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- 「コーストFIRE」を達成した夫婦、投資額を縮小するもポートフォリオは約2倍に成長。その資産運用法とは?

- アンディとニコール・ヒル夫妻はインデックスファンドへの投資のみでコーストFIREを達成した。
- コーストFIREの目標額である55万ドル(約8800万円)に到達した時点で、退職口座への拠出を停止した。
- それでも、ポートフォリオはこの5年間でほぼ倍増し、100万ドル(約1億6000万円)目前に迫っている。
アンディとニコール・ヒル夫妻は、収入の50%を投資に回し、上限額まで退職口座に積み立てる生活を何年も続けてきた。だが、2020年頃に拠出率を10%まで引き下げ、最終的に、退職口座への拠出を完全に停止した。
それでも「2021年に拠出を停止した時点では残高が約55万ドル(約8800万円、1ドル=160円換算:以下同)だったが、追加拠出なしでも100万ドル(約1億6000万円)近くまで増えた」と、44歳のヒル氏は語った。Business Insiderはバンガード(Vanguard)口座のスクリーンショットで、この7桁に迫るポートフォリオが事実であることを確認済みである。
ミシガン州在住のこの夫婦が投資を停止したのは、「コーストFIRE」を達成したためだ。コーストFIREとは、経済的自立・早期退職(FIRE)ムーブメントの派生形である。早いうちから十分な額を投資に回せば、拠出を止めた後もポートフォリオが時間をかけて成長し続け、将来の生活を支えられるという考え方である。つまり、退職に向けて「コースト(惰性で進む)」できるというわけだ。
ヒル氏がFIREムーブメントに初めて出会ったのは2015年頃だ。当時、マーケティングディレクターとしての働き方に不満を感じており、会社中心の生活から抜け出す方法を模索していた。長時間労働に加え、幼い子どもを持つ父親でもあったヒル氏には、「時間的な余裕がまったくなかった」。まさしく、閉じ込められているような感覚だったと言う。
そんな時、FIREの「支出を抑え、その差額を投資し、最終的に自分の時間を取り戻す」という考え方が、心に響いた。
これこそ、まさに自分が求めていたものだった。
インデックスファンド投資でコーストFIREを達成する
数年間、従来型のFIREを追求した後、ヒル夫妻はコーストFIREに転換することを決めた。ヒル氏の言葉を借りれば、コーストFIREなら「今この瞬間も楽しめる」からだ。
コーストFIREでは、前倒しで投資を集中的に行うことで、継続的に拠出しなくてもポートフォリオが長期にわたり拡大する。これにより、本来なら退職資金に充てる資金を自由に使えるようになるので、家族の他の大事なイベントに資金を振り向けられる。
複利計算ツールを使い、コーストFIREを達成するために40歳までに約55万ドル(約8800万円)の投資が必要だとはじき出した。想定リターンが年率6%ならば、この55万ドルが退職時までに約200万ドル(約3億2000万円)に成長する見込みだ。「私たちが生活するには十分な額だった」とヒル氏は語る。
最初の55万ドルのポートフォリオを構築するため、ヒル夫妻は収入の約半分をFIREコミュニティで人気の低コストのインデックスファンドに投資した。
この戦略はシンプルだ。特に、過去にファイナンシャルアドバイザーを雇って痛い目をみたヒル氏は、このシンプルさをとても気に入っている。手数料体系と販売手数料がいかに大事かをよく知っているからだ。
『ザ・シンプル・パス・トゥ・ウェルス(The Simple Path to Wealth)』などの書籍や「ファイナンシャル・ロックスター(Financial Rockstar)」といったポッドキャストで自分で調べた。すると、自分に最も合った投資スタイルは、米国株式市場全体に連動する低コストのパッシブ型インデックスファンド投資だとわかった。
この戦略により、結婚した2010年に約1万6000ドル(約256万円)だった夫婦のポートフォリオは、2021年には約55万ドル(約8800万円)に拡大した。その年、ヒル氏は会社を辞め、自分のビジネスである「マリアージュ・キッズ・アンド・マネー(Marriage Kids and Money)」に専念するようになった。これは、2016年にFIREの歩みを記録するブログとして始まったものだが、10年経った今、ポッドキャスト、書籍、コーチングへと事業を拡大している。ヒル氏は、火曜日から木曜日の週3日、週20〜25時間働いている。

夫妻は、従来型の退職口座、ロスIRA、HSA(医療積立)口座、課税対象の証券口座を活用している。また、子どもたちのために529プラン(教育貯蓄口座)でも投資を行っている。
「でも、それだけだ」とヒル氏は言う。「とてもシンプルなんだ」
以前、ポートフォリオに不動産を加えることを検討し、デトロイト近郊の賃貸物件を探したこともあった。だが最終的に、賃貸経営は多忙な生活にストレスと手間を増やすだけだと判断した。
「妻と顔を見合わせて、『やりたくないな。あなたはどう?』という感じだった」とヒル氏は語った。「大家になりたいか? 夜中にトラブル対応で出かけたいか?」答えはノーだった。
夫婦は不動産やオルタナティブ投資には手を出さないと決めた。自身の小規模ビジネスも一種の投資と捉えているが、金融ポートフォリオはインデックスファンド一本に絞り続けている。
ヒル氏は、ポートフォリオの成長は、株式市場が好調だったおかげだということを率直に認めており、過去の実績が将来の結果を保証するものではないことも理解している。相場の変動は想定内であり、下落局面では残高が減るのを実際に目にしてきた。例えば2022年にはポートフォリオが値下がりするのを目の当たりにしたという。だが、その時もポートフォリオを動かさず、ただ保有し続けることを選んだ。
夫妻は、退職資金を数十年後まで使う予定がないため、短期的な価格変動は許容範囲だと感じている。
「この資金が必要になるまで、まだ20年ある」と彼は語った。「その間は、いまのようなパートタイムの働き方で十分だ。今の仕事のスタイルは最高に幸せだ」

































