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Business Insider Japan

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9人の女性起業家が挑んだ「発信力」。3つのメディアが評価した事業の共通点とは | Business Insider Japan
山本千尋 · 2026-04-16 · via Business Insider Japan
  1. MASHING UP
  2. LEARN/EVENT
  3. 9人の女性起業家が挑んだ「発信力」。3つのメディアが評価した事業の共通点とは
Mashing Up
Mashing Upアクセラレーター「MEDIA IMPACT SHOWCASE」ピッチ出場者と審査員の皆さん。
撮影:中山実華

社会課題解決のため、磨き上げた事業をいかに多くの人へ届けるか?

女性起業家を支援する育成プログラム「Mashing Up アクセラレーター」は、1年にわたる活動の最後を飾る「MEDIA IMPACT SHOWCASE」を、2026年3月27日、Tokyo Innovation Base(有楽町)にて開催した。

テーマは「メディアへのアピール・発信力」。前半はメディアを味方につけて新市場を拓くための実践的な2つのセッション、後半のピッチコンテストではメディアジーンが運営するBusiness Insider Japan、Lifehacker Japan、Mashing Upによる記事化の機会をかけて、9名の出場者が挑戦した。

メディアは“露出先”ではなく、事業を広げる戦略パートナー

Mashing Up
はね代表取締役 矢嶋聡さん
撮影:中山実華

セッション1「メディアを戦略戦略のパートナーに。起業家が目指すべき『戦略広報術』」では、メルカリとLINEで広報責任者を務め、現在はスタートアップのPR支援を行う矢嶋聡さん(はね代表取締役) と、Business Insider Japan ブランド編集長の高阪のぞみが登壇。

プレスリリースやnoteなどで一方的に投げかける単なるPRではなく、経営戦略としての広報を実現するには「社内外のモーメントに合わせて、集中的に発信する山場づくりが重要」と矢嶋さん。

高阪は大量に届くプレスリリースの中で、つい取り上げたくなるのは「時事性・社会性・独自性の3つが揃っているもの」だと明かし、矢嶋さんは自社事業の表層的な価値に加え、「社会的価値があり、一貫性のあるナラティブを発信すべき」と強調した。

Mashing Up
comvey代表取締役 梶田伸吾さん
撮影:中山実華

セッション2「常識の書き換えが新市場をつくる。ゲームチェンジャーの条件」では、East Venturesフェローの大柴貴紀さん、comvey代表取締役の梶田伸吾さんの話を、Mashing Up理事 遠藤祐子が聞いた。

梶田さんは、段ボールが当たり前となっている日本の物流業界に“リユースできる梱包資材と運用システム構築”という一石を投じた、まさにゲームチェンジャーだ。障害者雇用とも連携する点に遠藤は注目。

数々のピッチに参加してきた梶田さんは、「元気ないね」「喋るのゆっくりだね」と指摘されても、「自分らしく、comveyらしく居続けることが大事」と無理に変えようとしなかった。「偽りのない自分を評価してくれる人は、その後もサポートしてくれる可能性が高い」。そのことを改めて実感しているそうだ。

Mashing Up
East Venturesフェロー 大柴貴紀さん
撮影:中山実華

数多くのスタートアップに出資してきた大柴さんは、「絶対に変えてはいけない核は、自分たちの信念」であり、その先にある「信頼は一瞬で崩れる」実例を紹介。既存の常識を変革していくにはまず、「敵を作らず仲間を作り、結果的にゲームチェンジャーになっていればいい」と嫌われない勇気を持つことが大事だとアドバイスした。

“伝え方”で事業は変わる。進化した9名のピッチ

続くピッチコンテストでは、本プログラムを通じて事業を磨いてきた9名の女性起業家が登場。

今回は「発信力」がテーマであるだけに、各自見せ方や話し方に工夫を凝らし、なかには紹介するポイントを変えることで、これまでと異なる事業のような印象を与える出場者も。2026年1月のDEMO DAYから約2ヵ月、より一層ブラッシュアップした内容を堂々と発表していった。

Mashing Up
ピッチ出場者の皆さん。
撮影:中山実華

(写真 左上から右へ)

木村 千瑛(株式会社LUNDATTE)お腹の冷えをケアする、無縫製・ハイウエストの腸活ボクサーパンツ「腸いいパンツ®」を展開。

小黒 江莉果(株式会社ShelterMate)動物保護施設にいる犬猫等の個体情報を一元管理し、現場の負担軽減と譲渡を支える業務管理システムを提供。

樽本 理子(株式会社NOKOS)最後までその人らしく自宅で過ごせる環境を提供するサービスや小規模の多機能型居住介護施設を展開。

清水 美樹(クロススキルラボ)育児経験をスキルと捉え直すことで、企業における能力開発の機会を広げるキャリア支援サービスを提供。

重田 美彩子(ReEssence)月経前症候群(PMS)対策として開発した、経皮吸収型アロマシールおよび健康状態を可視化する連携アプリの提供。

東 真希(wordrabbit)特化型AIを用いて文章の誤字脱字、文法、表現の不自然さを自動検出・修正する文章校正ツール「wordrabbit」を提供。

谷口 佳穂(3volt株式会社)障がい者の法定雇用率達成と、企業の採用力強化を同時に叶えるSNS運用代行「MEDIAVOLT」を提供。

野本 愛(LifeDecision.AI)家族との暮らしの“決断”に納得の軸を届ける、意思決定支援サービス「LifeDecision.AI」を開発。

黒平 紗弓(株式会社なぷしゃる)婚姻のミスマッチをなくし、愛の誓いをアップデートする、合意形成AIリーガルアプリ「なぷしゃる」を提供。※アメリカよりリモート出場。

評価されたのは何か。メディアが選んだ事業の共通点

3つのメディア賞と、大柴貴紀さんによる「審査員特別賞」に選ばれた受賞者は次のとおり。

Business Insider Japan賞|黒平 紗弓さん(株式会社なぷしゃる

Mashing Up
Business Insider Japan賞を受賞した黒平紗弓さん(株式会社なぷしゃる)はリモート出場。審査員の高阪のぞみBusiness Insider Japanブランド編集長と。
撮影:中山実華

婚前に合意形成を行うAIリーガルアプリを展開する黒平さん。Business Insider Japan ブランド編集長の高阪のぞみは、選出理由に「世の中の価値観が変わっていく変化の兆しを捉え、エモーショナルな課題をロジカルに解決する点に成長性を感じた」ことをあげる。昨年の夏に出産し、今回アメリカからリモート参加した黒平さんは、本プログラムが非常に濃い期間だったと振り返りつつ、「前回のピッチで悔しい思いをしたので、ブラッシュアップして挑んだ」こと、「目指していた賞をいただけて本当にうれしい」と画面越しに満面の笑みを浮かべた。

Lifehacker Japan賞|清水 美樹さん(クロススキルラボ

Mashing Up
Lifehacker Japan賞を受賞した清水 美樹さん(クロススキルラボ)には、同メディア編集長の丸山美沙から花束が手渡された。
撮影:中山実華

清水さんの評価ポイントは、マルチタスクである育児をスキルと捉え直すプログラムの独自性だ。丸山編集長は自身の経験と重ねながら、「誰にも知られていない自分のソフトスキルを見出せる点に魅力を感じた」と選出理由を語った。黒平さんと同様、清水さんも「前回、他の方の素晴らしいピッチに刺激を受け、今回はギアを入れ替えて挑んだ」と言い、「この賞を糧にして、育休中に不安を抱いた自分のような人を一人でも減らしていきたい」と今後の意気込みをみせた。

Mashing Up賞|谷口 佳穂さん(3volt株式会社

Mashing Up
Mashing Up賞を受賞した谷口 佳穂さん(3volt株式会社)と、Mashing Up理事の遠藤祐子。
撮影:中山実華

SNS運用代行と障害者雇用の支援を掛け合わせた事業展開に、Mashing Up理事の遠藤祐子は「ダイバーシティ推進の文脈では女性活躍に目が行きがちだが、障害をもつ人や高齢の方の課題解決が求められる時代に、軽やかに障害者支援の形を世に送り出していることを頼もしく感じた」とコメント。谷口さんは、「取材を楽しみにしている」と受賞の喜びを口にした。

審査員特別賞|小黒 江莉果さん(株式会社ShelterMate

Mashing Up
大柴貴紀さんによる審査員特別賞を受賞したのは、小黒 江莉果さん(株式会社ShelterMate)だ。
撮影:中山実華

アメリカで学んだシェルターメディスンの知見を活かし、保護犬・保護猫のクラウド管理システムの拡大を目指す小黒さん。プレゼンターの大柴さんは、「この先、困難が待ち受けていそうなので、応援の意味を込めて」選出したと心の内を明かす。実際に、最近NOを突きつけられたばかりで、事業化の難しさや社会課題の大きさに直面し、悩むこともあったという小黒さんは涙を浮かべつつ、「この賞が背中を押してくれる」と、自らの事業にかける想いを新たにした。

不確実な時代にこそ、個の意思が社会を動かす

審査員による講評では、本プログラムのピッチを見るのは3回目という高阪は、改めて参加者の成長した姿に言及。ますます厳しくなる国際情勢のなか、「こんな世の中だからこそ、一人ひとりの想いが社会を変えていく」ことに期待し、大企業が手をつけない取り残された課題にぜひチャレンジし続けてほしい」とエールを送った。

初参加の丸山は、現場で感じる熱量を重視するため、あえて予習をせずにこの日に臨んだという。「どの参加者からも不満や困っていることを解決したいという想いが伝わってきた」と語り、「みなさんのニッチな課題を見つける力と、形にしていく力はすごい」と新規事業に挑んでいく姿勢を称えた。

Mashing Up
Mashing Upアクセラレーターは「MEDIA IMPACT SHOWCASE」をもってプログラムを終了。1年間ともに過ごした同期のつながりは、その後の事業や挑戦にも影響を与えていきそうだ。
撮影:中山実華

遠藤は、2018年にビジネスカンファレンスとしてスタートしたMashing Upというブランドから社会課題に向き合うアクセラレーションプログラムが誕生したことに触れ、本プログラムに応募した参加者に感謝を述べる。今回選ばれなかった事業にも大きな可能性を感じ、「本当にどれも素晴らしい事業で、これからも楽しみにしている」と伝えた。

最後にマイクを握った大柴さんは、「メディアにしてもVCにしても、変わっていかないといけないフェーズ」であり、「今日までの正解を壊していく」必要性を説く。自身の周囲にいる起業家たちはまさに全力で生きていることを例に挙げ、「みなさんも全力を尽くして、事を成し遂げてほしい」とさらなる奮起を促した。

メディア賞に選ばれた3名の受賞者は、近々記事となって発信される予定だ。ともに歩んできたすべてのプログラム参加者の、今後の活躍に期待したい。

(取材・文:山本千尋)

「本人確認を繰り返す社会」はもう終わる——FPoSが実現する“人とモノ”“リアルとデジタル”がつながる社会