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- 世界で通用する子どもをどう育てるか?インターナショナルスクール「NLCS Kobe」が描く国際教育のかたち
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North London Collegiate School Kobe

世界とつながることが、ビジネスの現場ではもはや特別なことではなくなった。海外企業との協業や異なる文化的背景を持つ相手との交渉が増えるなかで、問われるのは“語学力”だけだろうか?
この問いは、“これからの時代に子どもたちに求められる力は何か”という課題にもつながっている。社会が急速に変化するなか、子どもには「単に勉強ができること」以上に、「自分で考え、問いを立て、対話しながら学び続ける姿勢」を育んでほしい——。そう願う保護者や教育関係者も少なくないだろう。
そうした意思に対して、ひとつの答えを示そうとしているのが、2025年9月に神戸で開校した英国インターナショナルスクール「North London Collegiate School Kobe(NLCS Kobe)」だ。
NLCS Kobeは、ジュニアスクール(小学校)とシニアスクール(中高一貫)でキャンパスが分かれる。ジュニアスクールは神戸市の六甲アイランドにあるアジア・ワン・センターに位置し、シニアスクールは2028年、自然に囲まれた六甲山キャンパスが開校予定だ。

名門校としての実績よりも重要なNLCS Kobeの教育思想
NLCSは、英国の名門校として生徒の成績や進学実績において高い評価を得ている。世界共通の大学入学資格であるIBディプロマ(IBDP)においては、2025年度に英国1位、そして世界2位という驚異的な実績を記録した。
だが、神戸に開校したNLCS Kobeの本質は、「英国の名門校が日本にも海外校として誕生した」という点だけではない。むしろ注目すべきなのは、その教育がどんな時代認識の上に成り立っているのか、そして日本という土地で何を実現しようとしているのか、という点だ。
NLCS Kobeのプロジェクト責任者である八光エルアール 代表取締役の池田浩八氏は、世界のビジネス現場を見てきた過程で、ある種の危機感を抱いたという。
「世界を舞台に活躍できる人材とは、自国の文化を深く理解し、伝えることができる人。日本人という確固たるアイデンティティを持つことが必要だと思っています」(池田氏)

この言葉は、NLCS Kobeの思想を端的に表している。グローバル化が進めば進むほど、“単に英語ができる”だけでは足りない。むしろ問われるのは、自分がどんな背景を持ち、何を大切にし、何を世界に持ち込める人間であるかだ。
世界で通用するために必要な「日本人としての土台」
グローバルで通用する人材を育てる——。そうした国際教育というと、どうしても「英語力」や「海外大学進学」といった分かりやすい成果に目が向きがちだ。だが、NLCS Kobeが見据えるのは、その先にある人間の土台だ。その考え方を、NLCS Kobeの初代校長であるマシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)氏はこう語る。
「NLCSのすべての学校では、生徒は発言権を持ち、学校での活動に貢献し、リーダーシップを発揮し、教師に『なぜ?』『どのように?』と、問いかける姿勢を持つことを期待しています。これはグローバルな世界で生きていく上でとても重要なスキルですが、攻撃的にならないようにうまくやることが大切であり、誰にとっても最善の結果をもたらす方法、道を見つけることが大事です」(ウィリアムズ氏)
ここで重視されているのは、単に積極的に発言することではない。問いを持つこと、他者と交わること、自分の考えを持ちながらも相手を尊重すること。そのバランス感覚まで含めて「国際性」と捉えているのだ。
だからこそNLCS Kobeでは、英語による国際カリキュラムと並行して、茶道、禅、礼法など、日本独自の文化や価値観に触れる学びを重視している。池田氏も、その意味をこう説明する。
「ここには、伝統をそのまま吸収するのではなく、未来に向けて解釈する姿勢があります。日本文化を“内向きの教養”として閉じるのではなく、世界と向き合うための価値観として捉え直しているのです」(池田氏)
答えではなく“問い”を育てる、NLCS Kobe独自の学び
こうした思想を象徴するのが、池田氏が立ち上げた教育のプラットフォーム「天地之人人(あめつちのひとひと)」との連携だ。そこでは、“答えを出す”ことではなく、“問いを生み出し続ける”ことがコンセプトにしている。
教育政策や社会イノベーションを専門とする教育者・社会学者であり、文部科学副大臣なども歴任した鈴木寛氏をコラボレーターに据え、建築家のミケーレ・デ・ルッキ氏、退蔵院副住職の松山大耕氏、茶人の伊住禮次朗氏、盆栽アーティストの小島鉄平氏など世界の第一線で活躍するオピニオンリーダーたちを教育プログラムに迎えた。
同プロジェクトは、彼らを単なるゲスト講師ではなく、子どもたちと同じ目線に立ってともに未来を探究する「教育の共創者」として位置付けている。

子どもたちは、教科書の中の知識だけではなく、現実の世界で問いに向き合っている大人たちの視点に早い段階から触れる。その経験を通じて、知識を身につけるだけではなく、自分の問いを持ち、他者と交わりながら思考を深めていく。
ウィリアムズ校長も、NLCS Kobeの核にあるのは「探究」であると強調する。その探究の基盤となるのが、日本の文化や価値観だ。
「子供たちに“日本の心”を伝えることは、NLCS Kobeの核となる理念です。インターナショナルスクールに通いながらも、自分たちのベースは日本にあるんだということを児童・生徒に感じてほしいと思っています」(ウィリアムズ氏)
これは、英語で学ぶことと、日本人として育つことを対立させないという宣言でもある。グローバル教育とは、どこか別の文化に適応する訓練ではなく、自分の根を持ったまま世界とつながるための学びである。その発想が、NLCS Kobeの独自性をつくっている。
英語力の前に問われる「安心して学べる環境」
もっとも、インターナショナルスクールに関心を持つ親の多くが、最初に不安を抱くのは子どもの英語力だろう。特に、これまで国内の教育環境で育ってきた家庭にとっては、「入学後についていけるのか」は大きな関心事だ。この点について、ウィリアムズ校長は、学校の役割を明確にしている。
「私たちは、子供たちに英語を早く、楽しく、ワクワクしながら教えることを約束します。子供の英語力が心配だから英語の塾に入れないといけない、と多くの親御さんが考えてしまうような状況は望んでいません。それは私たちの理念に反しています」(ウィリアムズ氏)

この言葉が示しているのは、NLCS Kobeが“すでにできる子”だけを対象にした学校ではない、ということだ。高い学術水準を掲げながらも、その入口は排他的ではない。大切なのは、子どもが安心して学びに向かい、自信と責任感を育てていける環境を整えることだ。
実際、NLCS Kobeは学術的卓越性と同時に、パストラルケアやウェルビーイングを教育の土台に置いている。高い成果を求める学校ほど、競争や結果に重心が偏りがちだが、本来、問いを持つことも発言することも挑戦することも、安心して自分を出せる環境があってこそ成立する。
そこにあるのは、学術的な成果と安心して学べる環境を両立させるという発想だ。

子どもが世界へ羽ばたくために、NLCS Kobeは何をつくるか
NLCS Kobeが構想しているのは、単なる語学学校でも、単なる進学校でもない。世界トップクラスの学力をめざしながらも日本人としての根を失わず、問いを立て、他者と交わりながら未来を描ける人を育てようとしている。そしてその教育を、学校の中に閉じるのではなく、社会に開かれた知のネットワークのなかで実践しようとしている。
その根底にあるのは、世界に出るために日本を離れるのではなく、日本という土台を深く理解することで、むしろ世界と豊かにつながっていくという発想だ。グローバルであることと、日本人であることは対立しない。
これからの時代に求められるのは、その両方を自分の中に育みながら、未知の世界へ踏み出していける人かもしれない。そうした未来への思いを、池田氏はこう願う。
「子供たちが自ら考え、自ら学ぶ。そのために私たちができることは、子供たちのために学びの環境をつくっていくことです。NLCS Kobeから一人でも多くの子供たちが世界に羽ばたき、見たことのない景色に出会えることを願っています」(池田氏)
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