロボットが何を考え、どのような作業をしているのかを表示できるディスプレーを胴体部分に搭載したイーノも提供している。
「このディスプレーは、ロボットが何を考えているのかを見せる窓のようなものだ」とシアンCEOは言う。
「例えば、Claude Codeは作業の進め方を段階ごとにユーザーへ示してくれる。同じように、ロボットも何をしようとしているのかを人間に分かる形で示すべきだ」




























